「ウェス・アンダーソン館長の手作り博物館。」犬ヶ島 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
ウェス・アンダーソン館長の手作り博物館。
正直、予告編を観た時は不安しかなかったのだが、本編を観たらほとんどすべてが杞憂に終わった。本当に細部まで丁寧に作り込まれた極上の箱庭に、エキゾチックな「日本」がこれでもかと詰め込まれている。カクカクとした動きも、名優たちによるローテンションなセリフ回しもすべてが味わいであり、これほど精巧で良質な趣味の世界を見せられると、個人所有の博物館で館長直々にもてなされ、案内してもらっているような気持になる。
ただ、ウェス・アンダーソンが日本に愛着をもってくれていることは疑うべくもないが、そのアンダーソンをもってしてもなんでもないところにキノコ雲を出してしまうのか。悪意はないだろうが軽率だなあとは思う。『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』の原爆実験のシーンでも似た歯がゆさを感じたが、いつかこの溝が埋まればいいなと思う。
コメントする