犬ヶ島のレビュー・感想・評価
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独創的で無二
メモ
わかったようでわかんない
いっぱんじんならば、映画を好きだといっても、べつに誰かと映画について語り合うわけじゃないし、好きな映画がどれか公表することもないわけです。(リアル世界で)
学生のころは、そんな機会もありましたが、それにしたってまれなことでした。
そうすると、自分はこれ/あれが好きだということを、自分のなかに保管しておくのですが、たんに、自分のなかに保管してある主観なのに、好きが素直ではないことがあります。
これは、なんといいますか「これを好きじゃないと映画通ではない(ような)監督」に向けられた主観です。
よのなかには「これを好きじゃないと映画通ではない(ような)監督」がいまして、わたし的にその筆頭はウェスアンダーソン監督です。
でも、ウェスアンダーソン監督は、いいです。
ぜんぜんいい。
とうてい嫌いな監督ではありません。
しかし、低所得者層のわたしは、ウェスアンダーソン監督を、こころから楽しむ事ができません。
ウェスアンダーソン監督の作品世界と趣味が、すごく上質だということは、低所得かつ無教養かつお百姓のわたしにもわかるものの、じゃあ、こころから面白いって言えるか──となると「ええまあ」というかんじです。
だけどウェスアンダーソンは好きだって事にしておきたい。
というのも、ウェスアンダーソンがわかんないとなりますと、小津安二郎がわかんないことになりますし、ウェスアンダーソンと小津安二郎のあいだにあるものにも不寛容ということになります。
また、ウェスアンダーソン監督は、同業者からも敬愛され、その豪勢な出演陣からして、俳優からも敬愛されている、かなり「抑えとかなきゃマズい」存在なのは、まちがいありません。
だから、主観が、いささかずれるとは言え、ある種の違和をおぼえながらも「ウェスアンダーソンが好きです」のポージングをしなきゃならない──ような気がするわけです。
もっとダイレクトに言えば「これを好きじゃないと映画通ではない(ような)監督」ってよりは「これを好きじゃないと映画をわかってない」ことになってしまう監督とも言えるそんざい──なわけです。
わだいのThe French Dispatchが、Completedしていながらなんらかの理由で停まっていますが、それについても「ああたのしみだなあ」とか、主観のなかに居る、二面性の自分の片割れが、つぶやいたりしてみてるわけですが、じっさいには、公開で見るよりは、どこかに降りてきたら見る感じになるのは間違いありません。
あのThe French Dispatchのトレーラーのおもわせぶり。
2021に見る構図のある映画。
嗜む(たしなむ)──ということに対するお百姓として憧れをかんじる一方で、面白そうな気配値振りまくのやめてくれませんかねえ。とも思います。
でも、ウェスアンダーソン監督は、いいです。
ぜんぜんいい。
とうてい嫌いな監督ではありません。
だけど、なんといいますか、ごちそうよりもお茶漬けのほうが好きな、底辺の哀しさ──とでもいいましょうか。その幾何学を愛するには、いかんせんわたしには教養が足りないんじゃなかろうか──という、不安がもたげてきて、しかたありません。
犬ヶ島はいい映画でした。緻密でした。大量で濃厚な、情報と技術がありました。労作でもありました。
だけど、この寓話はどうでしょう。キャラクターやストーリーが、なんらかのシンボル(象徴)であるかのような気配が、常にありますが、出展元がわかる観衆がいるのかな──という感じです。
まさに他人のアタマのなか。
むろんそれが、良くないわけじゃない。映画はすさまじく精巧な模型のようです。
が、これを見ながら、小林アタリやメガ崎やロボドッグや交換留学生や俳句やヨーコオノやパチンコ(武器)や相撲レスラーや刺身などなどの、魅惑的な素材に、わかったような頷きをするのも、空虚なことだなと思います。
だって、どのみち寓意なんて解んないんだから。
でも映画は面白くないわけじゃない。構図至上だと思います。ぜんぶが小津の赤ケトルみたいな絵です。几帳面。に加えてレイヤーの層も深い感じ。ゲームデザインやっても、才能発揮できると思います。
余談ですが「なぜゆえに/じんるいのとも/春に散る花」という俳句が原爆をあらわしているような気がした。
いつの時代設定??
不快。
犬好きなので観てしまった。ハッピーエンドでまあよかったが、小林市長が何故最後に急に善人になるのか全くわからない。あと、日本語が聞きづらい。そして、何よりも日本を馬鹿にしている(嫌悪している?)のがよくわかる。観ていて不快だった。
犬のビスケットうまそー
二度見
情報量多いな!
ウェス・アンダーソン監督の世界
予告で観た時から気になっていて、やっと観に行くことが出来ました〜。ウェス・アンダーソン監督の作品は遊び心が満載なので、ワクワクするから大好きです。今回の「犬ヶ島」は日本が大好きなウェス・アンダーソンの世界から始まります。
犬と日本人の少年を描いたアニメーション映画です。
ドキドキするサウンドも太鼓だったり、寿司のネタの作り方とかまで物語に入り込んでいて面白かった。スクリーンも横に動いたり外国人から見た日本って、こんな感じなんだと改めて日本を見ることも出来ました。
【シンメトリーと日本が大好き、ウェス・アンダーソン監督のストップ・モーションアニメ】
今作の製作時間はどれ位だったのだろう、拘り男、ウェス・アンダーソン監督だから、相当だろうなあと思いながら鑑賞した作品。
<印象的だったこと、もしくは戯言>
・”ナツメグ”の声を担当したスカーレット・ヨハンソンのハスキーな声は矢張り魅力的だなあ。
・ウェス君、本当に日本好きならもう少し現代日本の風俗を勉強しなよ(意図的かな)。
・ウェス常連のビル・マーレイやエドワード・ノートンも声だけだと分からないなあ。
・村上虹朗はあの擦れた独特の声で分かったが、ティルダ・スウィントン、ヨーコ・小野、グレタ・ガーヴィグ、野田洋次郎、そして夏木マリは更に分からなかったなあ。
<面白かったけれど、矢張り、ウェス・アンダーソン監督には実写であの独特の世界観を魅せて欲しいと思った作品。>
<2018年5月25日 劇場にて鑑賞>
期待通り
みんな大好き?Wアンダーソン作品。
期待通り、楽しかった。
「ファンタスティックMr.FOX」の印象が強くて、
「グランドブダペストホテル」は実写なのにほぼアニメに見える所から、アンダーソン監督のやりたいのはアニメでしか出来ないのだろう。
そして「犬ヶ島」。なんだか製作者が思う存分に楽しんでるのが分かる作品は、それが共有できるとこの上ない喜びになる。
アンダーソン作品にはそれが随所に感じられるのが嬉しい。
ただ楽しいだけじゃなく、犬側の視点を大事にしてる。
「取ってこい、と言うから行くんじゃない。お前がかわいそうだから取りに行くんだ」
選択する意思は犬にもある事を、他のセリフもあったがどのセリフよりも深く表している。
犬を排斥する(猫派に言いくるめられた?)市長と、自分の愛犬を探すアタリの動機は確かに少し弱い。
そもそもアンダーソン作品にストーリーを求めてない自分としては全く気にならず、オチがついていればOKです。
未見の人には是非、「Mr.FOX」とセットで見て欲しい。
すごく美しい出来だけど…
メガ盛りラーメン40円!
どこまでも深い風刺映画
犬ケ島は海外が日本を舞台に映画を作るとのことで公開当時から楽しみにしていた映画のひとつである。特に独特のストップモーションアニメに加え、日本人が話す日本語がそのまま海外でも流れ、逆に犬の言語が英語で、英語圏の人からすれば日本語話者の方が客体化されるような仕組みがお気に入りである。他にもみるたびに工夫がみつかる奥深い映画だ。
権威主義の日本社会の中とそれに服従し迫害される犬社会の二重の構造を持つこの映画の世界で、“stray”であるチーフや留学生、戦後復興の象徴たる新幹線の事故での交通遺児が社会を動かすというメッセージ性を持ちながら、登場人物がほぼ皆結局血統や権威に縛られているという点も興味深い。
アタリが政府への説得力を持ったのは彼が小林の養子だったからであるし、ヒロインのナツメグはショードッグ出身であることが彼女の権威であり魅力として描かれる。チーフもどうしようもない野良かと思いきや、実は誇り高い犬スポッツの弟であることが判明する。最後のシーンでは権力を得たアタリやトレイシーが独裁者のように振舞っている。結局これらの登場人物,動物はマイノリティの属性のままハッピーエンドになることはなく、権威を得たものは再び権威に飲み込まれる。
留学生のトレイシーが政府の悪事を暴いて行くシーンはしばしばホワイトアッシュと批判されるが、個人的にはそれは疑問に思う。のちに触れるが、むしろ日本人をもってこの役をやらせることが不可能であるからこそここで外国人が使われているのではないだろうか。
そして議会で主張をした彼女のビザが剥奪されるシーンは先ほどの権威、血統主義に繋がる。小林の養子であるアタリがいなければ、ビザが剥奪されて、そもそも政治に関わる権利のない彼女は排除されて終わりなのが現実であるし、他の一般市民は(科学者たちでさえ)結局自ら声すらあげられない。日本国民はアタリや留学生や議員の後ろ、テレビの前でわいわいとするだけである(ここがまた日本らしさなのだろうが)。権威主義の社会で一般市民が声を上げてなにかを成し遂げることは現実には難しく、日本は今もそうだと言われた気がした。
結局この映画の結論としてなにが起こったかといえば、権威をまとったアタリが議会で声を上げ、それがたまたま養父に効果を出し、養父の権威と権利で法が撤回され、既存の法制度に従って養子のアタリが権力を引き継いだだけである。何の市民革命も起きていないどころか、ただの身内騒動にすら見方によっては落ち着いてしまう。
なんだか、クーデターである明治維新しか経験せず、市民革命を起こせないままの日本を風刺された気がした。そして唯一の市民革命的な要素を導くのは、先ほどの留学生という最強の異分子なのだ。
犬ヶ島のストーリーはもともとヨーロッパ舞台であったのを日本に変えたらうまく行ったと言われてるが、結局日本社会においては、12歳の子どもとか犬とか留学生とか、そういった日本社会の仕組みの外にいる要素なしにはなにかが大きく変わることはないのだろうかと考えると、やはり他にどうにかして日本の「生まれ変わり」を引き起こすのは難しいと感じて、なんだか情けない気分になった。
単純に楽しめる
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