IT イット “それ”が見えたら、終わり。のレビュー・感想・評価
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お化け屋敷の域を出ていないが,怖い
字幕版を鑑賞。スティーブン・キングの原作は 1986 年に書かれたもので,この物語の不気味なピエロ・ペニーワイズのモデルになったのは,1970 年代に実在した連続殺人犯で,子供の気を引こうとピエロの格好で町内のイベントなどに現れていたジョン・ゲイシーである。ゲイシーは資産家の名士でチャリティー活動にも熱心な模範的市民だと思われていたが,アルバイト料の支払いなどの名目で呼び寄せた少年に性的暴行を加えたうえで殺害し,その遺体を自宅地下および近くの川に遺棄した男で,その被害者の数は 33 人にも及んでいた。
キングの原作は,「20 世紀少年」と似たような構成で,登場人物の子供時代と壮年時代が錯綜する形式で書かれており,本作はその子供時代の話だけをまとめて映画化したものである。1990 年に映画化とテレビドラマ化されており,本作はそのリメイクである。キングの作品はホラー作品がメインであるが,登場する人物にも,ちょっとあり得ないような腐り果てた悪人が登場し,おそらくキングほど悪人を上手く描ける小説家はいないのではないかと思えるほどである。
キングの作品はそのホラー的要素が強調されるあまり,映画化作品はゲテモノ趣味やお化け屋敷に陥ってしまうことが多く,真価を発揮しているとは到底思えないものが多いのが残念であるが,極めて稀に「グリーンマイル」のように観た者を救済してくれるほどの成功作に出くわすことがあり,その時の感動はちょっと他では得られないほどのものである。本作の原作も本来はそういう話なのであるが,残念ながらお化け屋敷の域を出ていなかった。
ただ,そうは言っても,流石にホラーを極めたキング作品だけあって,その恐怖演出は半端なかった。ここでこう現れたら嫌だなぁと思っていると大概そのような現れ方をした。椅子から飛び上がりそうになったことが少なくとも数回はあった。客席はほぼ満席で,私の両側に見知らぬ人物が座っていたが,私が驚かなかったような場面でも彼らが驚いてビクッと身動きするのが伝わってきて,それでこちらもつられてビクッとなるというような思わぬ効果も何度かあって面白かった。
本作の特徴は,各人が潜在的に持っている恐怖がそれぞれ違っているというところに着目している点であるが,ある者の恐怖対象は必ずしも他人の恐怖にはならないことも多いはずであるし,また,それが自分にしか見えないという設定の方が怖かったはずなのに,他人にも見えてしまうというのはどうなのかと思った。最初の被害者の襲われ方があまりに酷く,あまりに理不尽であると思い,またその見せ方も非常に怖かったので後続に期待したのだが,徐々に怖さが低下してしまったのが残念であった。
役者は子役がメインであったためもあり,無名の人が多かったが,ピエロのペニーワイズを演じた役者が平素は非常にイケメンであったのが,怖さを倍加させていたように思う。ヒロイン役の女優は,幼さと大人っぽさの中間という感じが良く出ていて好演だったと思う。音楽担当は聞いたことのない名前の人であったが,非常に素晴らしい音楽をつけていたと思った。
蘇生することができたりできなかったりする違いは何なのかとか,襲い方が毎回違うのはどうなのかとか,演出には不満があった。少なくとも,化け物が正体を現してからはひたすらジョーズのように襲いかかってくれた方が恐怖は増したはずである。恐怖を演出するのに音の重要性は欠かせないのだが,音量で押しまくるようなところが感じられたのでは,やはりお化け屋敷ではないかと思えてしまった。また,襲いかかる敵と1対1で立ち向かうから怖いのに,最後の方は自ら怖さを捨ててしまっていたのではないかと惜しまれた。続編に期待しよう。
(映像5+脚本3+役者4+音楽5+演出4)×4= 84 点。
本当の評価は第二章も観てからかな?
この世界の土壌
途中で「長いな…」っと思ってしまった
リアルタイムで観た「IT」世代には、イマドキの作品に降格したなーと。
ま、リメイク版なので これはこれで良いと思います。
だけど、何故子供達が その不気味で、正体の良く判らない存在を「IT」と呼んでいたか、それがスッカリなくなっていた様に感じた。
設定は丸々同じでなくても全然良いけれど、極端な話 だったらピエロじゃなくても良くね?って感じです。
ティム・カリー版のペニー・ワイズだからこその、饒舌でおどけたピエロと殺人鬼のギャップが恐怖を増幅させるのに、リメイク版のペニー・ワイズは、下水口のシーンから 子供だったらチビッて逃げ出すほどの残虐なオーラが出てますよ?
オリジナル版と同じ、2部構成になっています。
Chapter2も観に行きますけど、子供時代が これでもか!って位長かったので、次も長いのかなー?
因みに、今回べヴ役をやっていた女の子が、ジョナサン・ブランディスに似てると思ったのは、私だけじゃないはず!
君よ僕の傍にいて
スティーヴン・キング原作の大作ホラー『IT』が遂に映画化!
キングファンの自分は悶絶するほど楽しみにしてました。
で、期待してた甲斐はあったかって?
いやもうね、最初に書いてしまうが、大満足!
原作を読んだのは随分前なので細部はうろ覚えなのだが、
原作の感動と恐怖の再現度は高いのではと感じている。
(どうせなら新鮮な気持ちで味わおうと今回敢えて
読み直さなかった。原作超長いってのもあるケド)
映画単品の評価として書くと、まずこれだけの規模と
エンタメ性を併せ持ったホラー映画自体が稀有だし、
何より、恐怖と対峙し成長していく子ども達を
描いた青春ホラーアドベンチャーとして、
非常に見応えのある作品に仕上がっていた。
...
まずホラー演出。
アメリカンホラーによくある、いきなり物陰から
脅かすようなコケオドシに頼らない演出が好印象。
見えているのに怖い。見えているから怖い。
『目を開けてられないほど怖い』ということは
ないが、ひとつひとつの恐怖演出が凝っている上に
バリエーションも豊かで、次はどんな恐怖シーンが
現れるのかとワクワクゾクゾクしてしまう。
(お気に入りは“絵の女”と下水道の亡霊達)
そして本作の負の主役である“IT(それ)”、
その化身である殺人ピエロ、ペニー・ワイズ。
ドラマ版(1990)で全米の子ども達にトラウマ級の
恐怖を植え付けたという伝説の怪物ピエロだが、
ビジュアル的な恐ろしさは今回ドラマ版より強化。
え? ちょっと目つきの悪いピエロ位にしか見えない?
いえいえ、お口の中は相当ヤバいことになってますよ。
例のスライドフィルムのシーンや、滑稽な
ダンスを無表情で踊り狂う姿なども忘れ難いし、
その正体を探るミステリ要素も不気味で良い良い。
だがピエロがただその場に突っ立ってるだけなら、
不気味ではあってもそこまで怖くはない。むしろ
怖さと同時に素っ頓狂なユーモアを感じるくらい。
“IT(それ)”の恐ろしさの真髄は、その悪意だ。
相手が最も恐怖し、嫌悪し、負の感情を抱く存在を
読み取って巧みに利用する、狡猾で無尽蔵の悪意だ。
...
どんな子どもでも、いや大人でも、
怖いものがひとつくらいはある。
主人公である“負け犬クラブ”のメンバーも
それぞれ震え上がるほど怖いものがあるし、
ビリー、ベヴァリー、マイクのそれはもはや
単なる恐怖ではなく人生におけるトラウマだ。
ベヴァリーの悲惨な家庭状況には目を伏せたくなるし、
「ここに入るより、僕は自分の家に帰る方が怖い」
というビリーの言葉には思わず涙が出てしまった。
その小さな体に抱えきれないほどの恐怖と一緒に、
あの子ども達は今まで生きてきたのだ。
大人達は助けてくれない。誰も彼もが見て見ぬふり。
誰も彼もが自分のことしか考えていない。
大人達の心には小さな“IT(それ)”が巣食っている。
だから、“負け犬クラブ”の皆が必要だった。
子ども達が自身の恐怖と向き合い、打ち克つには、
自分を心配して、想ってくれて、勇気付けてくれる
友達が必要だった。
まるで『スタンド・バイ・ミー』の歌詞のようだ。
「僕は泣かない、僕は怖くない、君が傍にいてくれるなら」
...
ビリーの母親や事件後についてもう少し描写して
ほしかったとか、怪異のほとんどがCGである点とか、
“IT(それ)”になぜ非力な子ども達が対抗できたのか
という描写を明確にしてほしかった点とか、
その辺りが不満点。
などなど細かな不満はあるが、バリエーション豊かな
ホラー演出、魅力的なキャラ描写とドラマがそれらを凌駕。
本当の意味での弟ジョージーとの決別や、
友情と恋と別れとが描かれる切ないラスト。
こんなに涙を堪えるのに必死だった
ホラー映画は初めてかもしれない。
僕はこの映画が大好きです。4.5判定!
...
さて、本作の特大ヒットで“第2章”製作も正式決定!
“負け犬クラブ”はどんな大人に成長しているのか?
ベン、お前はホントにそのままでいいのか?
リッチー、そんな減らず口で生きていけるんか?
そして“IT(それ)”との闘いはどんな決着を迎えるのか?
今から待ち切れないぜ! 君も待ち切れないか!?
それじゃあ原作本を買いに本屋へGoだ!
(↑キング原作ファン拡大を狙う信者)
<2017.11.03鑑賞>
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余談1:
『007』や『アベンジャーズ』風に書くなら、
「ヘンリー・バワーズは『IT 第2章』で帰ってくる」(たぶん)
余談2:
“あのシーン”はどうするのかと心配だったが、
異なる形で“負け犬クラブ”を団結させるよう巧く改編。
まあ、映像化したらR15どころか上映禁止すら
食らい兼ねないか……。
素晴らしい映画でした
そもそもスティーブンキングの小説というのは、お化けや超常現象や怪物それ自体の恐怖ではなく、そういったものに対し立ち向かい対峙して恐怖を乗り越えなければならない人間の苦悩や人間ドラマであったり恐怖によって狂気に取り込まれてしまう人間の恐ろしさなどを見せるのがキングの小説のすごさなのであります。
その点を踏まえると、今回のリメイク版itは非常によくできたものだったと思います。子供たちの家庭では皆それぞれの苦悩があり、ペニーワイズというのはそれを具現化した姿なのです。それはただ単に自分の怖いものであったり、自分の親であったり、死んでしまった自分の弟の存在でもあるのです。そしてそれを乗り越えたとき、子供たちは本当の意味で成長していくのではないのでしょうか。
スティーブン・キング詳しくないけど
かなりドSに…
浅い
以前制作された『it』と、『スタンド・バイ・ミー』に感銘をうけた経験のある身には、大変物足りない内容の映画だった。
とにかく、人間関係を支える背景の描写が非常に浅い。大人によって理不尽に傷つけられている子供たちの痛みの描かれ方があまりに雑。怒りや憎しみ、哀しみや労りをまいなぜにした大人たちへの複雑な眼差しを描いた名作『スタンド・バイ・ミー』との落差ばかりが目につく。盛り込みすぎで、どのモチーフも十全に生かされていない。致命的なのは、怖くないこと。得体が知れず、触れることのできない、実体の定かではない「it」としか名指しすることができない恐怖が、わかりやすく視覚的に形象化されしすぎていてしらける。噂によって少女を追い込む閉鎖的な田舎町の陰湿さもおざなりな描き方なので、子供たちの苦悩の実態が浮き彫りにされない。
ホラーではない⚠️
ホラーという視点ではなく
結果としてホラーとしては単なる脅かしの連続に過ぎない。ゆえに慣れていれば大したことない。
故に後半はただひたすらに滑稽さが際立つ。なので★を1つを減じた。
だが、スタントバイミーのようなジュブナイル物語にホラー要素が加わったという視点でみるとハマる映画だと思えた。
なので、自分はとても楽しく見ることができた。
こういう子供が頑張る話は子供でも見れると良いのに、とくに主人公らと同世代……R指定がPG12とかなら……と、★を半分減じてしまうのだった。
子供たちのキャラクターや子役の演技が良かった。
お気に入りはリッチー。良いキャラだと思ってる。
結構ポジティブにとらえているが、旧作が好きな方と違い、未視聴のため比較はできない故の部分もあるかもしれない。
今回一章という事で近々二章の情報がくるだろう。
多分27年後の話なので、今回の幼い彼らは続投は叶わないのが少し残念。彼らの成長を別作品で見られると……いいな!
冒険ファンタジー
ITより邪悪なものがもっと怖い
考えてみたら、少年少女の親や家庭はどこも悲惨な状況にあって、主人公の少年だって、自分のせいかも知れない、という呵責もあるわけで、もっと親が寄り添ってあげなきゃ可哀想過ぎる。
少し乱暴な言い方だけど、親の保護下にある(法律的にも経済的にも他に逃げようが無い)少年少女にとって、身勝手な親(体格差のある上級生のイジメっ子も含まれますね)ほど理不尽で邪悪な存在は無い。
ITはそのような邪悪の象徴であり、ITに打ち克つことこそが、親の呪縛から脱出することであり、見終わった後の安堵感や爽やかさ、そして観てる我々もどこか親心的に少年少女達の行く末を案じてしまうのは、そのためなのだと思う。
原作を知らないので、そんな意図はないのかもしれないが、邪悪な大人達こそホラーそのものなのだと、警告を受けたような現実感のある怖い映画でした。
ぅ~ん…
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