犬ヶ島のレビュー・感想・評価
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『なぜゆえに 人類の友 春に散る花』
『なぜゆえに 人類の友 春に散る花』
『whatever happened?
To man's best friend.
falling spring blossom.』
『俺達は犬死にだ!』
なんで?『七人の侍』と考えれば、題名の『犬ヶ島』から『鬼ヶ島』が連想でき、そこから、回帰すると言う事だ。『鬼ヶ島』だと『侵略』になるが、そのリバースを1つのテーマとしている。それともう一つ大事なテーマはやはりあの2011年3月11日14時46分に発生した災害に対して警鐘をならしていると感じる。
亡くなられた方には冥福を祈る。
最後の曲はチャールズ・ミンガスの『ピテカントロプス』に似ている。
また、あの『ジャンコ』の音楽も使われている。
日本をディスっていたり、日本愛に満ちている訳では無い。しかし、彼は、日本のアニメーションや映画が好きな事は確かだ。この話を見て『わんわん忠臣蔵』を思い出した。
きっと彼は見ているに違いない。
そして、登場する物理的女性は『オノヨウコ』さんとメスの犬が二匹のみ。つまり、男社会に対するアイロニーと見た。
『さんのぶびっち』である。
傑作だ。
追記 スター・トレックの『スボックを探して』もリスペクトしてるかなぁ。
原題 Isle of Dogs
製作年 2018年
製作国 アメリカ
劇場公開日 2018年5月25日
上映時間 101分
映倫区分 G
『メガサキ高校』と『ヒロシ編集員』って?
解析しない!
愛する犬たち(Isle of Dogs)
メガ埼市という架空の日本の地方都市が舞台、猫派で犬嫌いの市長が犬の伝染病を機に市内の犬を島流し、絶滅政策を行うのだが、市長の遠縁の甥っ子が愛犬救済の冒険に出て他の犬たちと力を合わせ市長の陰謀を暴き、犬を救済する物語。子供向けなので犬の物語だが内容はヒットラーのユダヤ人撲滅にも似た独裁政治の狂気性をうたっているのでしょう。そのせいか、第68回 ベルリン国際映画祭(2018年)で銀熊賞を受賞しています。主人公を助ける少女がアメリカ人留学生というのも、今の日米関係をオマージュしているのでしょう。
犬が流される島がゴミの島、東京の夢の島をモジったのでしょうか、BGMに「七人の侍」のテーマ曲が流れたのには驚きましたがウェス・アンダーソン監督の日本びいき、黒澤ファンというのが伝わります、北斎の浮世絵も出てきましたし、最後に悪市長が改心するのが甥の俳句「何故に人類の友春に散る花」というのも、説得力は無いものの日本文化への敬意なのでしょうかね。人形を使った3Dアニメは撮影は大変だが魅力的なようでナイキ創業者のフィル・ナイトの息子トラビス・ナイトのアニメスタジオ、ライカをはじめ異彩を放っていますね、本作はロンドンの3 ミルズ スタジオで制作されたそうですがモペット人形をアップで撮るには相当寄らなければならず撮影はキャノンのEOS-1D X を80台も使ったそうで、いろんなところでメイドインジャパンが絡んでいたのですね。ちなみにモペットの犬の毛はアルパカだそうです。まあ、よくできた作品でしたが子供向けなのでおじさんにはちょっと退屈でした。
不快。
犬好きなので観てしまった。ハッピーエンドでまあよかったが、小林市長が何故最後に急に善人になるのか全くわからない。あと、日本語が聞きづらい。そして、何よりも日本を馬鹿にしている(嫌悪している?)のがよくわかる。観ていて不快だった。
ウェス・アンダーソン監督の世界
予告で観た時から気になっていて、やっと観に行くことが出来ました〜。ウェス・アンダーソン監督の作品は遊び心が満載なので、ワクワクするから大好きです。今回の「犬ヶ島」は日本が大好きなウェス・アンダーソンの世界から始まります。
犬と日本人の少年を描いたアニメーション映画です。
ドキドキするサウンドも太鼓だったり、寿司のネタの作り方とかまで物語に入り込んでいて面白かった。スクリーンも横に動いたり外国人から見た日本って、こんな感じなんだと改めて日本を見ることも出来ました。
どこまでも深い風刺映画
犬ケ島は海外が日本を舞台に映画を作るとのことで公開当時から楽しみにしていた映画のひとつである。特に独特のストップモーションアニメに加え、日本人が話す日本語がそのまま海外でも流れ、逆に犬の言語が英語で、英語圏の人からすれば日本語話者の方が客体化されるような仕組みがお気に入りである。他にもみるたびに工夫がみつかる奥深い映画だ。
権威主義の日本社会の中とそれに服従し迫害される犬社会の二重の構造を持つこの映画の世界で、“stray”であるチーフや留学生、戦後復興の象徴たる新幹線の事故での交通遺児が社会を動かすというメッセージ性を持ちながら、登場人物がほぼ皆結局血統や権威に縛られているという点も興味深い。
アタリが政府への説得力を持ったのは彼が小林の養子だったからであるし、ヒロインのナツメグはショードッグ出身であることが彼女の権威であり魅力として描かれる。チーフもどうしようもない野良かと思いきや、実は誇り高い犬スポッツの弟であることが判明する。最後のシーンでは権力を得たアタリやトレイシーが独裁者のように振舞っている。結局これらの登場人物,動物はマイノリティの属性のままハッピーエンドになることはなく、権威を得たものは再び権威に飲み込まれる。
留学生のトレイシーが政府の悪事を暴いて行くシーンはしばしばホワイトアッシュと批判されるが、個人的にはそれは疑問に思う。のちに触れるが、むしろ日本人をもってこの役をやらせることが不可能であるからこそここで外国人が使われているのではないだろうか。
そして議会で主張をした彼女のビザが剥奪されるシーンは先ほどの権威、血統主義に繋がる。小林の養子であるアタリがいなければ、ビザが剥奪されて、そもそも政治に関わる権利のない彼女は排除されて終わりなのが現実であるし、他の一般市民は(科学者たちでさえ)結局自ら声すらあげられない。日本国民はアタリや留学生や議員の後ろ、テレビの前でわいわいとするだけである(ここがまた日本らしさなのだろうが)。権威主義の社会で一般市民が声を上げてなにかを成し遂げることは現実には難しく、日本は今もそうだと言われた気がした。
結局この映画の結論としてなにが起こったかといえば、権威をまとったアタリが議会で声を上げ、それがたまたま養父に効果を出し、養父の権威と権利で法が撤回され、既存の法制度に従って養子のアタリが権力を引き継いだだけである。何の市民革命も起きていないどころか、ただの身内騒動にすら見方によっては落ち着いてしまう。
なんだか、クーデターである明治維新しか経験せず、市民革命を起こせないままの日本を風刺された気がした。そして唯一の市民革命的な要素を導くのは、先ほどの留学生という最強の異分子なのだ。
犬ヶ島のストーリーはもともとヨーロッパ舞台であったのを日本に変えたらうまく行ったと言われてるが、結局日本社会においては、12歳の子どもとか犬とか留学生とか、そういった日本社会の仕組みの外にいる要素なしにはなにかが大きく変わることはないのだろうかと考えると、やはり他にどうにかして日本の「生まれ変わり」を引き起こすのは難しいと感じて、なんだか情けない気分になった。
とても観やすいのに深い
やっと観られた!
制作に四年もかかったのもわかるなあ、犬たちの毛並みや表情の細やかさに驚いた。
外国の方から見た日本(もちろんデフォルメされているにしても)ってこんな感じなんだな〜と思いつつ、
市長の独裁政治とプロパガンダ、途中犬のカニバリズムや犬社会の中での上下関係(結局実態は違ったけど)など、人も犬も社会の中でとても生きづらそうだったし、現実世界をうまーく描いていて絶妙だった。
そこを打破していくアタリ少年とスポット&チーフと犬たちは、アウトローな生き方や特殊な立場を持っていながら、そこからマジョリティや権力に自分たちなりのやり方で反旗を翻してゆくわけだけど、そのスポットを探す旅の過程も冒険物語としても見事でとても面白い。
アタリとチーフの絆が生まれたり、スポットは彼なりの新しい人生を見つけていたり、それゆえにスポットからチーフへとアタリのボディガードならぬ相棒のような役目を託されてゆく。スポットは家庭を持ち、アタリは市長としてメガ崎市を良くしていってくれるだろうな。新しい世代、新しい価値観への流れが気持ちいい。
「〇〇の犬」という言葉はネガティブな意味でしか聞いたことがなかったけれど、仲間や同志としてあなたを認めるという意味合いでは、初めて聞いた気がする。
ラスト、春の花に満ちたメガ崎でのチーフとナツメグの顔のクローズアップに、桜の花びらがふっと貼り付き、それに気づいたチーフはナツメグの顔の花びらを飛ばしてやる…このシークエンスにかかったであろう時間や労力と共に、こんなささやかな描写がなぜか印象に残った。
私たちは四季の美しい国に住んでいる、日常や社会の営みも汚れない国であってほしいと思った。
チーフの男気に惚れました、犬だけど
102分という世界で一番長いストップモーションアニメーション。ギネスブックを更新した。犬や人などの、約900の登場キャラクターが全部、紙粘土で作られていて、それを表情や動きの変化ごとにストップモーションの技術でフイルム化し、編集された映画。一人の人間や犬に、200の異なった表情を持つフィギュアが、手造りされて、それをすこしずつ動かしながらフイルムに捕え編集されている。例えば、主人公小林アタリが笑いながら手を挙げるシーンならば、アタリの手の位置や、顔の表情を少しずつ動かすごとにフイルムを撮り、スムーズに動いているように編集する。根気のフイルム造り。
ウェス アンダーソンは、宮崎駿が、自分のアニメーションをすべて一枚一枚手書きで、描いてそれを編集して一本のフイルムを完成させることに心を動かされた人で、同じように自分もフギュアを一つ一つ動かしてはフイルムに録るストップモーションで作品を完成させた。
彼は日本贔屓で、黒澤明と宮崎駿を信奉している。震災と放射能被害で深く傷ついた日本人を心から応援したい、という気持ちでこの映画を製作したという。
彼はこのフイルムを完成するのに、4年余りの歳月を費やしている。
ストーリーは
20年後の日本。犬インフルエンザが蔓延した日本のウニ県メガ崎市では、小林市長が、犬の隔離政策を決断。犬ヶ島とよばれる、ゴミ廃棄場となった島に、すべての犬を放逐することを決めた。市長の養子、12歳の小林アタリには、生まれた時から忠実に用心棒を務めてくれたスポッツという犬がいた。市民に模範を示すため市長は、スポッツをいち早く、ゴミの島に送った。アタリは、迷わずスポッツを探すために、小型飛行機を操縦して島に到達する。そしてアタリは、島で出会ったチーフ、レックス、キング、ボス、デイユークという5匹の犬たちとともに、スポッツ探しの旅に出る。
一方、メガ崎市では、犬インフルエンザを研究していた渡辺研究所長が、すでにワクチンを開発していた。あとは実際の犬に使用してみるだけだ。ワクチンはインフルエンザを予防、治療することができるだろう。しかし、渡辺医師は市長の命令によって暗殺される。オノヨーコ助手は、それを嘆くだけで、圧倒的な権力を握る市長の前では無力だった。
小林市長はロボット犬製作企業と、グルになってすべての犬を、犬ヶ島で処分して、ロボット犬に挿げ替えるたくらみを進めていたのだった。犬は生きていれば病気もするし死ぬこともある。エサも必要だし、汚れもする。ロボット犬の方が良いに決まっている。小林市長は、ロボット犬企業から多額のわいろをもらっていたのだ。
アタリと5匹の犬たちは、処分されるところだったスポッツを見つけ、他の犬たちを助け出す。アタリがすっかり世話になったチーフを洗ってやると黒い犬だったチーフは、本当は白いテリア犬だった。話を整合してみると、何とチーフはスポッツの兄弟だったのだ。
アタリは犬たちを連れて市議会に行く。アタリの学校の生徒達も、インフルエンザワクチンをもって合流する。そこで、小林市長の汚職と横暴が暴露され、再び、犬たちは人々のもとに帰ることになった。
というお話。
映画のポスターは、AKIRAを描いた大友克洋だそうだ。
原作のISLE OF DOGS をアイルオブドッグス、アイルオブドッグスと繰り返して言っていると、アイラブ ドッグスと聞こえる。というように、これは愛犬家のお話だ。
サンフランシスコでは、この映画を見に来るのに犬を連れてきて良い、という試みがあった。沢山の家族が犬を連れて、映画を観た。当の犬が嬉しかったかどうかは、よくわからないけど、、、やっぱり。ウェス アンダーソンが紙粘土で作り、アルパカの毛を植毛した犬のフギュアに、本物の犬が仲間と同定したかどうかは、不明だし、、。
棄てられた犬たちがみんな立派な名札をつけている。犬は人類にとって最も古い友達だ。人の喜びを犬は理解しようといつも勤めて、いつも人の力になりたいと思っている。
映画で、チーフが素敵で恋をしそうだ。アタリを助けた5匹の犬のうち、チーフ以外はみな、飼い犬で以前は立派な主人を持っていた。素敵なご馳走を食べさせてくれた思い出を語り合っていたとき、みんながチーフに、「君はどんな物を食べてたの。」と聞くと、「イヤー、俺か?俺は主人なしの気ままな放浪だからよー。でも時には食べ残しのステーキとかが手に入ったよ。」と照れながら話す。豪胆なのにシャイ。それで、すごくセクシーな犬、ナツメグに出会った夜は、「アンタ、いつもこんな時間にここにいるのか?」とか、話し方もアプローチもハードボイルド、その男気が素敵だ。そんな彼が、黒い犬じゃなくて、実は白い犬で、本当は立派な血筋だったとわかったとき、青い大きな目から涙が零れ落ちる。このシーンで泣かなかった人、人じゃないよ。
ウェス アンダーソンは、いつもとてもアーテイーな映画を作る。
「グランド ブダベストホテル」では、カラフルなホテルと、美しい自然と山々の描き方など、美しい絵本を見ているようだった。しかし人間模様を描写すると、とたんに、人種差別、自然破壊、貧富差、階級社会などが、ちゃんと描かれていて、ともかく渋い。今回の映画でも、大企業と結託した政治家、権力者の腐敗、弱い者いじめ、環境汚染、放射能汚染、自然破壊などなど、簡単には解決できない現状の嘆きが、映像にしっかり織り込まれている。
犬たちの、痛めつけられても、強制隔離されても、殺されそうになっても、人を信じてまっすぐ立ち向かう姿には、魅せられてやまない。チーフの湖のように青い大きな目から、涙があふれて流れ落ちるシーンが、ぞっとするほど美しくて、心に残って忘れられない。
小林アタリの声優をやった13歳のコーユー ランキンは、良く日本語をこなしていて、ハンサムな子役なので、この映画で人気が出てテイーンの間でアイドルになっている。
スポッツの声優、リーブ シュレバーも、チーフのブラアイアン クランストンも、とても良い。ウェス アンダーソンが大好きな、偏屈大物役者ビル マーレイがボスの声優をやっている。ナツメグのスカーレット ヨハンソンも、とても上手だ。渡辺医師の助手オノヨーコが名前通り本人がやっていた。
和太鼓が鳴り、クロサワの「7人の侍」の曲も使われていた。アタリの、「なにゆえに、人類の友、春に散る花」とかいう俳句とも和歌ともいえない歌が、メガ崎市議会の流れを変えるところでは思わず笑ってしまったが、太鼓の音が、とても効果的に使われていて良かった。
世界一長いストップモーションアニメフイルム。670人のスタッフが、900の登場キャラクターを使い、4年かけて作られたフイルム。ウェス アンダーソンの独特な表現世界が好きな人も、嫌いな人も、犬が好きな人も、嫌いな人も、この映画観る価値がある。
新しい
アニメーションの面白さを満喫できた。
展開がサクサクしていて目が追いつけないところもあるけど、もう一回じっくり見たい作品。
字幕で見た。吹き替えも別であるみたいだからDVDで見て見たい!!
内容は面白かった。
犬たち🐕🐩🐕🐩が可愛いし
少年の勇敢なのと優しさにグッときた。
黒犬をシャンプーしてあげるシーンが好き。
しかも白くなったしw
音楽も耳に残る
物語を突き動かしたのはそれぞれの愛
誇張されてポップ調な架空の日本が舞台、だけど全然バカにしているとかではなく日本の文化や歴史に愛がある描写。ストーリーは王道、だけれども世情を痛烈に皮肉るところあり、ハラハラするところは効果的な音楽とともにぐっと攻めるしいちいち飽きない。ヴィジュアルは相変わらずどのシーンを切っても美しいし、ゾワゾワするし、ロマンティックだし、リアリスティックだ。とても印象的だったのは学生たちが立ちあがり、大人の心を動かし、やがて社会を変えるシーン。はじめは一人の少年の無鉄砲ともいえる行動が、学生に伝わり、学生が少年の意志を伝え、学生が闘い作りあげた舞台で大人を動かす。そこには少年と犬の友情があり、女学生の少年への一方的な愛があり、きっと養父の息子への愛情が介在した。
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唯一残念だったのは他の特定の観客の鑑賞マナー。物語が佳境にはいり、観客が食い入るように展開を見守っている時に大声で笑いながらお話する男女二人組。最初の鑑賞マナーの動画すら覚えていなかったようだから、きっと物語を覚えるのに会話が不可欠だったのだろう。次からはDVD化やオンライン配信を待って仲良く家で見てくださいね。
むかし むかし
物語の原型、出奔と帰還。
絵づくりに近年の日本アニメの影響も色濃く出ている。
うす汚れたワンコたちのサバイバルを描く前半が特に好きです。
メデタシ メデタシのエンディングも良し。
文字情報多すぎ
面白かったけど、視覚情報が多すぎてメチャメチャ疲れました。アンダーソン酔いです。
基本、細かいギャグが面白い映画だと思います。個人的にはあのヘンテコな言語センスが大好きで、ウニ県メガ崎市とか字面だけで最高ですし(メガ崎って縦書きだと漢字っぽい)、随所にちりばめられた日本語で書かれた文字が良いです。黒板を見ると「6年間の思ひ出」とか。リンクしてるようでしていない感覚が好みで、文字が出てきたら早速目で追ってしまいました。
その結果、後半はすっかり疲れて、物語もきっちり把握できずじまい。面白かったけど、どんな話だったっけ、という感じで終わっていきました。
負け惜しみではないですが、本作はいつも以上に物語よりもヴィジュアル優先な作品だと思いました。
あと、最近のウェス・アンダーソンらしく、本作もポリティカルな背景があり、本格的なディストピア映画でしたが、ポップに終わっていくのも意外です。これまでの作品に見られる、彼独特の無常感や寂寥感はさほど感じられなかった。
個人的には、比較的よく出てくる『バイクとサイドカー』が本作には出てこなくて残念。今か今かと待っていたのですが。
前作の『グランド・ブダペスト・ホテル』やストップモーションアニメの過去作『ファンタスティックMrフォックス』の方が好みで、ウェス・アンダーソン作品の中では今ひとつだと感じています。
こんなストップモーションアニメ観たことない
初めの和太鼓から心わしずかみにされた
字幕でも日本語多いとは聞いてたけど予想以上に多くてびっくりした
日本人は是非見てほしい
字が少し小さくて見えずらかった
世界観だけで観ていられる
タイトルの《犬ヶ島》は鬼ヶ島のパクリだし、少年が島に行って結果的に何かを倒すのは《桃太郎》に似てるなとか。
出てくる政治家が手段を選ばず反対勢力を潰していくところは、今の世界の情勢を彷彿させるなとか。
なんかストーリーに込められたものもあると思うんだけど、それ抜きにして、ただ眺めてても面白いのね。
犬のとぼけた様子だとか、細かな笑いだとか。犬カップルの「あるある」な男女のやり取りとか。
さりげなく豪華布陣の声優もよくてさ。スカヨハもいるしね。
「面白いなあ」と観てるとアッという間に101分が終わる。ウェス・アンダーソンすげえなと思ったよ。
何故故に 人類の友 春に散る花 ?
このところ物覚えの悪さで、光陰のように記憶が消えてしまうのでメモも取れずにいるのが大変口惜しい。だから表題もうろ覚えなので間違っていたら、ご指摘願います。
今作品、ベルリン映画祭で銀熊賞を受賞したとのことだが、その出来は大変素晴らしいものであった。これがストップモーションアニメで作られたこと、ステレオタイプの日本を逆に上手く演出として表現した点、そしてそのベースにある、人種差別やホロコースト等の問題をキチンと誰でも想起させる世界観とストーリーに、誠に敬意を表する。しかしその堅苦しさだけではなく、パラレルのように人間と犬の関係、動物愛護、友情と兄弟愛、ニヒルで格好いい恋愛のスパイスを織込んでいるところも秀逸だ。自分は生きて今まで動物を飼ったことが無いので、犬という動物に対しての知識は、幼い頃に噛まれた事、追いかけられた事しかないネガティヴな内容だが、今作品でまさか、ホロッと泣かされる事になろうとは正直思わなかった。それだけ切なく、しかし決して人間を憎む訳でもない、健気な姿勢に心を打たれてしまったのは、自分でも驚いている。まぁ、現実的には犬を飼う経済力がないから友達にはなれないかもしれないが、今後の観方を変えようと転換させられる、それ程のスマートなメッセージ性を届けてくれた作品である。
『一寸の虫にも五分の魂』、『鬼の目にも涙』、そんな日本の童話もきちんと包摂している、監督の強い気迫が感じられる日本愛、大変秀逸であった。
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