「様々な工夫が施された傑作!」ライフ(2017) ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
様々な工夫が施された傑作!
「ゼロ・グラビティ」を彷彿とさせる冒頭のワンショット(風?)のシークエンスは臨場感満載で引き込まれた。宇宙ステーション内を縦横無尽に動き回り豪華俳優陣を追っていくカメラワークは本当に観客を楽しませようという工夫を感じた。
そして登場人物一人一人の人物像を掘り下げ、ほんの10分かそこらで宇宙ステーション内の人間関係や生活(テレビ番組の子供のインタビューなどを使い、ここの見せ方も工夫されている。)がすんなりと頭に入ってくる。この手際の
良さは見事としか言いようがない。
また、ライアン・レイノルズのデッドプール感満載のセリフ(状況を他の映画で例える「死霊のしたたり」ネタ)などとても楽しく観れた。
これで後に待ち受ける惨劇に対する準備は整った。
これだけ登場人物を見せておけば、殺されてしまう時のショックは大きいものになる。
むしろここまでが整いすぎたせいで後半は若干想像したレベルまでには至らなかったのが個人的に残念のところであった。
ゴジラ2000ミレニアムのオルガを彷彿とさせるライフ”カルビン”のデザインが少し弱い。ただエイリアン視点のカメラワークはプレデターからのオマージュか久しぶりで面白かった。
ライアン・レイノルズの死にっぷりは見事!食べていたポップコーンを吐きそうになった(笑)ただ、他の登場人物の死に方は少し地味で、話の展開もだんだんテンポが悪くなっていったように思える。
また、カルビンの身の回りの物を上手く使えるという知性を見せておきながら後半でそれが活かされていない。あれが出来るならハッチのレバーも回せるだろうなーと思ったが。
生きたいという本能そのままであるカルビンと、絶対に帰って大切な人に会いたいという人間。どちらも生きるための戦いだ。ラストはSFホラーなら間違いない展開で、安心した。
ジェイク・ギレンホールの「80億のバカがいるところに戻りたくない」というセリフが好きで、一番帰りたくないと言っていた奴が帰ってきてしまうというラスト(笑)
面白い!貫禄もあるがバカっぽさもありとても良いバランスの娯楽映画!私はかなり楽しめました。
日本の予告編はホントに観る気を失うほど酷かったが、この映画は見応えあり。