「妻が暴行にあって夫がとった行動」セールスマン kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
妻が暴行にあって夫がとった行動
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セールスマンとは、国語教師の主人公が趣味(か、副業?)で参加している演劇で演じる役だ。
これが劇中劇として本編に絡んでくるかと言えば、そうでもない。
ただ、主人公夫婦の心理の移り変わりに、練習風景や本番の舞台、楽屋裏、劇団員たちが微妙に関わってくる。
イランの国民性も社会的背景もよくは知らないが、あれが中流階級の姿なのだろう。
オープニングのタイトルバックの映像は芸術的だった。
ストーリーは淡々と進んでいった印象だったが、加害者が判明してから意外な展開を迎える。
被害を受けた妻の心理的な閉塞感はよく解らないが、加害者である老人を見てからの夫を制止しようとする気持ちは理解できる。
妻は何かを隠しているのではないかと疑ったが、そうではなかった(のだろう)。
しかし、老人と妻の間で本当は何が起きたのか、まだ判然とはしていない気がする。
老人の妻と家族は、老人の所業は知らぬままなのだろう。
しかし、主人公夫婦はこの後どのように事件を乗り越えていくのだろうか。
破綻の結末しか想像できないのだが。
役者たちは皆達者な演技を魅せている。
ほとんどが狭い空間で、カメラは役者たちに接近している。
町で加害者の車を捜す、追うシーンでさえ、ほぼカメラは車中にある。
そんな中で、夫と加害者老人を見つめる妻が、少し遠い立ち位置だったのが印象的だった。
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