海辺の生と死

劇場公開日:

海辺の生と死

解説

極限まで追い詰められた夫婦の姿を描き、小栗康平監督により映画化もされた島尾敏雄の私小説「死の棘」に、敏雄の妻である島尾ミホの小説「海辺の生と死」や敏雄による短編小説「島の果て」などの内容を織り交ぜ、敏雄とミホをモデルとした男女が出会い、2人が結ばれるまでの時間を満島ひかり主演で描く。第2次世界大戦末期の奄美群島・加計呂麻島(かけろまじま)。朔(さく)隊長率いる海軍特攻艇の部隊が島に駐屯することとなった。国民学校教師であるトエは、島の子どもたちからも慕われ、隊員たちとの酒盛りよりも島唄を習いたがる朔という男の姿を好意をもって見つめていた。ある日、トエは朔から「今夜9時頃浜辺に来て下さい」と記された一通の手紙を受け取る。その手紙にトエは胸の高鳴りを感じていた。島尾ミホをモデルとした主人公トエ役を満島が演じる。監督は「かぞくのくに」などでプロデューサーを務め、「アレノ」で監督デビューを果たした越川道夫。

2017年製作/155分/G/日本
配給:フルモテルモ、スターサンズ
劇場公開日:2017年7月29日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

インタビュー

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10
  • 画像11
  • 画像12
  • 画像13
  • 画像14

(C)2017 島尾ミホ/島尾敏雄/株式会社ユマニテ

映画レビュー

3.5たとえそこが戦地であっても、緑の美しさは色褪せない

2017年8月16日
iPhoneアプリから投稿

戦地の素顔は、美しい。緑が濃く、瑞々しく、鳥や虫がひっそりと息づいている。
そのような描き方がされるようになったのは、イーストウッド監督2部作の頃からだろうか。塚本晋也監督渾身の作「野火」で、「美しい戦地」は決定的となった。さらには、布教をめぐる受難を丹念に描いた「沈黙」(塚本監督が、壮絶な死を遂げる村人を鮮烈に演じている。)で描かれる、大自然の神聖さへと受け継がれていく。五島列島の深い森や荒涼とした岩海は、ちっぽけな存在である人を包み込む場として、戦争が繰り広げられた熱帯の島々に連なっているようだった。
「海辺の生と死」は、奄美が舞台となっているが、民間人を大きく巻き込む戦場となった沖縄を想起せずにいられない。どちらにも、豊かな自然と文化がしなやかに根付いている。あまりにも自然が色濃く描かれているので、その鮮やかな緑は、「今、そこ」にあるもののようだ。もしくは、時代も場所も越え、ここではないと何処か、いつでもない何時かの物語のようにも思えた。(実際、一緒に観た6歳の子は、旅行したばかりの石垣に印象が重なり、昔の物語とは思っていない様子だった。)
過去のいわゆる戦争映画は、史実を辿ることに意味があった。一方、ここ最近の作品は、普遍的な物語の通奏低音として戦争を描くことで、戦争が決して過去のこと・他人事ではないと、静かに強く語りかけている。
また、かつては、主要人物が命を落とすことで、戦争の愚かさ悲惨さを訴えることが多かった。一方本作は、豊かな自然に寄り添った日々の営みを丁寧に織り込むことで、人々が緑の美さや鳥の声を味わう余裕なく追い詰められ、追い立てられていく「戦争」というものをあぶり出す。何があってもそこに淡々と在り続け、全てを包み込む自然の広大さが、戦争の矮小さを静かに語っているようにも感じた。
島の少女と、赴任してきた若い兵士が出逢い、為るべくして惹かれ合う。死が近づいていると互いに感じ、別れを受け容れようとしながらも、生にすがらずにいられない。史実を知っている身としては、2人は結局は無事なのだと八割方確信している。にもかかわらず、あまりに必死で一途な2人の姿を見ているうちに、もしや…と、不穏な気持ちをかき立てられずにいられなかった。(彼ら(のモデルとなった島尾夫妻)の悲劇は、ずっとずっと後に起こるのだが…。)緊張の末のラストは、すとんと胸に落ち、じわりと心に染み込んだ。
沖縄の唄ともまた違う、哀切のある奄美の島唄が、今も耳に残る。ヒロイン満島ひかりさんに加え、朝崎郁恵さんの唄も久しぶりに味わえてよかった。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
cma

3.5ひかり映画💕

2022年6月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

萌える

満島ひかりを存分に堪能できます👍
地味だけどアツい👏

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ヒックス伍長

3.0ついてはいけないでしょうか たとえこの身がこわれても 取り乱したりいたしません

2020年4月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2019年8月25日

海辺の生と死 鑑賞

ついてはいけないでしょうか
たとえこの身がこわれても
取り乱したりいたしません

太平洋戦争末期の奄美群島・加計呂麻島で出会った島尾ミホ・島尾敏雄夫妻をモデルにした作品。

満島ひかり と 永山絢斗 が主演。

特攻と集団自決。悲しい事件を題材にしたお話
#満島ひかり#永山絢斗

コメントする (0件)
共感した! 0件)
とし

4.0満島ひかり覚悟の演技

2019年2月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

個人評価:4.0
私はこの作品を見て初めて心底、戦争が憎く、そして当時のアメリカを恨みました。
数多の特攻隊や戦争映画がありますが、そういった気持ちになるのは初めてです。
このテーマは時代がどんなに移り変わっても、伝えいく必要がある普遍的なテーマだと感じます。選択肢が無いまま死んでいった人達の為に。
選択肢が無くなった若い2人の恋。それは死という絶対的な事柄を前に、2人を盲目的にさせたのか、それともよりクリアに真っ直ぐな気持ちさせたのか。おそらく後者であると感じる。
満島ひかりの真っ直ぐな演技が胸に刺さり、当時の現実がリアルに押し寄せる。
虫や鳥は今日も変わらず鳴き続ける。波は変わらず今日も寄せては返す。島民だけが自分達が決めたルールで死んでいく。
選択肢が無い、選択肢がないのですよ。村人の声が聞こえてくる。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
カメ

他のユーザーは「海辺の生と死」以外にこんな作品をCheck-inしています。