アイリッシュマンのレビュー・感想・評価
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プロフェッショナル 尊敬すべき職人たち
ハウスペインター?何?
と思ってるうちに引きずり込まれるロードムービー。
訛り、行きつけの店、そんな事が仲間を見分けるためのカギになるアメリカ。
たかが200年のアメリカだが重層する歴史の裏側は重い。
プロの始末屋、フィクサーをプロの役者たちが演じる。それを纏めるプロの監督。重厚で隙が無い映画になっている。
堪能させてくれる。
若干長いが彼らプロの遺言とも思えば感慨深い。
これはスクリーンでしょ❣️
良かった
マフィアのボス「ラッセル」労働組合のトップ「ジミー」二人の間で黙々と仕事をこなす「フランク」
1960年代アメリカの歴史を背景に、3人の男達を中心に物語は進んで行く。
凄いアクションなど無いのですが、そこはスコセッシ師匠、3時間を超える大作でも短く感じるほど。
デニーロもパチーノもCG処理で若々しいが違和感は全く無い、1960代の雰囲気を出すためか画面は古いアメリカ映画の様な画質。
100億円を超える製作費もうなずける。
恐らく「ジョーカー」とオスカーを争うのだろうけど、Netflix否定派の自分からすればくやしいが作品賞と監督賞は「アイリッシュマン」かなぁ、、
スクリーンで観られたのはイオンシネマのおかげです。
もう一度観たい!
2019年ベストムービー!⭐️✨
全編3時間30分…ストーリーは淡々としてる割には飽きもこないし、長さもそれほど感じなかった…かな(笑)
マフィアものだけど、派手なドンパチはそんなに多くないし、心揺さぶられるような大きな感動も無い…(笑)
ただ、人間ドラマとして、とても魅力的で見応えがあった…。
このドラマの背景になっている政治的な事とか人種的な事、移民の歴史とか、アメリカの事を知っていれば、もっと楽しめるんでしょうね。
もう一回観てみたいけど…、
もう一回観るには…ねぇ(笑)
*ジョー・ペシが良かった!
*映像にあまりダイナミックさを感じなかったのは、Netflix用の作品だから!?
裏から観たアメリカの歴史
デ・ニーロ、アル・パチーノがすごすぎ。
暗殺者の目から見た、アメリカのイタリアン・マフィア界の裏の駆け引き話なので、地味ながらスリリング。
実際の歴史上の人物や事件…ケネディ兄弟(ジョンの暗殺)やニクソン(ウォーターゲート事件)、全米トラック組合会長ジミー・フォッファーなどが登場し、虚実入り乱れたアメリカの暗黒史が描かれて、興奮しました。
大傑作!
いかにもネットフリークス映画
ネット映画だけに、長い。
撮影・音響・効果音は無難にそれなりの仕事をしているが
特に目新しくもなく、可もなく不可もなく
アルパチーノさん、デニーロさんも貰ったギャラぶんの仕事はしているが、
かっての切れはなく、可もなく不可もなく
ストーリーも起承転結がなく、長いだけ。。。
映画館で観ないと、寝ちゃいそうな展開
ロードムービーかと思えば、そうでなく
あくまで
2人の最後の関わりの部分に持っていくための導入になっているが
この映画の肝をもっと丁寧に時間をかけ
心情さえも判りやすく描くべきだったのに。。。脚本家は能無し
トラック協会会長って、そんなに偉いのか?
ライフル協会会長よりも偉いのか?
口直しに「ゴットファーザー」でも観ようかな。
レジェンドに魅せられる
神様は、居た!
本作が劇場公開されず、ネット配信と聞いた時、どれほどショックで落胆した事か…。
まさか、見れないとは…。
…しかし!
日本でも配信前に一部の劇場で先行公開が決定! 我が県でも!
さすがに地元の映画館ではないが、それでも歓喜と共に電車に飛び乗り、いざ隣町の映画館へ!
本当に本当に見たかったんだもん!
だって、
アメリカ実在の殺し屋フランク・シーランを描く、マーティン・スコセッシ長年の企画が遂に完成!
主演は、ロバート・デ・ニーロ。映画史に輝く数々の名作で組んできたこの2人が、『カジノ』以来9度目、24年ぶりのタッグ!
しかも共演に、アル・パチーノ、ジョー・ペシ、ハーヴェイ・カイテルらそうそうたる面子。
これで興奮しない映画ファンは映画ファンじゃねぇ!
その感想は…
『タクシードライバー』『レイジング・ブル』『グッドフェローズ』と並ぶ、スコセッシに新たなる傑作誕生!
本当に劇場で見れて、感激…。
話のメインは、老フランクが語る半生。
しがないトラック運転手だったが、マフィアの仕事に手を染める。全米トラック組合委員長ジミー・ホッファの下で働き始め、彼の殺害に関与…。
と密接して、アメリカの近代史、表裏一体のマフィアの世界、イタリア系、暴力、宗教、人の生死…スコセッシが長年描き続けてきたテーマが、濃密かつ深淵に描かれる。
『グッドフェローズ』を彷彿させるようなシャープで流れるような演出、カメラワーク、編集、選曲のセンス、ムードも抜群で、ユーモアも忍ばせ、ホッファ殺害まではヒリヒリした緊迫感…。
これぞ我々映画ファンが心底待ち望んだスコセッシ映画!
脚本スティーヴン・ザイリアン、撮影ロドリゴ・プリエト、編集セルマ・スクーンメイカー…新旧スコセッシ組のスタッフたちの匠の技。
CGと特殊メイクが秀逸。
特殊メイクによる老メイクもさることながら、CGで若い頃の顔を合成したレジェンド名優たちの姿に、技術の素晴らしさと共に、昔から見ているファンには感涙モノ!
そのレジェンド名優たちは皆、名演。
最近生温いコメディばかりでキャリアを本当に心配していたが、久々に気合いの入ったデ・ニーロを見れた事が何より嬉しい。ひと度本気を出せば、有無をも言わさぬその演技。そして、スコセッシ作品で主役を張るデ・ニーロの姿にこの頼もしさ!
パチーノも同様。さすがの圧巻のパフォーマンス。この方はこれくらいアクの強い演技でいい。
カイテルは出番が少なかったが、ペシが旨みたっぷり…いや、と言うか、凄くいい! 9年ぶりの映画出演。これを機にまた映画に出て!
このレジェンドたちが登場し、顔をそれぞれ合わせる度に、出た!おおっ!…とゾクゾク興奮!
我々が抱くアメリカのイメージは、自由と圧倒的なデカさとゴージャスさ。
しかし、そのすぐ裏の世界では…
マフィアや一人の権力者が時にアメリカ社会を動かす。
理想とは程遠い、もう一つのアメリカの真実、アメリカの姿…。
そんな世界の男たちの友情、確執、家族との関係、末路…。
生きるか死ぬか、生き残ったとしても時代に取り残され、自分一人…。
日本の任侠の世界もそうだが、決して真っ当な生き方ではない。
なのに、この哀愁や生きざま、『ゴッドファーザー』やスコセッシが描くマフィア物に、どうして我々はこうも魅せられ、陶酔させられ、カッコよさと憧れにしびれるのだろう。
多くの人物が入り乱れ、マフィア映画あるあるのちと複雑な人間模様。
スコセッシ映画最長3時間半はさすがに身構える。
が、
長さは感じたが、退屈や飽きはしない。
魅せられるほどの見応え!
色々語り出したらキリ無いが、本作も超話題作なので、是非ご自身の目で!
一部の劇場で期間限定上映。
もし、お近くの映画館で上映されるのなら、映画ファンなら何の躊躇もせずに映画館の大スクリーンで観る事をオススメします!
これぞ、映画館で観るべき映画!
2019年のMY BESTを、現1位の『アベンジャーズ/エンドゲーム』や待望の『男はつらいよ お帰り寅さん』と争う事になりそう!
…これだけ絶賛した舌も乾かぬ内に、スコセッシさん(とコッポラさん)にはどうしても一言言いたい事が。
映画は何を見て感じ、インスピレーション刺激され、哲学を受けるのは人それぞれ。
この広い世界には、スコセッシの作品を「映画じゃない」と批判する人も居れば、コッポラの作品を「嫌悪すべきもの」と吐き捨てる人だって絶対居る。
アンタらの映画だけが絶対的な全てじゃない!
こういうのが『映画』というものでしょう…
『沈黙』のときは流石に苦労しているな、格闘しているな、という印象であったが、こちらはお馴染みの世界で水を得た魚の如く生き生きとした演出、スコセッシももう結構な歳だと思うが衰えない演出力で最後まで魅せる。少々長いとは思うが、歳を取ったとは言えデ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシ、ハーヴェイ・カイテルを一堂に見られるなんて映画ファンにとって至福のひとときでした。
見応え充分の3時間30分
スコセッシもモネやゴッホの域に到達か!の作品です。いつも通りの見応えのある作りで、オールスター登場で長尺ですが最後まで見てしまいます。でも絵的に地味で家でテレビで見てたら寝ちゃうかもしれません。
デニーロは最近の作品の中では1番良く思えました。苦悩やジレンマがヒシヒシと伝わる力演です。
ブライトバーンの様な駄作を観た後なので、洗われた、救われた感じのする作品でした。
レジェンドたちの本気に圧倒されまくる傑作
マーティン・スコセッシの新作だというのに地味な公開。危うく見逃すところだった。Netflixで2019年11月27日から配信ということで、超限定公開に納得。名古屋ではイオンシネマ名古屋茶屋のみの上映。
私にとって「タクシー・ドライバー」で出会ったスコセッシは大切な監督。なので見逃すわけにはいかんとです。
まず「タクシー・ドライバー」のロバート・デ・ニーロが主役というだけで感極まる。そしてアル・パチーノ、ジョー・ペシ、ハーヴェイ・カイテルといったレジェンドたちの熱い競演が嬉しすぎる。
今作はスコセッシのノワールものを集大成したような3時間29分の大作。デ・ニーロ演じるマフィアの殺し屋の目を通して、第2次世界大戦後のアメリカ裏社会を俯瞰するスケールの大きな傑作だ。
そして音楽はロビー・ロバートソン。エンドロールで彼の世界が炸裂した。ほんとゾクゾクした。考えてみればスコセッシのアイコンであり、パチーノたちが名をはす前から特別な存在だったわけで、ザ・バンドのラストワルツを撮ったのもスコセッシ。二人の深い関係は感涙ものだ。
映画を観続けてきて、音楽を聴き続けてきて本当に良かった。
さすがスコセッシ。
1週間だけの限定公開。Netflixへの不満はいやでも増してしまう。作り手は自由度が高いので、好きなものを好きなように作っている感じだが、僕はそういった作り手の映画をスクリーンで観たい。
これは、他の配給会社に頑張れと言うしかない、のか?
伝説的マフィアのラッセル・バッファリーノ(ジョー・ペシ)に仕えたフランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)の年代記。
フランクとラッセルの出会いから描かれていく。
ジミー・ホッファ(アル・パチーノ)が登場してからがすこぶるおもしろい。アル・パチーノのやりたい放題芝居が炸裂している。
ジミーの扱いに手を焼いてしまったラッセルたちの選択。アイリッシュマンと呼ばれていたフランクの苦悩たるや。
マーチン・スコセッシは気を衒うことなく、王道の演出であった。もちろん、セットや衣装などはきっちりと準備したうえで、役者陣に多くを任せたように感じた。
やはり、盟友ロバート・デ・ニーロとのコンビには作り手も、観る側も安心感があった。
3時間28分の長尺、堂々たるものである。興行という形で多くの人に観てもらいたい。
グッドフェローズ好きなら必見
デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシが再集結したマーティン・スコセッシ監督作品がNetflixで公開されるとかいうのは映画雑誌で目にしたことがあったけれど、Netflix会員じゃないし関係ないやと思っていたら、まさか近所の映画館で公開されるとは!
そんなわけで映画のあらすじはまったく頭に入れず、アイリッシュというからアイルランド系移民のマフィアの話?とか思いつつ見始めたこともあり、最初は登場人物の名前と顔が一致せず少々混乱したのですが、3時間30分という長時間も特に気にならず楽しめました。
ジミー・ホッファ(アル・パチーノ)という名前は聞き覚えがあったのですが、後で調べたところによればアイリッシュマンことフランク・シーラン(デ・ニーロ)という殺し屋が自白した伝記を元にしたもので、年老いたフランクがジミー・ホッファ失踪事件を始めとした裏社会の出来事を回想していきます。
3大役者の競演の中で、特にラッセル・ブファリーノ演じるジョー・ペシがヨカッタ。
パチーノもよくて、彼が退場後は少々退屈に感じてしまったが、 グッドフェローズなどアメリカのマフィアものが好きな方なら、長時間の上映時間に臆さず劇場に行ってほしい。
哀愁漂うデ・ニーロの姿が心に突き刺さる、金字塔マフィア映画のゴージャス感
葛藤抱え命令通り行動し複雑な想い秘めた、家族との様々な関係通し、複雑な想い胸に全身から哀愁漂うロバート・デ・ニーロが心に突き刺さり、登場人物同様渋い音楽にシビれた
大物マフィアに一目置かれてのしがっていく過程、ファミリーぐるみのマフィアとの関係、アル・パチーノ扮するトラック組合委員長との駆け引き巡る危うい関係など、様々な人間模様に惹きつけられ、スケールの大きさに圧倒された
ロバート・デ・ニーロとジョー・ベシ共演、マーティン・スコセッシ監督のマフィア映画の金字塔『グッドフェローズ』の同窓会を観ている様だった
時代が異なりロバート・デ・ニーロやアル・パチーノの変化する表情は、修正がメイクかCGか気になった
インタビューやメイキングを見てみたい
かなり長いです。
力作だし、名役者が揃ってるし、予算もかなりかかった感じはしますが、流石にゴッドファーザーには敵わなかった。
1960年代アメリカのマフィアや組合、そして家族を描いた人間ドラマ
上映時間が長く感じました。
終わらないで欲しいと思わせる映画を見たいです。
アメリカの歴史を知ること
なんか、さすがだ。200分を超える長尺だが、飽きることなく見ることが出来た。
フランクの目を通して見るアメリカの歴史だ。
フランクはボロボロのトラックで肉を運送していた退役軍人。
アメリカでは、禁酒法の時代、マフィアが、違法アルコールを資金源に勢力を拡大したが、大恐慌、禁酒法の廃止、第二次世界大戦、産業の細分化・近代化、労働者の権利拡大・拡充を経て、その組織は弱体化していく。
1950年前後を境に、アメリカの労働組合活動は大きく変貌を遂げる。
大恐慌、第二次世界大戦による経済的、政治的疲弊を経て、福利厚生も含めて、より組織的で大規模になっていくのだ。
ただ背景には、政府の直接的関与を嫌うアメリカ社会の性格もあり、それは基本的には自主的に選ばれた運営者を頂点とする組織によるものだ。
よく知られた全米自動車労組もそうだし、この映画のトラック運転手労組も例外ではない。
そして、こうした労働者から年金の運用などを目的に集められた資金の権限を利用しようとして権謀術数をめぐらすのがジミー・ホッファーであり、それに群がるのがバッファリーノや各マフィア、そして、手先となって数々の殺しなど裏の仕事を手掛けるのがフランクだ。
不動産取引に高利で融資し、その金利の一部を迂回して懐に入れるようなバックマージンの話は、こうした連中の典型的な資金源になったのだと思う。
映画の物語には、公民権運動を想起させるエピソードの他に、JFKの登場、弟ロバートを中心に、こうした違法行為への断固とした決別を模索するアメリカ社会の取り組み、キューバ危機、JFKの暗殺、ニクソンへの支援、ウォーターゲートビルの盗聴事件のニュースなどが散りばめられ、アメリカの歴史が大きく揺れ動いた様子もよく分かる。
そして、変化を受け入れることの出来ない人々。
その象徴として描かれるフランクによるジミー・ホッファーの暗殺のエピソードは切なさも漂うが、現在のアメリカ社会に向けられた問いかけでもあるのだろう。
また、一方で、娘のペギーが、父の直接的な暴力的違法行為を嫌いながらも、その指示者であるジミー・ホッファーを慕っていたというのも、皮肉で、これも同様に、アメリカ社会に向けられたメッセージなのだ。
皮肉といえば、不正義と闘うケネディ家もアイリッシュだ。
アメリカの歴史を知ることは、僕達の歴史を知ることでもある。
日本の複数の事業者が集まって組織された年金や健保は、天下りの潤沢な受け入れ先だったし、専門外の担当者のもとには、多くの業者が群がり、収賄も横行し、不十分な説明のまま、多くの高リスクな金融商品や、バブルの崩壊で紙切れ同然となった不動産案件などが売りつけられ、損失を被ったのは年金の加入者や受給者だった。
多くの場合、天下りの管理者や、これを放置していた理事会、そして、悪質としか言えない業者が責任を取ったという話はあまり聞かない。
僕は、スコセッシの視点が好きだ。
この映画は、過去の作品と違って、特定の場面に寄ったドラマティックな演出が抑えられている分、ストーリーをじっくり噛みしめさせるような構成になっている気がする。
一定程度以上の思考を要求してるようだ。
スコセッシが、昨今の娯楽映画を、あれは映画ではなくアトラクションのようなものだと言っていたのを思い出す。
SNSの登場で、呟きを思考のフィルターを通さない思いつきと信じている人が増えた気がする。
この映画は、こうした変化に対する皮肉でもあるように感じる。
日本では政府を皮肉るような映画自体が少ないが、たまに、そんな映画があると、ウヨが跳梁跋扈する。
発言や発信の機会が増えたことは良いが、こんなんで我が国は大丈夫かと心配になる。
怯えてないで、日本の映画界も頑張れと言いたい。題材は豊富なはずだ。安倍の祖父なんて掘れば沢山出てくるに違いない。
アメリカの歴史を知ることは、僕達の歴史を知ることでもあり、そして、僕達の今置かれた状況を知ることだ、
この映画を今制作したスコセッシやデニーロに賛辞を惜しまないし、アルパチーノやジョー・ペシも、デニーロと同様良い作品に出続けて欲しい。
また、こうした爆発的な興行成績は残さなくても、将来必ず残る作品に多額だが資金を提供するNetflixは評価に値すると思う。日本にもこんな会社があれば良いのにと思う。多分、やりたい人は製作者や俳優も多いはずだ。
スコセッシ同窓会+転校生
H・カイテルは主演で「ドアをノックするのは誰?」とデ・ニーロが"ジョニー・ボーイ"役でH・カイテルを食った「ミーン・ストリート」からの「タクシー・ドライバー」でのポン引き役は地味だったりでの、裏切りの"ユダ"を演じた「最後の誘惑」と演じる役柄の大小が激しいスコセッシ常連俳優だった。
本作での出演シーンは少ないながらも、メインである三人の存在感に負けない渋い演技で貢献。
引退状態?だったJ・ペシの復帰作にもなった本作での彼は、老いた姿に相変わらずな小さい体格でも貫禄十分な存在感で「グッドフェローズ」や「カジノ」で演じた狂気性を封印したかのような、しかし、そんな狂気性を内に秘めた静かな演技をしながらも、狂気を含んだようなジワジワくる怖さがあり、いつ爆発するのかとヒヤヒヤしながら魅せられてしまった。
そんなJ・ペシの代わりに感情を爆発させ周りを困らせる物語の核となるトラブルメーカー的な役回りをスコセッシ初参戦のA・パチーノがイキイキと演じている。
長い間、待ち望んでいたパチーノを演出するスコセッシをこれ以上にない最高な形で、叶った訳で。
スコセッシ同窓会が如く、デ・ニーロにJ・ペシ、H・カイテルが次々に登場し「グッドフェローズ」を彷彿とさせるスコセッシ節が炸裂する中、A・パチーノの最初のシーンで一瞬、別物なA・パチーノの単独主演作に色が変わる雰囲気がスクリーンを支配する違和感に期待度が倍増する。
止まれない勢いで我が道を進むA・パチーノ、穏便に済ませる程を保ちながらもとどめは刺せるJ・ペシ、周りに翻弄され板挟みになりながらも躊躇せず行動に移すデ・ニーロとこの三人のやり取り、会話、駆け引きに滑稽さや緊迫感など、観ていて休まるシーンは皆無で目を逸せない最後まで。
デ・ニーロ、J・ペシ、パチーノと、この三人が陥る状況やその姿に寂しさが増す哀愁が堪らない。
デ・ニーロとパチーノが"コルレオーネ"を演じてから「HEAT」での初共演的な夢のような再共演から「ボーダー」でのガッカリ感を払拭したスコセッシの手腕が健在な本作「アイリッシュマン」の凄味、J・ペシが正気じゃない狂気性炸裂な「グッドフェローズ」と「カジノ」からデ・ニーロなラモッタに冷や汗ばかりの「レイジング・ブル」に「ブロンクス物語」での存在感も良かった。
首を長くして待ったスコセッシ×デ・ニーロの最強タッグが最高の映画を最良なキャストで、ディカプリオではまだまだデ・ニーロの代わりにスコセッシとのタッグが務まらないことを証明したそんなヤング・ニコルソン的なディカプリオでは無くて、J・ニコルソン主演「ホッファ」も大事な作品になってくる感じ。
スコセッシの元に久々、帰還したデ・ニーロとJ・ペシ、H・カイテルってな同窓生。
そんな主役、デ・ニーロが連れて来た親友A・パチーノって転校生がこれ以上をもっとこれ以上な高みに。
それを指くわえて見ているしかない何代も下なディカプリオって図!?
本作「アイリッシュマン」には繋がっている事柄が沢山ある一筋縄ではいかない傑作に涙、涙、、で感無量。
圧倒的な映画としか言えない
東京国際映画祭でチケットを取れなかったときは倒れそうだったが、無事劇場公開されて何より...やはり映画はスクリーンが良い...。
マーティン・スコセッシがロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシと組んでマフィア映画というだけで垂涎ものではあるが、正直あっという間の209分だった。長さを感じない。
マフィア映画よろしく人間関係がちょっと入り組んでいて、最初誰が誰だっけ?となりかけたが、いやはやその重厚で息詰まる駆け引きに完全に引き込まれた。頑固者アル・パチーノと超やり手ジョー・ペシに挟まれて、最終的には半ば悟ったように自分の役割をこなすロバート・デ・ニーロ。哀愁というか、表情が何ともいえず複雑。
中年期から老年期まで同じ役者が演じているが、ロバート・デ・ニーロの若返りっぷり...VFXの偉大さを感じる。不自然感がまるでない。技術革新万歳。
物語は、これだけどっしりとした役者が集まっているのでドンパチではなく完全に会話、駆け引きの妙である。それぞれがそれぞれの役を完全に生きていて、その栄枯盛衰ぶりが切ない。
強かなようで結局板挟みになるロバート・デ・ニーロ。狂ったように頑固に拘り続ける感情的なアル・パチーノ。底の知れない怖さを見せるのに余りに最後が儚いジョー・ペシ。物凄いやり取りだった。あの表情。あの言葉。全部がとにかく、そこに居るような気分にさせられる演技であり、映画なのだ。
彼らは何かを守る為に謀略を重ねてきたけれど、結局何を守ってきたのだろう。というところが娘のアンナ・パキンに集約されている気がしてならない。どんなにうまく立ち回れる男でも、家族の前には全く無力だったのだ。守ったつもりで忌避されていたという。
マフィア物は名作がたくさんあるけれど、これはひとつ刻まれた映画だな、と勝手に思う。できれば劇場で観てほしいと願ってしまう。
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