羊と鋼の森のレビュー・感想・評価
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そしてまた新たな森へと入る
私は原作を既読済みだ。
この映画は小説以上に視聴者の想像力を掻き立てるような挑戦作になっていると感じた。映画オリジナルの構成が前述の内容をより掻き立てさせていた。
この映画ならではの特徴と感じたことは、登場人物自身の心情をセリフでださないが挙げられる。敢えて視聴者それぞれによって感じ方がかわる心情描写を作り上げる為だと感じた。私には中々斬新な作りだと感じ、とても楽しめた。途中主人公に共感して苦しくなる場面もあった。そういった意味では、主人公の心の葛藤は特に丁寧に描けていたと思う。
音楽については流石だと感じた。自然の風景が私にも見えた気がしました。
以上より、一度は見てみるべき映画だと思った。
しっとり観ましょう
美しいもの、素晴らしいもの、自分の好きなものを奏でていく
こちらもコミック実写だが、今年公開されたその中では良作の一本。
ピアノの音色に魅せられ、調律師となった青年の物語。
ピアノは弾けないどころか、どの鍵盤がドの音か分からないぐらいだが、調律師が何をする人かくらいは知っている。時たま映画の登場人物の仕事が調律師であったりする。(最近だと、『家族はつらいよ』の妻夫木)
ほとんどが肩書き程度なので、こんなにも調律師をメインにした作品も珍しい。
知られざる調律師の世界は新鮮で、興味深い。そして、奥深い。
我々には異常無い音のように聴こえても、微かな音のズレも聴き逃さない。
それを調整。
丁寧に丹念に、高度なテクニックと作業が必要とされる。
それはまるで、芸術的でもある。
ピアノ奏者にとっても、言わば絶対的なパートナー。
奏者のどんなリクエストにも応える。
軽やかな音、力強い音、走るような音…素人には分からない音も見事に調整。
調律師居てこそ奏者はピアノを奏でられると言っても過言ではない。
時には、ピアノのお医者さんでもある。
調子が悪いピアノや古びたピアノを、元の美しい音を出すピアノに戻す。
ピアノ自体、メンテナンスと言うより、人間の身体のようにケアが必要。
堂々としていて、繊細。(親しい人でピアノをやる人が居るので、よくそんな話を聞く)
奏者以上に、ピアノの全てに寄り添う、ピアノの専門家。
主人公の青年・外村が調律師を目指すきっかけとなったのは、学生時代偶然、超一流の調律師の出すピアノの音に心を奪われたから。
その時の感性・イメージがユニーク。
彼が聴いたピアノの美しい音は、美しい森とシンクロ。
外村は北海道の自然の中で産まれ、育ち、それが彼にとっての美しいものなのだろう。
ピアノに携わる人たちの感性・イメージは、様々。
外村が担当を受け持つ事になった姉妹の姉。一時期スランプに陥るが、再びピアノを弾く。その際、溺れていた水中から浮かび上がろうとし、光に手を伸ばす。
皆、それぞれの気持ちや思いでピアノと向き合う。
つくづく、奥が深い。
話としてはオーソドックスな青年の成長物語。
憧れ、学び、挫折を経て、一人前として、人間として。
恩師や先輩の存在。
外村と関わりを持つ奏者たちの苦悩と、同じく成長。
知ってはいたけど改めて知る、美しいだけじゃない厳しい調律師/ピアノの世界。
ありきたりっちゃあありきたりだが、素人から見れば見易い。
コミック実写故、カットされたエピソードは目立つ。専門学校や孤独な元少年ピアニストのエピソードはもっと描かれてた筈。
山﨑賢人が主人公の青年を好演。
あまり山﨑や彼の出る映画は好かんが、本作はなかなか悪くなかった。本作と同じ橋本監督の『orange オレンジ』でも好感持ち、この監督と相性がいいのか、題材や役柄が良かったのか。
鈴木亮平、三浦友和らが好サポート。
性格もピアノの音色も対照的な姉妹を、上白石姉妹が演じているのも見所。
北海道の雄大な景色、緑豊かな森、ピアノが置かれてる部屋に差す陽光…。
劇中奏でられる数々のピアノの楽曲…。
これら映像や音楽が本当に美しく、癒され、心地よい。
心に残った台詞が幾つかあった。
外村が恩師に目指す音を問い、恩師はある詩人の言葉を引用する。
「明るく静かに澄んで懐かしい。
少しは甘えているようでありながら、厳しく深いものを湛えている。
夢のように美しいが、現実のように確か」
才能とは…?
自分の好きなものがとことん好きという気持ち。
絶対諦めない気持ち。
執念と言えるほどの。
ホールで弾くピアノと部屋で弾くピアノ。
どちらがいいなんて、比べられるものではない。
どちらも美しいものに変わりはない。
好きなもの、美しいもの、素晴らしいもの…。
こつこつ、こつこつ、それらを奏でていく。
良い話だが、ピアノを聞いていると眠くなった
二本立て二本目。近くのおっさんの独り言がうざいので前に移動(笑)客...
物静かなピアノの調べ
山崎賢人さんがはまり役、純粋な映画。
初々しい
癒されました
好きなことがあることは凄いことだと思う。将来、これで生きていきたい...
近年稀に見る純映画
ネタバレチェック入れるほどでもないが、軽いあらすじ程度のネタバレあり。注意!
本作の見どころは2つある。
一つは、純粋に、時間軸に則って進むストーリー構成。
二つ目は、目に見えぬ音楽と心理描写を描き出す卓越した技術。
一つ目から。最近の映画はやけにチャカチャカした映像が多い。
ストーリーを切っては繋げ、切っては繋げ、製作者の主張だけを不自然に強調し、それ以外は不要と言って切り捨てる。それを私はチャカチャカした映画と表現した。
しかし、本作は、時間順に前から不自然なカットをすることなく、主人公の主観的視点を最初から最後まで追って行く。近年稀に見る純文学のような映画だ。
小説は読んだことはないが、不自然なテクニックに頼らず純粋に新米調理師の成長を描き出している。
映画の内容自体も素晴らしい出来だ。ここが二つ目の見どころ。どの世界でも新米なら当たり前にぶつかる壁を乗り越えるベタなストーリーだが、先にも述べたように最近チャカチャカした映画が実写にもアニメにも多いので、改めて感激、感心した。
また、先程作者のテクニックについても少し触れたが、本作の作者は、登場人物の心理描写や音楽といった目に見えないものを表現するのに長けているようだ。それでいて、腕を見せびらかすような、作者による一方的な主張がなされないのがとてもいい。二度褒めるに値する。
ぜひ一度観てみて欲しい。特に、音楽を一度でも経験したことのある人ならなおさらだ。中盤、主人公がミスする場面は、私自身が音楽経験者だけに、観ていてとてもヒヤヒヤする。それだけに乗り越えた時の感動はひとしおだ。
もちろん、今まで音楽に関わりがなかった人でも十二分に楽しめると思う。それは新米調律師が主人公と言っても、ストーリーそのものは音楽ではなく成長物語だからだ。
他者のレビューが思ったほどでもなく、とても不思議に思う。個人的には全体評価で星4点越えは固いと思うのだが...。機会があれば何度でも見返したいと思える作品である。
表面上は取り繕って
なんかきれいで静かな世界でしょう?丁寧に紡いだ物語ざましょ?と、作られた世界観に、感動してる私!みたいに上手くだませたみたい。レビュー読んでると。丁寧にコツコツ?もたもたとモジモジの間違いでしょ。眠くなったあなたの身体の方が正直だよ。そんな映画に高評価つけなさんな。普段映画見てる?
主人公のコミュ障が終始嘘っぽくイラつく。急に走り出して泣くよ!どうしたこのベタな演出!監督はおじいさんなの?激した表情は放送事故レベル。演技絶賛って、皮肉!?
キレイな映像って、急に森だの景色だの出してキレイなピアノ音楽重ねて、そりゃあ「綺麗で静か」だよ。でもそれって映画?調剤薬局の待合室の環境ムービー見て癒されるー。そんなレベル。
何もかもが唐突で上っ面。製作費もったいない。
感動😭
上品
なんとも静かな作品だった。
「調律師」という職業を軸に成長とか繋がりをテーマにした内容だとは思うのだが…いかんせん盛り上がらない。
まるで前奏を延々と聞かされてるような感じで、正直退屈だった。
それに関わってる人が観ると、違う印象を抱くのだろうが、どおにも焦点がぼやけてる印象。
「調律師」的には実に繊細な仕事で、その内容に敬意を抱き驚愕もするのだが、案外サラッと描かれてるように思える。
ピアノが響かせる音域の深淵に踏み込むような導入でありながら、作中では「ピアノ」はやはりツールであって、それを奏でる人にこそ、その迷宮を踏破する道標があるかのように。
双方ともに理解するには途方もない労力を必要とするのだが、それを並列として描いているように思うからこその感想だろうか?
なんとなく、踏み込む方向が違うように感じ、上品に表層だけを撫でたような感。
作中の弾き手の方々はどなたもお上手だった。
ちょっと目を引いたのは鈴木氏。
彼の台詞には、あまりブレスを感じない。
余分な吸気音が極端に少ないように感じ、それ故に在り方に違和感が少なく思え、ちょっと目から鱗だった。
まあ、たまたまなのかは知れないのだが。
この原作は、果たして面白いのだろうかと、不躾な感想を抱くほど、人間ドラマとしては少々食い足りなかったかな。
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