きみの鳥はうたえるのレビュー・感想・評価
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【虚無的に生きていた男が”一夏の様々な出来事”を通して、”本音”を口に出せるようになるまでを描く。その他戯言含む】
鑑賞中、学生時代の自由で気儘で自堕落な生活を思い出す事、再三。
懐かしい・・。そして、妙なプライドだけはあったあの頃。
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”僕”(柄本佑:相変わらず良い役者である。)と静雄(染谷将太:安定して良い・・。)はアパートの1部屋をシェアしながら虚無的に過ごす日々。
”僕”は本屋のヤル気のないアルバイト。静雄は無職。
ある夜、”僕”が働く本屋の同僚の佐知子(石橋静河:相変わらず良い・・。)が店長と歩いているところに遭遇。
”僕”は数を数えながら、佐知子が戻って来るのを待つ・・。
戻ってきた佐知子は”心が通じたね”と”僕”に語り掛ける。(後から、佐知子と店長が別れたという話が出る・・)
そして、”僕”と佐知子と静雄の不思議で自由な夏の日々が始まる。
クラブで酒を飲んだり、カラオケに行ったり、ビリヤードをしたり、卓球をしたり。(ここで、原作は佐藤泰志だったなあ、と思い出す。だって、遊びで卓球しないよね、今。)
”僕”と佐知子はアパートの2段ベッドで自然に関係を持ち、二人に気を遣う静雄。
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”僕”はある日、静雄から3人でキャンプに出掛けようと誘われるが、断りキャンプには佐知子と静雄だけで出かける事に。
そして、ある日佐知子から”僕”に告げられた事。僕が佐知子に最初に言った言葉。そして、彼女に言い直した言葉・・。
うーん、好きであるぞ、この抒情性溢れる純文学的雰囲気。
佐藤泰志の原作とテイストがかなり違うが、これも又良し、と思った作品。
<2020年4月10日 BDにて鑑賞>
■蛇足
昨日、私の居住区でも県独自の緊急宣言が出されたので、数年振りに近くの”TSUTAYA”へ駆け込んだ。
そこには、様々な理由で鑑賞できなかった作品が並んでいた・・。(夢の様な光景・・)
こんなに品数あったかなあ・・と思いながら、数作レンタル。
で、レジに行ったら無人レジばかり・・。
見様見真似でバーコードリーダーで読み取り、お金を支払い、妙な達成感を覚えながら帰宅。
世の中、変化しているなあ・・。
自分に正直
ビートルズを歌ってくれなきゃ意味が通じない
サブタイトルが「And Your Bird Can Sing」となっていることで意味が分かる。というより、ラストシーンにそれを全てぶつけてさえいるのだと思う。ただし、日本人向けにスカビートの「オリビアを聴きながら」を佐知子に歌わせていることで、出会いと結末を考えさせる効果もあった。
そのビートルズの曲の直訳風タイトルが面白いけど、この曲自体が多分色んな意味を持たせている意味深な歌詞なのです。“You”がミック・ジャガーだとかポール・マッカートニーだとからしいのですが、“Bird”は恋人を表すスラング。真っすぐに捉えると、柄本佑はずっと一人称“僕”なのだから“You”は当然染谷将太演ずる静雄であり、“Bird”は石橋静河演ずる佐知子のことだろう。
書店で一緒にバイトをしていたこともあり、ひょんなことから体の関係を持ってしまう“僕”と佐知子。妻子持ちの店長(萩原聖人)と付き合ってることも知っての上だから、「好き」という言葉も発しない、大人の付き合いだったのだろう。しかし、はっきり別れると切り出したところから感情が揺れ動く。そして店長から直接「離婚した」事実も聞かされるなど。そのモヤモヤ感は不誠実を増大させ、暴力行為にも発展し、ついにはフラフラ感へと展開する“僕”。こうして文章化してしまうと人間関係がより面白くなるのです。
バイでもないけど、静雄のことを大切にしている“僕”がいて、二人で映画に行かせるなどという余裕の態度で許してるのもそのためだろう。男2女1の関係はとかく名画に多い気もしますが、いつかは微妙な関係も破綻するのが常。静雄が無職であり、母が倒れたことをきっかけに大人として成長しそうな予感もするので、二人を見守ってもいい気持ちになったのだろう。「本心ではない」「好きだ」というラストの“僕”の言葉によって石橋静河の表情が数秒の間に戸惑い、怒り、嬉しさを見事に表現していたけど、彼女にとっては終わったことになっていたのだろう。「遅いよ」という言葉を発するのだと予想しましたが、彼女の気持ちは観客にゆだねるという手法で人と語り合いたくなる締めくくりでした。
尾崎亜美の「出会った頃は・・・来るとは思わずにいた」という歌詞がとても切ない、大好きな曲です。その歌の含みだけをもぎ取ると、“僕”とは終わった関係なのでしょう。そして前述した「静雄の恋人」というタイトルからしても、結局は静雄と恋人になるってことなのだと推測します。KYな森口もなぜか憎めない・・・
惜しい
言えた
僕は、いつも他人に流されてばかりいて、やりたいことも特になくて、時間の意味も考えたことがなくて、多分周りの大人達に「今時の若者は!」と言われてしまうモラトリアムな人間なのだと思う。だけど、ラストに救われた。衣食住の他に人間が生きる喜びを感じられるのは、感じたことを相手に伝えられることだと思うから。
うまく感想が言えない
題名の意味
考えたけどイマイチ。
柄本佑演じる主人公の男は最後まで掴み所がなく、名前すらわからない。何も考えてないのか、何か考えてるのか。自分の思いに忠実で正直だが、ちゃんと謝れないし、ちゃんと愛してるとも言えない。最後に親友に恋人を持ってかれる。可哀想な奴。
さちこはどんな判断をするのか。
石橋静河の魅惑的なダンスは、サバ?でも披露されていたが、歌も上手くてびっくりした。
原作ファンでなくてもガッカリなのでは?
原作ファンにとっては、もはや許されないほど改編・・・・というより、大省略されており、何とも虚しいと思う。
原作は、どちらかというとサスペンスであり、もっと言えばハードボイルドに近い青春小説であるのだが、映画は生ぬるい恋愛映画になってしまっている。
男二人に女一人という三角関係は、映画界における伝統的なトリオであり、いまさら感があるが、こう正面切っててらいなく表示されるにつけ、製作者の若さを感じてしまう。その意味では、原作ファンでなくてもガッカリなのではと思った。
また、「僕」の造形も一面的で愛すべき存在ではないし、佐知子に共感出来る人間も少ないと思われる。それらの点は原作においても同様なのだが、それだからこそ静雄のキャラが立つのだが、せっかくのそれも大省略によって封印されるのだ。失敗作であろう。
血が通う感覚
曖昧さが初めは心地よく、刹那的な関係性の主人公たち3人はフワフワと空を漂う風船みたいだった。自分たちで物事を決めず、漂う3人。
曖昧な関係性で恋人同士のような関わりをもつ、僕とさちこ。僕のあやふやな返事に傷つきながら、不倫している身のさちこもまたあやふやな態度なのでおあいこと言えばそうだか、さちこの想いは僕に向いていく。
最後は自分で物事を決め、言葉に、態度に、血が通った感覚がよく伝わってきた。
それまでは、よほどこもってなかったのねと思うほど、僕の顔つきに必死の想いが浮かんでいた。
鳥は空を飛ぶだけじゃなく、きれいな歌声も持ち合わせている。さちこがそうであったように、漂うような曖昧な生活ではなく、自ら羽ばたける人に成長することで、100分を通して、ラストにやっと血が通ったのだと感じた。
石橋静河をしっかりとステップアップさせる作品
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