「哀しきペンキ屋…」アイリッシュマン ケイさんの映画レビュー(感想・評価)
哀しきペンキ屋…
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マフィア、ヒットマンも人間。彼らにも家族はいるし、友人もいる。飯も食えば、喜び、悲しみもするし、神だって信じる。家族に嫌われたくない。しかし、人を殺す。そこだけが一般市民と違う。友人であっても殺す。シーランやホッファなど実在の話、人物を全く知らないで見た。映画では失踪してしまったホッファを殺したのがシーランとなっているが真実はわからない。古きアメリカの闇の歴史が描かれている。いったい、政治家や警察含めて真の善人はいるのか?何と言っても、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシの渋味、迫力、醸し出す雰囲気が凄い。若返らせるCGにも驚くが、年齢に合わせた体の動かし方の変化なども見ていて面白い。友人であるホッファの暴走を止めることができなかったシーランの無念さ、ラスとの板挟み、殺しを告げられたときの諦念、そして静かに実行し、何事も無かったように戻ってくる。印象的なシーンだった。殺しておいて、ホッファの家族に励ます電話をしたことを後悔して止まない、どうして、ここまで非情になれるのか。それは自分の家族を悪い連中から守るため。そう言い聞かせて、生きてきた。しかし、肝心な家族は。。見舞いにも来ない、墓も棺桶も自分で買う。来るのは看護師と牧師だけ。哀しい晩年。何のために、誰のために命懸けで生き抜いてきたのか。。哀しき男の物語。
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CBさんのコメント
2021年12月9日
悲哀にまみれたナイスレビューですね。
これに比べたら「デニーロの蹴りは、さすがに遅い。寄る年波には勝てない」なんて書いてる自分のレビューはなんと陳腐なことでしょうか(笑)