ぼくの名前はズッキーニのレビュー・感想・評価
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実在感たっぷりの素敵な施設ライフ
デフォルメされたキャラの人形によるストップモーションアニメだが、非常に強い実在感がある。まず画面に奥行きがある。絵やCGのアニメーションと違い、それは本物の奥行きなのだが、奥行きの重要性みたいなものを実感した。照明の設計も上手い。
物語が極めて実際的な、児童養護施設に関する物語なので、このリアリティは欠かせかった。そもそもこうしたアニメーションでは語ることの難しいと思われる題材だが、見事なリアリティを構築している。
児童養護施設の取り上げ方も素晴らしい。親元を離れるのは悲劇であるが、施設で暮らすこと悲劇でなかく、幸せな体験として描いている。描かれるのは悲劇ではなく、素敵な施設ライフなのだ。
児童養護施設出身の漫画家、りさりさんの『きみとうたった愛のうた』や『いつか見た青い空』を思い出した。施設は悲劇の象徴や愛を亡くした子どもの行き場ではない。そこには愛もあれば、楽しい思い出もたくさんある。
クリエイターの方々に感謝
大切な、
誰にも壊されたくない、宝のような映画がある。
本作もそう。
宝です。
まず日本ではこうは創られない、作家の方々に感謝です。
(是枝さんとかが好奇心いっぱいに作りそう、だけど。
そうじゃない!
コレなんですよ。)
色彩、アートワーク。子供達の感情の機微のような
ストップモーション。
この希望あるハッビーエンドに、それでも明るい歌のエンドロールにしなかった意味を考える。
僕は判り易い子供だった。感情が判り易いと学校でも家でも言われていた。
よく泣いた。
声を上げて泣いた。
でも憶えているのは、
もう泣かなくなった中学2年の時、
飼っていたボクサー犬が亡くなり、抑えられなくて気がつけば大声が止まらなかった。
あの時の記憶は鮮明に今でも覚えている。
この映画で描かれる子供達は、大声で叫ぶこともせず、静かに悲しむ。
オネショしたり前髪で顔を隠したりみんなのボスを気取ったり。
叫ぶこともせず、静かに悲しむ。
僕は昼間働き、夜学に通った。
大学進学は親の離婚騒動で学費払えず断念。
東京都運営の福祉系の専門学校に進学した。
必修課程に施設実習があり、児童相談所一時保護所を
選んだ。
(オウムのサリン事件で報道され有名になった施設。)
大人達の犠牲のような子供達。
親に恵まれなかった子供達。
犯罪に巻き込まされて、訳も分からず罪を問われる子供。
(本作のように、
両親が覚醒剤をしている、その隣に居た子供も保護されていた。)
僕は、その現実に、
でも腫れ物に触るように接することもせず、
働けるようになったらお金を得られる、自由も自分次第、
自分の行いの責任は自分、
自分の気持ちをしっかり、
と生意気を説いた。
そう、今でも変わらない。
この映画を観て、叫んで泣きたくなったが、還暦なのでそんなこともできず、
(普段は我慢している高価な)寿司を食べて、
ごまかした。
流石♥フランス人 車の中から凧揚げ。『電信柱』無くて良いね。
今日(8月1日)旧国営放送で友情の話をしていた。(勤務先のテレビで見た)
その中で。
『日本人は世界一孤独を感じている国民性』との事。
本当なのか?
また、
『孤独は痛み見たいなものだ』とまで決めつけていた。
本当なのか?
疑心暗鬼。
ネズミだって孤独を忘れるのだから、人間なら、孤独を忘れた後に、人間しか無い能力で、孤独に打ち勝つ能力を持っていると感じるし、そうあってもらいたい。勿論、そうじゃない多様性は客観的に必要だが。『孤独を痛みと定義する』事には疑問を感じる。
カーミユの読んていた本はカフカの『変身』だ。
しかし、何故?二人を養子にするのかそれが理解出来ない。
『今日ママンが死んだ』マザコンの権化なのだろうか?現実がもっと厳しい事は日本人なら理解できる。いやいや、読んでいる本が『変身』なのに、実存主義を否定する内容であってはならない、と感じたが。フランス人の『ないものねだり』かなぁ?若しくは、フランス人が『そんな!そんな事あるわけ無い!』なのだろか?
無理に大団円にする事は、ないのにって感じた。だって、長い人生考えたら、カミーユと姉弟になって良いのだろうか?
日本ならキュウリか?
絵本の様な。
おしゃれクレイアニメ
おしゃれなフランスらしい作品。
内容は現実にもありそうな、結構シビアな内容。
大人の事情、性への興味など、クレイアニメだから生々しさはないけど、リアルに感じられるというのも不思議だったし、作品の素晴らしさなのかも。
良い人に引き取られて良かったけど、里親?になるのも大変なことだと思う。しかも2人いっぺんに。しかもしかも男女だし。ま、そこは現実的な話としてはどうなんだろうか。
涙
【孤児院で暮らす子供たちのキャラと心温まるストーリーが素晴らしい、ストップモーションアニメの秀作】
ズッキーニはちょっと内気な少年。ビール好きの母親を”事故”で亡くし、孤児院へ。
孤児院には、姉御肌のカミーユ、心優しき問題児シモン(一番、可愛く思えた男の子)、太っちょジュジュブ、ぼんやり君アメッド、優しいベアトリス、いつも俯きがちの喋らないアリスが暮らしている。
そして、彼らを取り巻く大人たち。
心優しき警察官レイモン、フォンティーヌ園長パピノー先生、ポール先生とロージー夫婦、カミーユの強欲なイーダおばさん。
この登場人物のパペット造形も素晴らしいが、小さな孤児院の中で繰り広げられる数々の物語(初恋、子供たちが知恵を絞ってイーダおばさんを追い返す部分、男の子同士の友情・・)が涙が出る程良い。
<字幕版を2月17日に鑑賞
レイモンの声をリリー・フランキー(この方の抑制した、しかし優しさ溢れる声は万金に値する)が担当していたので滅多にみない吹替版を2月19日に鑑賞。どちらも面白い。>
吹替を軽んじていた自分を少し反省した作品でもある。勿論、ストップモーションアニメのレベルが素晴らしいからであるが。
おちんちん爆発
大きな目が印象的なクレイアニメ。
凧を上げながらビールの空き缶でピラミッドを作ってるズッキーニ。その空き缶のせいで母親が転倒して亡くなってしまい、警官レイモンの厚意により彼は児童養護施設フォンテーヌ園に連れて行かれた。この時点でデフォルメされた顔に違和感がなくなり、粘土人形であることをすっかり忘れてしまうほど夢中になってしまう。
施設のボス格となっていたシモンやその他のワケあり少年少女たち。父親が強盗で刑務所にいる子、DVに遭った子、など様々な不遇の環境だったにもかかわらず、子供たちだけで遊ぶ姿は純真そのもの。イジメがあるんじゃないかと感じたのも入所したほんの一日だけ。いまの教育における問題点も解決する糸口が見つかるんじゃないかと思った。
警察官レイモンもいい人すぎて、最後には泣かせてくれる。あとはズッキーニとカミーユとの恋物語に発展するのかな~などと想像を巡らせてしまう。
上質な社会への問題提起
ストップ・モーション・アニメ
スイス製のストップ・モーション・アニメで、シンプルな物語だが、アニメだから見ることが出来る感じ。
主人公は9歳、自分の過失で母親が死んでしまい、孤児院に送られる。
孤児院にはいろんな理由で入っている子供たちがいたが、自分の生きる場所を必死に探していた。
素晴らしい。
痛々しくも尊い物語
親の居ない子供たちに不幸を覆い被せるな!
たかだか70分にも満たない尺ながら、不思議な魅力に溢れたスイス製ストップモーション・アニメ。
自分はどうしてもストップモーション・アニメのカクカクした動きや、アナログと手作りの温もりが好きだが、内容の方はなかなかにシビア。
父親は蒸発、酒浸りの母親と暮らしている9歳の少年。
本名はイカールだが、ズッキーニと呼ばれている。
ある日、母親が不慮の事故で死去…と言うか、ズッキーニの過失で母親を死なせてしまう。
子供が主人公のアニメーションなのに、何ともショッキングな幕開け。
親切な警察官の助けによって、同年代の子供たちが暮らす孤児院に預けられる事に。
心を閉ざした孤独な性格故、馴染めない。
周りの子供たちも変わった面々ばかり。
リーダー格のシモンからイジメの洗礼…。
ここは孤児院ではなく、少年院か何か…?
帰りたい…。ママに会いたい…。
ある日、ズッキーニとシモンが喧嘩。
しかしこれによって、2人の距離が縮まる。
シモンがしつこく突っ掛かって来たのは、ズッキーニがここにやって来た理由を聞き出そうとしていたから。
ズッキーニの経緯を知り、シモンは同情する。
ズッキーニもまた、シモンや他の子供たちの経緯を聞く。
皆それぞれ、悲しい過去があって、ここに居る。中には、親が犯罪者の子も…。
ズッキーニは母親を亡くしたが、ここに居る子供たちのほとんどは、親に棄てられた。
自分ばかり不幸と思っていたが、自分も彼らと同じ…いや、もっと不幸な子も居た。
抱えているものを打ち明けてしまえば、後は自然に。
最初はイヤな奴と思ったシモンや変わった奴らと思った他の子供たちと仲良くなっていく。
心を閉ざしていたズッキーニも、心を開いていく。
ここが、子供の不思議。
子供の順応力は高い。
子供たちはあっという間に仲良くなる。
院にもう一人、仲間が増える。
その女の子カミーユにズッキーニは恋をする。
カミーユは魔女みたいな叔母に引き取られようとしていたが、ズッキーニは仲間と共にそれを阻止する。
皆で遊ぶ。皆で出掛ける。
皆いつも一緒。
本当に不思議なものだ。
来た時はあんなにイヤだったのに、
こんなにもここでの生活が明るく、楽しく、好きになるなんて。
欠けがえのない友。
欠けがえのない場所。
欠けがえのない日々。
…が、それは長くは続かない世の不条理。
ズッキーニとカミーユは引き取られる事に。
2人を一緒に引き取ってくれるのは、いつもズッキーニを気に掛けてくれる親切な警察官。
だからこれは、願ってもない夢みたいな幸運。
でもそれはつまり、皆と別れ、ここを出るという事。
本音が漏れる。皆と離れたくない。皆とずっと一緒にここで暮らしたい。
そんな時、シモンが背中を押す…。
強がってる子も居るが、本当は皆、親に会いたい。親と一緒に暮らしたい。
優しい里親に引き取られ、温かい“家族”で暮らしたい。
それが叶う子も居れば、叶わぬ子も…。
親を亡くした子供たち。
親に棄てられた子供たち。
どうしても不幸が覆い被さる。
が、子供たちは大人以上に逞しい。
希望や明るさ、楽しさ、幸せを見出だす。
どんな場所であっても。どんな時でも。
ティム・バートン作品のようなキモカワいいキャラ、奇妙な世界観。
見始めた時の暗い印象から、まさかこんなにも温かさと感動を感じるとは…!
愛すべき良作。
苦言が一つ。
峯田和伸の吹替は完全にキャスティングミス。9歳の子供なのに、おっさん声。
なのに、否定的な意見があまり見当たらない。
『未来のミライ』の上白石萌歌はあんなに叩かれたというのに…。
もっとテンポが遅くてもいい
感覚的に、すごく通じるものがある。
ほんとに、、、よかったです。一つ一つの動作、光、目の動きに引き込まれました!!
クレイアニメ(手作りの粘土のモデリングの質感を残しているので)は数見てませんが、身体的な感覚とか、間とか、おかしみ(ユーモアと言いたくない)が、自分の記憶に照らして深く感じられました。
ひつじのショーンのよくにドタバタしてない、ユーリノルシュテインのようにじっとりしてない、数あるアート系の短編のように閉じられた世界観でない、、、。といえばさんこうになるだろうか。。
ざっくりいえば、つまりその、日本人に馴染みやすいということです!
私は、日本語吹き替え版で見ました!!字幕は見てませんが、人形の演技をよく見れたので吹き替えオススメです!リリーフランキーさんの声で良い安心感がもたらされてるし。
でも元の声の収録は実際に子供もみんな劇みたいに演技をしながら撮ってるのだそうです。こっちもきになります。タイムリーに是枝監督の撮影方法と似てますね。
情報量が多い迫力と激しいストーリー、謎解きなどを求める人には向かないかも。
登場人物の心の動きはしっかりと描きつつ、あくまで想像の余地を残す映画です。
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