「家族について考えさせられました」いつまた、君と 何日君再来(ホーリージュンザイライ) パセリさんの映画レビュー(感想・評価)
家族について考えさせられました
決して何か派手な出来事が起こるはなく、戦前戦後を生きた一人の男、そしてその家族の生き様が淡々と描かれています。
向井理のお婆さんの自伝ですが、本当に旦那の五郎を愛する思いがひしひしと感じられ、辛い体験のお話の方が多いですが、幸せな気持ちになります。不遇を感じながら生きた五郎ですが、行動力のある方で家族を引っ張ろうとひたむきに生きる姿が印象的。ただ、悩んだりお酒に逃げたり少し感情的になる等、弱い部分もたくさんあって、もちろん共感できないとこも多いのですが、ちゃんと思いのある人で人間らしさを感じました。
ただ、この時代にも本心ではないにしろ別れるという考え方があったことに驚きました。
まるで亡くなった旦那への恋文のように愛があふれていて本当に素敵でした。このような形で世に出ることは不遇を感じ続けた旦那様にとってもうれしいことではないでしょうか。この手記を手伝った結果として母と祖母のわだかまりが解消したことは、子どもとして素晴らしいことだと思います。自分も祖母は生きていますが、今しか聞けないことだからこそ、何より昔の話をしている祖母は楽しそうなので、自分もまた聞いてみたいなと思いました。
向井さんのお婆さんの現代への適応意思がすごくて、尊敬します。80、90代の方が自伝を書き、更にpcで打ち込むという積極的な行動はなかなか出来ないことではないでしょうか。
俳優の皆様も良かったです。野際陽子さんが亡くなってすぐの作品でした。明るい祖母役良かったです。亡くなったのが残念です。尾野真千子さんは、こういう明るく強い心を持った方を演じている時が本当に好きです。周りに幸せを感じさせる笑顔を持ってる人だなーと思います。現在の向井さん役の方がどちらかというと松坂桃李くんのような笑い方するなーというのが感想です。片桐はいりさんが少し出られてましたが、最初誰か分かりませんでした。ただ、あのシーンでぐっと引き締まり、厳しい世界であったことが伝わる素晴らしい演技だったと思います。
高畑充希ちゃんの歌、上手かったです。知らなかったので、エンドロールで出てくるか分かりませんでした。
食べることもままならないような、そんな世界を生きた方々が頑張ったおかけで今の時代があることを再認識し、自分まで命を繋いだ家族を含めて先祖に感謝すべきだと感じる1作です。