「白人中流〜富裕層向け映画。マイノリティの日本人が高評価なのが理解できない。」パトリオット・デイ さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
白人中流〜富裕層向け映画。マイノリティの日本人が高評価なのが理解できない。
監督が悪いのか。
脚本が悪いのか。
マーク・ウォールバーグが気持ち良くなればそれで良いのか。
※だいぶ前に観ました。
※暴言注意。
『パトリオット・ディ(2016)』
原題 Patriots Day
(あらすじ)
実話ベースです。
2013年4月15日の「パトリオット・デイ(愛国者の日)」ボストンマラソン時に起こった、爆弾テロ事件。 その犯人逮捕までの顛末を、ボストン警察殺人課の刑事であるトミー(マーク・ウォールバーグ)を中心に、FBI捜査官リック(ケビン・ベーコン)、地元警察などの動きから、ヒロイックに描く。
『バーニング・オーシャン(2016)』のコンビ、監督ピーター・バーグ、主演マーク・ウォールバーグ、脚本マシュー・マイケル・カーナハン&マシュー・サンドです。
前作『バーニング・オーシャン』の感想で、わたくし「どこの誰かよくわからないうちに、急にバンバン人が死ぬ。どこの誰か知らない人が急に亡くなっても、人間ってのは、残念ながら悲しくない」と書きました。
あのー、読んだ?
いや、読むわけないんですけど(笑)
今回はそこ、ちゃんとするよ!と言わんばかりに、テロ事件の被害に遭ってない中国系男性の仄かな恋愛エピソード&家族とのエピソード。
大学の警備にあたってる白人男性と、学生のほのかな恋愛エピソード。
が、冒頭から続き……。
この人誰?
どこに絡むの?
この人誰なん?って状態がずっと続いて、あぁこの為に、登場させたのか!っていう場面が、のちのち登場します。
それは、
1)犯人の人質になる。
2)犯人に撃ち殺される。
これ、『バーニング・オーシャン』 でも感じたことですが、この制作陣は、人として大事なものが足りてないと思うんですよ。
なんでかっていうと、
「あ、人質エピソード欲しいよね、盛り上がるよね」
「恋が始まりそうな若い白人男性が死ぬの悲しいよね?」
「片足を亡くした夫婦が、ボストンマラソンに再度挑戦するってよ、良くない?感動的じゃない?」
っていう、"見せ場"先行で脚本を作ってるからですよ。
これがフィクションならいいですけど、実話ベースなのでね。
『バーニング・オーシャン』でも、CGほとんど使ってないっす!って言ってて、そこじゃねえ感ハンパなかったけど。
今回も、全力で「そこじゃねえ」 と言いたい。
捜査の為に、一昼夜道路に寝かされていたお子さんの遺体の為にも私は怒りますよ。
人の死を、事件を、軽視し過ぎじゃないですかね?!
って、思うのも、上記したように、お話の構成がまずいからですよ。
ネット上では、(冒頭の誰なん?状態を)"伏線を回収した"て書いてらっしゃる方もいますが、伏線っていうのはラストのオチの為に先にほのめかせておくことです。
人が大怪我したり、死ぬことが、オチなんですかね。
勿論、前作に比べると、登場人物の心理描写や、緊張感のあるストーリーになっています。
またミランダ・ルールを無視した捜査態勢であったり、結果的に証拠隠滅を図った大学生がマイノリティであるとか、オバマさんのスピーチシーンも登場して(オバマさんになってから、世界でテロ事件が増加してる)微かに問題提起もしています。
しかし実在しないヒーロー(マーク・ウォールバーグ)をわざわざ作って、かっけー&感動をメインに持ってくるのは前作と同じ。白けるんですよ。
※犯人:チェチェン人の奥さんは、裕福なアメリカ人家庭に生まれたが、イスラム教に改宗までしている。彼女のメンタリティに迫り、そこから事件を読み解く方が、より事件を深く描くことができたと思う。残念。
表層的な部分ではアメリカ人の大好きなヒロイックな、一般人が大活躍する話ですが、前政権を結果的に批判しており、それが某辛口有名レビューサイトで81%の高評価なのも興味深いです。
全体的なハリウッド映画の流れには、逆行しているのに。
つまり私が『白人中流〜富裕層』でないから、ピンと来ないという訳です。
アメリカに住んでた、マイノリティの私だからこそ腹が立つんだと思います。