「クドいドラマに冷めてしまう」新感染 ファイナル・エクスプレス KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
クドいドラマに冷めてしまう
新幹線の車両って閉ざされた空間でのゾンビパニックなんて設定だけで新鮮でワクワクする。
日常に入り込み少しずつ広がる違和感と序盤ドキドキして、車内に感染者が入り込んでからは油断できない展開にハラハラと恐怖で本筋はとても楽しかった。
多めのサブキャラ達が良い味出してんなーと思ってたら、彼らの人間ドラマをいちいち見せてくるのでさすがにクドい。
大切な人を守るために自ら犠牲になる展開を何回もくり返すのもクドい。
そのせいで最後、自分のことしか考えてなかった主人公ソグが、娘と妊婦を助けるために犠牲になった っていうインパクトと感動性がかなり薄れてしまい大変残念。
一番ショッキングかつ重きを置いているだろうポイントなのに…
食傷気味の人間ドラマと共にどんどん減る登場人物、ラストに妊婦と女児って圧倒的な弱者が残るのはなかなか印象的だった。
トンネルに響く音痴なスウォンの歌声には、そのバックグラウンドも含め胸を打たれた。
感染者の設定が甘め。
目視と物音で襲う対象を判断しているようだけど、トンネルごときで機能しなくなる視覚に笑ってしまう。
まあそのおかげで車両を突破できたり新しい逃げ道を作れたりと面白いんだけどね。
嗅覚は使ってなさそうなのに感染者と生存者の区別はしっかりついててそれも笑える。
この辺は他のアンデッド系全般に言える事だけど、そこを突っ込ませる隙を与えないスピード感のめり込ませ方が足りなかったように思える。
スローモーション多用の映像演出がまたダサい。
重なり合って崩れる感染者の山には「お!」となるけど結構規模がショボくてワールドウォーZの二番煎じにもなれ切れてないのが残念。
俊敏なゾンビは大好きだし新幹線の設定を活かした本筋展開と印象的なラストは面白かった。
ただクドいドラマとダサめの演出に少し冷めてしまい、のめり込んで楽しむことができなかった。
ちょっと相性が良くなかったのかなー。