「老いたスコセッシ。」アイリッシュマン bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
老いたスコセッシ。
人はだれしも年老いていくものですが、この作品を観たときは愕然としました。スコセッシ、完全にヤキが回っています。登場人物の動作が緩慢で、会話のみで話が進行していきます。年を取った監督の多くに見られる悪弊です。年を取った俳優が身の丈に合った年相応の役どころに収まっていればいいのですが、デニーロにしてもアル・パシーノにしても若作りして若干、痛々しいところがあります。自動車が次々に爆破されていきますが、一人ひとり殺していくことが、若干、面倒くさくなったのか、スコセッシ、まとめて処理していきます。そこには殺していく側の心の揺れなどは読み取れません。全体的になんだか、肩透かしを食らったような気分です。上映自体がとても長く、また、登場人物がやたらと多く、字幕でプロフィールが紹介されてもとても把握しきれませんでした。あれもこれも、と話しを広げ過ぎたきらいがあります。デニーロはともかく、アル・パシーノには十分に演技するだけのスペースが与えられていないようにも思えました。
この監督に於いては本作品を遺作とすることなく、立派な死に花を咲かせて欲しいものです。
なにはともあれ上映してくれた、あつぎのえいがかん kiki に感謝。
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