IT イット “それ”が見えたら、終わり。のレビュー・感想・評価
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あの怪物は子供と大人の狭間で揺れ動く思春期の心を食いちぎるあの魔物
S.キングの代表作にして最も映像化が難しいとされてきた本作を、まさかこれほど鮮やかに描き切るとは。キャリー・フクナガの名が脚本家として残っていることからも、これまで企画に携わってきた才能らが少しずつブラッシュアップさせてきた面も大きいと見た。
それにしてもよく言われるように、本作は陰と陽を使い分けるかのようにキングの『スタンド・バイ・ミー』的な側面と、ストレートな恐怖を感じさせる展開の数々を併せ持つ。さらにそのバランスに亀裂を生じさせるが如く、ホラー物における最恐キャラともおぼしきペニー・ワイズを、あの粘着的な発声法と驚異的な動きで具現化し得たことは大きな功績だ。ビル・スカルスガルドの怪遠はホラー映画史に刻まれるレベルのもの。どんな特殊効果にも増して、彼がその表現力や体の動き一つでもたらしたものはあまりに大きい。大人になった主人公らとペニー・ワイズとのさらなる対決を描く続編も楽しみだ。
通過儀礼をモチーフにした青春ホラー
ホラー映画としての恐怖感もさることながら、青春映画としての完成度が高い。原作者スティーブン・キングの恐怖要素とジュブナイル小説の要素がバランスよく合わさった作品で、ホラーが苦手な人でも鑑賞可能なのではないか。
ルーザーズ・クラブ(負け犬クラブ)と銘打った少年たちのグループが街を恐怖に陥れる超常的な怪物、ペニー・ワイズに勇気を持って立ち向かい成長していく姿に恐怖よりも爽やかな感動が勝る。ペニー・ワイズは、どもりやぜん息など様々なコンプレックスを抱えた少年少女たちの、克服しなければならないものの象徴であり、通過儀礼をモチーフにしたホラー作品といえるだろう。
前回映像化されたのは1990年、作品上での設定同様27年後に公開されたというのもニクい演出だ。
良くも悪くも今様のホラーということか
米国ではホラー映画として異例の大ヒットとのこと。元々欧米文化圏にピエロ恐怖症というものがあって、そうした部分を刺激する要素と、CGと派手な音響を駆使した盛り沢山な今どきの映像体験がうまく当たったということか。
気になったのは、ITの高すぎる特殊能力。相手の子供の怖がるモノに姿を変えるのは、まあありだ。心に直接働きかけて、相手に幻想を見させるのならそう難易度は高くない。だが、ある子にとって恐ろしい姿が、別の子にも見えるのはやりすぎ。魔法使いか悪魔みたいな存在になってしまう。
もともとS・キングの小説には想像力豊かに恐怖を描く魅力があるのだから、ばかでかい音で驚かせる凡庸な演出に頼ってほしくなかった。
ただ、ペニーワイズ役のビル・スカルスガルドの端正な顔立ちは凄みがあった。あと、眼球をぐるっと動かして斜視のようになるシーン、あれはCGじゃなくて自分で動かしているそう。なんという能力!
より強いテーマにリメイク
リメイクされたIT
スティーブンキング作品には必ず隠しテーマがある。
前回のは友情ではなかったかと思う。
以前ではそれは隠しテーマだったが、今回の作品で友情は明確なテーマとして表現されていた。
また、この作品を第1章として描き、不足分が第2章となるのだろう。
つまり、成人した彼らの元に再びやってきたITだ。
さて、
ITとは何者だろうか?
恐怖を餌に生きる悪魔…
27年ごとに街で起きる子供の行方不明事件 他の場所より6倍も多い行方不明事件の数。
ビリーの弟ジョージ
作中最初の犠牲者だが、彼の恐怖とは何だったのだろう?
地下室というぼんやりとした恐ろしさ
彼にとって兄は尊敬する人でもあり、すぐ叱るので怖い存在でもあったのだろう。
登場人物は中学生の子供たち
ジョージには中学生の兄は、ビリーたちのいじめっ子のように少しばかり怖い存在だったのかもしれない。
子供たちのそれぞれの親
物語上そして視点が子供たちなのでデフォルメされているが、輪をかけたその存在と圧力を子供たちは日々恐怖として感じているのかもしれない。
ベンは街の歴史を調べるのが好きなことで、子供たちがITについて理解し始めるが、アメリカという近年できた国家に蔓延るこのような変な出来事は物語だけではなく、実際に起きていることで、アメリカ人にとってはこの物語がよりリアルに感じるのだろう。
ビリーはジョージの行方不明を過去のものにしないでどこかで生きていると考えていた。
しかし父はその彼の思いを激しく否定した。
十中八九無理という大人の思考は、純粋な心が残るビリーにはとても受け入れられるものではない。
そして、
彼らの集まりはまるでオズの魔法使いのようだ。
冒頭でジョージが排水溝に消えるが、そこには前後だけでも目撃者がいた。
おそらく目撃者は見たことを人には話していない。
このことはその街というのかアメリカ社会というのか、問題に関わらないようにする彼らの考え方を表現している。
ビリーの父のように何もなかったことにしてしまうのも似たような考え方かもしれない。
でも現実に起きていることがある。
子供の前だけに登場するペニーワイズ
「僕らにだけ見えるのなら、僕らが立ち向かう以外にない」
これが彼らの考えだったのだろう。
その一歩を踏み出す勇気
この勇気が化け物屋敷に入ったり、その中の井戸のに入ったりさせる。
「もう限界だ」
化け物屋敷から命からがら逃げえ出して来た彼らのセリフは当然だろう。
何故キングは子供たちにそれ以上のことを求めるのだろうか?
確かにこの物語には少年たちの大きな成長があった。
しかしそれはほんの少しでも間違えれば死んでしまっていただろう。
この際こそホラーなのだろうが、
その先へと進む彼らの勇気が恐怖を駆逐することで、視聴者の中にも勇気が芽生えてくるようだ。
この感情の変化を与えることこそキングの真骨頂なのかもしれない。
さて、、
彼らの体験は彼らが信じたものを貫くことで達成された成功事例を取得したこと。
彼らだけが心から理解した「この世界の真実」がある。
生まれて気づけばそこにいた親より、よくわからないフレーズで教え込まれる聖書より、学校での勉強やくだらない人との付き合いより、最後まで仲間を信じて、時に挫折があっても、自分自身が対峙したものは自分自身の中の恐怖であり、一緒に戦った仲間がいたというゆるぎない事実。
人は、彼らのように自分で掴み取ったものだけしか真実として受け入れることができないのかもしれない。
どんな聖人君子が言う言葉も、それには勝てない。
単に与えられたものの価値との違い。
この不動なる気づきこそが、この作品の新しい隠しテーマになっていた。と思った。
子供から大人へと変わる季節。
ある者は大人の言うことを聞き入れることを良しとする。
しかし彼らは自分が信じたことだけを信じることにしたのだろう。
それは子供の時にはっきりと見えていた心の方位磁針を失わないことであり、その中で築き上げたゆるぎない友情。
たった3ヶ月ほどの出来事。
そしてなぜか薄れゆく記憶
これは子供の見る夢と大人の現実を表現しているのだろうか?
まるで集団催眠にかかっていたかのようなセリフ
でも心に残った成長と絆の痕
お互いの血で誓い合う友情と再会
彼らに訪れた変化
引っ越し
そして新学期
あるワンシーンに貨物列車が描かれていた。
思い浮かぶ「スタンドバイミー」
あの映画もスティーブンキング作品と知って驚いた。
ホラーではないからだ。
しかしこの列車のシーンに隠されているものを見たように感じた。
スタンドバイミー
そこに描かれていたのが大人になった彼らだった。
当時の少年たちはそれぞれ成長したものの、決していい人生を送っているわけではなかった。
作家となった主人公は、かつて少年だった頃の体験をフィクションにして書いた。
書き上げた彼は最後の文面を読んで微笑む。
「12歳の時の友達のような友人を、その後持つことはなかった」
彼は何故微笑んだのだろうか?
この作品に描かれていたモンスターに気づいただろうか?
そのモンスターとは「時間」
12歳の自分たちは、時間というモンスターによって、こんな風に変わってしまった。
そしてこのITもまた、時間というモンスターという粉を振りかけながら、再び彼らを襲うのだろう。
くわばらくわばら
まあ普通くらい
恐怖に立ち向かう物語
面白い
ドキドキワクワク!!
ピエロの恐怖がトラウマになる!?
オリジナルは子供のころ観てしまい、ピエロがトラウマになってしまった作品で、非常に懐かしい思い出です。
オープニングから、予告でもおなじみの排水溝から"ピエロ"のペニーワイズ登場からの、がぶりシーンでいきなり盛り上げます。もしかしたらこのシーンが一番衝撃だったのかもしれない。一気に手を食いちぎってしまう残酷度なのです。これはオリジナルでも有名なシーンで、オリジナルもこのシーンが明らかに一番怖かった…。
そして、ITの素晴らしいところは、単なるホラーではないところ。同じスティーブン・キング原作の『スタンドバイミー』を思い出させる子供達の友情といじめっ子に対抗していく強さを観れる映画です。
この作品で一番注目しないといけないのは、もちろん"ピエロ"のペニーワイズです。演じる役者はビル・スカルスガルドで、父親、兄2人も映画俳優で妹はモデルという芸能一家。今注目の191cmと長身な俳優なので、さすがに長身なペニーワイズは貫禄があり怖かったですね。
CGなんかも多彩に使ったりと現代味あふれるリメイクでしたが、がっかりするほどでもなく合格点な出来栄えではないでしょうか。
2作目で補完されることを願います
見た環境が良すぎた
青春ホラー映画
ホラーは苦手な僕ですが、何となく観れるんじゃないかなと思い鑑賞させていただきました。
結果最後まで見れましたが、僕には充分怖かったです。
僕で観れるほどですのでホラー映画とはいえ、観れる方は多そうです。
肝心の中身は青春映画ともなっており、目立たない子達が腕力強い組にやられてたり、可愛い女の子に恋したりと何だか懐かしいような、自分が子供だった頃を思い出すような、そんなシーンも沢山あり、そういったところがホラー映画でもよく観れるところでもあり、また映画に深みを与えてエンターテイメント性も高くなっております。
個人的にはホラーは苦手でも青春映画は大好物ですので、とっても楽しく観れました。
ホラーは苦手だけど、青春映画が好きな方にはオススメです。
スティーブンキングという事もあり、何だかスタンドバイミーも思い起こすようなそんな映画でした。
謎がいくつか残ったんで、それは次回には解決するのかな。
ホラー×青春映画
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