合衆国最後の日のレビュー・感想・評価
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政治不信
ベトナム帰還兵で元空軍将校がミサイル基地を乗っ取り、政府にベトナム開戦の真実、機密文書の開示を迫る政治スリラー。冒頭に「この映画はフィクションです」とクレジット、こんなリアリティの無い設定では誰も実話なんて思わないでしょう。
原題のTwilight's Last Gleaming(黄昏の最後の輝き)はアメリカ国歌の一説だが邦題は意味不明、実際に第3次大戦でも勃発していたら別だがね、機密開示を決めた大統領が殺されることで民主主義国家、アメリカの終焉と言いたかったのでしょうかね。
原作のViper Three(3人の毒蛇)はまだ戦争中の1971年出版だそうだから、センセーショナルであったろう。確かにトンキン湾事件は米国の捏造だったと後に分かったが、機密とは参戦を決めた議会議事録でしたね。
それにしても核ミサイル基地をいとも簡単に乗っ取るとはリアリティに欠け過ぎ、テロリストの要求に応じるかどうかの政府内の葛藤の様子をダラダラと追うだけ、確かに最後の顛末は衝撃的、まるで口封じの暗殺でしょう。JFKの暗殺事件も引っ掛けていたのでしょうかね。確かに政府への国民の不信感が作ったような映画でした。
緊迫感はあるが詰めが甘い脚本
画面分割を活かした中盤までのスリルは買うが、ポリティカルサスペンス物の脚本としては粗さが目立つ。
(ネタバレ注意↓)
機密文書の公開を何故逃亡後にしろと要求するの?
普通はそっちが先でしょ?
軍が作戦のカモフラージュに使った乗り捨てられた装甲車にしても、当然二重三重の作戦を仕掛けてくる事を犯人だって想定してそこから退かせるくらい考えるでしょ?
そもそも機密文書の内容だって、どす黒い政治(まつり)の世界の中核にいる合衆国大統領が今更怒りまくる内容とも思えない。
ベトナムの遥か前の広島長崎への原爆投下の理由だってソ連への牽制目的なんて、もう分かりきった事なんだから。
(戦争を終わらせる為何て薄ら寒い建て前を信じてる人もいるらしいが)
骨太だが基本的には職人監督のアルドリッチが一応付け焼刃的に反戦反核をテーマにした大味な娯楽映画な印象。
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