エル ELLEのレビュー・感想・評価
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レイプリベンジムービー
ポール・バーホーベン久々の新作。 主人公がレイプされるという衝撃的な冒頭シーンからスタートし、ストーリーが進むうちに主人公の背景や彼女を取り巻く人々との関係が明らかになっていく。 あらゆる暴力に対して、(表向き)毅然とした態度を崩さずリベンジとアベンジを成し遂げる主人公は、これまでバーホーベン作品に登場する女性主人公の到達点と言えるかも。 そして、広義の意味でこの作品はいわゆるレイプリベンジムービーなのだと思った。
とてつもない名画
鑑賞後、今後の人生 必ず一度はこの映画を思い出すだろう。 そう思わせる力のある映画でした。 この映画が、40年前の作品であっても 現代の映画であっても構わない オールタイムで楽しめる名作です。
異常な人々に囲まれても揺るがないイザベル・ユペールの魅力たるや
異常な人々に囲まれても計り知れない大きさの器でそれを受容してしまうミシェル。知性と強さを兼ね備えたイザベル・ユペールが演じるからこそ、この作品はサスペンスとして成り立ったのだと思う。変にエロ可愛い女優が演じたらこの品格は保てない。 レイプという重苦しい題材なのに、どこか痛快な面白さがあって、でもサスペンスとして成り立っている。不思議と惹きつけられる1本だった。
サスペンスというよりコメディ
レイプの残虐さに暗澹たる気持ちになるかと思いきや、それはとっても希薄、軽めに描かれていて胸糞悪くなることは全く無かった 犯人も早めに見当ついてしまって サスペンスとしては脆弱な感じがしたんだけど、随所に人間の本質が生み出す滑稽さが在って ずっと笑ってしまった ミシェルを筆頭に登場キャラ皆それぞれに 一般規律や道徳から外れた側面があって その不完全さをさらさら省みない「だから何?」的姿勢で生きている様が潔く感じた 結果的に自他それぞれ傷つくんだけど 自分の好きなようにやってる姿にユーモアがあって 慈しみさえ感じてしまった その果てに あのラストが用意されてて ケセラセラな映画だった
魅惑と恐ろしさの女
主演のイザベル・ユペールは『ピアニスト』。
監督のポール・ヴァーホーヴェンは『氷の微笑』『ショーガール』『ブラックブック』など数知れず。
どちらもセンセーショナルな代表作を持つ二人が組んだのだから、平凡な作品になる筈がない。
何せ、イザベル演じるミシェルが、開幕からいきなりレイプされているのである。
しかしその後、何事も無かったかのように振る舞う。風呂に入り、血を洗う。
翌日は出社。ゲーム会社のCEOのミシェル。
現在開発中のゲームは過激な描写が売りで、あんな出来事があったのにも関わらず、もっと過激にと指示。
友人たちと会食中、レイプされた事を平然と報告し、警察に通報しない旨を告げる。
時折“トラウマ”が蘇り、犯人からと思われる嫌がらせのメールも届く。
犯人が身近にいると感じたミシェルは、自ら犯人を探そうとする…。
犯人探しや復讐サスペンスの醍醐味もあるものの、ミシェルやその周りの人間模様がメイン。
何より翻弄されるのは、大胆なミシェルの言動。
被害者なのに変に怯えたり警察に通報しないどころか、知人の旦那と関係を持ち、隣のイケメンを双眼鏡で覗きながらオ○ニーしたり、ご近所を招いての会食中誘惑したり…。
まるであの事件が彼女の中に眠る性や欲を目覚めさせたかのように。
息子と不仲のミシェル。
息子の妻が出産するが、産まれてきた子は…。
歪んだ親子関係。
その原因は、ミシェルの過去にある。ミシェルの父親は…。
ミシェルは○○○の娘だったのだ。
と同時に、彼女が警察を嫌う理由でもある。
再びミシェルを、犯人が襲う。その正体は…。
しかし警察には通報せず、変わらぬ関係を続ける。
が、予想だにしない結末。
ミシェルという人物、過去…。
イザベル・ユペールの魅惑さと怪演と共に、終始翻弄される。
主人公が素敵すぎ。そして周りがヒドすぎ。 監督の趣味バクハツでおも...
主人公が素敵すぎ。そして周りがヒドすぎ。 監督の趣味バクハツでおもしろかったー。 あとお母さん!たまらん。ジュディット・マーレなる女優らしいけど、いかすなーあ。
サスペンスとして普通に面白い
お昼休憩にテレビでみる昼の連続ドラマ@フランス というところ。 飽きさせない展開だし、設定も凝っているので謎解き含め普通に楽しめました。 グロい言う人も見かけますが、今どきなら普通レベルでしょう。 これまで人生で見てきたレイプ後の描写って、泣いて二、三日目引きこもるというのが定番だったから、もしも我が身に降りかかった時はそうなるんだろうと思ってたけど、この映画のおかげで冷静に風呂に入って淡々と…としてしまいそうな気がしています。
とらえきれない魅力
一応誤解をといておくと、氷の微笑のよう な、謎を最後まで引っ張る話ではない。
主人公ミシェルに特に隠された背景というの もない。 いきなりレイプ場面から始まるが、その犯人との異常な関係性を飄々と受け止めている、 彼女の変容性というか一種のおおらかさが、見ている者を困惑させ、畏怖させるのだ。
ミシェルはサイコパスでもなければ、異常な マゾでもない。
だから彼女の中に積極的な被虐性欲というの は認められないけれど、状況に流されている ようでいて、それを楽しんでいる節はある。
彼女の相手が男だろうと女だろうと、彼女に対して何かしてやりたい、コントロールしたい、という欲求を沸き立たせる存在なんだけれども、それを敢えて放置している。
そしてミシェルは、最終的には邪魔になった相手を、自分の手を汚さず排除することやってのける。
結局、大量殺人を犯した父親との間に謎が隠されていたわけではないが、彼女が父親の中の何かを触発したに違いない、という確信を十分抱かせるほど魅力的なのだ、ミシェルは。
男たちは力づくでミシェルをコントロールしているようで、結局は弄ばれているのであ る。
一方的な快楽だけを求める男たちより、女同士の方がいい、と匂わせるラストも痛快。
レイプ犯の妻がミシェルにお礼を言う場面も、異常で好き(笑)
旦那が大変なことをしでかしてすみませんでもなく、不倫していたことをなじるでもない。とんでもない性癖の旦那の相手をしてくれてありがとう、ですもんね。
私だってあんな旦那がいたら、身も心も疲弊する。あのときのミシェルの目は、彼女にどことなく同情的だった。
御年64歳のイザベル・ユペールのたおやかな 上品さがなければ、下品な映画になっていた に違いない。 当初はアメリカでの撮影を試みたと言うが、【氷の微笑】のシャロン・ストーンのように、ギラギラと外に発散されるエロティズムはこの映画には相応しくない。
このヒロインは少し【ゴーン・ガール】を想 起させるが、毒のある軽やかなユーモアは ちょっとアメリカ人キャストでは想像しがた い。やはりフランスで撮って正解。
観る際に厳しい道徳観は邪魔になるかも
異常な性愛を描いた作品である。
監督は『ロボコップ』や『トータル・リコール』『氷の微笑』を演出したあのポール・ヴァーホーヴェン、本作における大胆な性描写は『氷の微笑』に通ずるところはあるかもしれない。
ただ大胆とはいっても、昨今は『LOVE 3D』などの真に過激な性描写を売りにした映画が存在するので、それらに比べてしまえば大人しく感じるだろう。
本作はレイプに対する倒錯した感情を扱っているので、どちらかというと倫理観として大胆な描写と言えるだろう。
ヴァーホーヴェンには他に母国で監督した『ブラックブック』という作品がある。女性が主役のサスペンス映画だったと思うが、あまり覚えていないのでそれほど面白くなかったように思う。
上記作品以来およそ10年ぶりでヴァーホーヴェンの監督作品を観たことになる。
原作者はフィリップ・ディジャン/ジャン、『ベティ・ブルー』の作者でもある。
『ベティ・ブルー』に関して、筆者は原作を読んではいないが、映画はレンタルビデオを借りて観ている。
当時20歳そこそこの筆者には主人公たちの性愛を含んだ愛の機微が何一つわからなかったが、なんとなく壮絶な作品であることだけは理解できた。
本作を観た後に原作小説も読むことにした。
原作小説の題名は『OH…』、フランスの5大文学賞の1つ、アンテラリエ文学賞を受賞している。
因みに映画題名の「Elle」はフランス語の「彼女」と主人公ミシェル(Michelle)の後4文字をかけているという。
イザベル・ユペール扮する主人公ミシェルと友人のアンナが共同経営する会社は原作では脚本を映画化やドラマ化する際のエージェント会社なのだが、本作ではより視覚効果が見込めるゲーム製作会社に変更されている。
また息子ヴァンサンの妻ジョジーは原作では結構な太めだし、産まれた子どもも白人だが、本作ではジョジー役にある程度の美人を起用し、子どもは視覚的に即座にヴァンサンと血のつながりを感じさせない黒人とのハーフにしている。
他の原作と異なる点としては、会社の部下たちとの葛藤は原作には全く存在しないし、殺人鬼の父親もミシェルが会うことで自殺するわけではなく物語の中盤であっさり病死してしまう。
原作を知った上で本作を改めて考察すると映画的な翻案として成功していると思う。
もちろん原作は小説として面白いが、全く忠実に映像化してかえって味気なくなる可能性はある。
原作では影が薄かった異常性愛者パトリックの妻レベッカが、本作では人物としてより掘り下げられ、夫の行動を黙認していたある意味において共犯者であることを暗示するかのような設定は思い切った転換である。
原作のレベッカは夫の異常性愛に悩むかのように宗教にのめり込み巡礼の旅に出て家をあけがちでほぼ登場しない。
もちろんパトリックの死後引っ越しの際にミシェルとレベッカが交わす会話も原作には描かれてはいない。
また本作ではパトリックの死をミシェルがたくらんだと見ることも可能だが、原作ではパトリックとの異常性愛にミシェルはすっかり溺れている。
結構印象は違うが、原作と映画の本作、どちらもそれなりに面白い。
本作を観て興味を持った方には、原作小説を読むことを強くお薦めする。
ただここである程度ネタばらしをしてしまったので、それでも良ければの話になるのは申し訳ない!
当初ヴァーホーヴェンは本作をハリウッドで映画化することを想定していたらしいが、ミシェル役を誰も演じたがらなかったのだとか。
原作だとミシェルは40代後半から50代前半といったところだが、本作では今年64歳のユペールが裸をさらけ出した迫真の演技を魅せている。
ユペールがミシェル役に手を挙げたことでフランス映画になった経緯を持つ本作だが、主人公の迫力を他の役者に出せたのか甚だ疑問なので、原作小説の母国語で映画化されたことも含めて今考えれば他の選択肢はなかったように思えてしまう。
なお原作者のディジャンも執筆中にユペールを思い浮かべることがたびたびあったという話である。
ただし本作全体を考えるなら、道徳観念に縛られたまま本作を観てもただつまらないだけだと思うので、恋愛観や結婚観において潔癖な人が多い日本人全体にはあまり受け入れられない映画なのかもしれない。
うまいなあ♪
面白い!やっぱりポールバーホーベンはうまいなあ♪たいへんよく出来た映画らしい映画です。その面白さは、単に役者がうまいとか脚本がいいとかではなく、演出の素晴らしさによるところが大きいです。役者の演技から音楽、小道具まで、あらゆるところに手入れが行き届いていて、観ていて集中を妨げるものが何もない。これはありそうでなかなかない。とても上質で手の込んだ料理を食べたような、そんな映画でした。若者が観ても熟年夫婦が観ても、それぞれの楽しみ方ができる作品だと思います。いつかまた観てみたいな。
TOHOシネマズシャンテにて観賞
イザベル・ユペールが巧い。彼女の淡々とした凛々しさはハリウッド映画ではお目にかかれぬ面白さがあるが、犯人はきっちり意思を以て倒して欲しかった。
犯人探しのミステリーは割と驚きは少なく、ヴァーホーヴェンの演出もちょっと古さを感じる。
フランスだからできた女性像!
かなり前に観ました。
いやー、フランスはいいですね!
(フランスだからできた女性像ですねー)
『エル ELLE(2016)』
原題 Elle
(あらすじ)
エロゲー制作会社を経営しているミシェル(イザベル・ユペール)は、自宅に侵入して来た覆面の男にレイプされる。
しかし過去に父親が起こした事件により、幼少期に警察で嫌な経験をしたミッシェルは、通報することを拒む。
そんなミッシェルに、嫌がらせのメール等が届くようになる。
やがて犯人が分かったミッシェルと、その男との奇妙な関係に発展するのだった……。
監督がポール・バーホーベン!
あのー私、どんなに駄作と言われようとも、映画の9割は女優さんがトップレスであっても、主役のエリザベス・バークレーが巨大すぎで、ダンスシーンで男性の俳優さんがヨロヨロでリフトしても。
どーしても、バーホーベン監督の
『ショーガール(1995)』
原題 Showgirls
が、好きなんです!
この作品にも、主人公の友人が有名歌手にレイプされて、復讐でボッコボコにするシーンがあります。
バーホーベン監督の『トータル・リコール』『氷の微笑』にも、ドSな強くてセクシーなシャロン・ストーンいますけども。
で、今回の主人公ミッシェル、(内面が)激しいです。
ミッシェルだけではなく、その息子や、友人達も。
激しいだけではなく、笑っちゃう。
笑うっていうか、笑ってういいのか迷う感じですね。
例えば息子の生まれた子どもって、肌が黒い。
奥さんは浮気してるのに、息子はそこに全く触れない(気付かない)。
※おそらく息子の友人が、浮気の相手。
ミシェルの母には、孫くらいの愛人がいる。
とか、なんで?って(笑)
洒落にならない、苦い笑いなんですよねー。
ただ、父親は死刑囚?無期懲役犯?なので、大きな事件を起こしてるんですが、飄々と堂々と生きているイザベルは、ちょっと格好良くもあるんですよね。
このイザベルの前では、男達が弱く愚かに見えます。
けれど、そんな男達にもイザベルは優しい視線を向けたりする。
どないやねん!
分かんないんですよね。
サスペンスなのか?ミステリーなのか?
ジャンルに置きに行く作品ではないので、なんか落ち着かない。
町山さんは、ブラックコメディと仰ってましたけど。
まー、そうなんかな?
けどイザベルの快演に圧倒され、最後まで引き摺られる。
イザベル・ユペールと言えば、私の中で一番むなくそ悪い映画「主婦マリーがしたこと」の主演で、御年60歳オーバーですよ。
それなのに、このヌード!凄いです。
マリーは、フランスで最後の女性ギロチン処刑者ですね。実話でした。
まー、むちゃくちゃな価値観を持った女性でした。
今回も観客の価値観を根底から覆す、?なラストが用意されています。
覆すと言ったら大げさかな?
ただ、他人の価値観に縛られない、新しい女性像をバーホーベンは作り上げたと言っても過言ではないと思います。
てか、フランスだから、作ることができた女性像ですよね。
64歳!
お疲れ様です・・・・・ という感じかな。 もう少しサスペンス性があると思っていたが、 それに関してはほとんどないに等しい。 出てきた途端に怪しいと思える人物が、やはり犯人のパターン。 では、幼い頃のトラウマを抱えるヒロインの心理を鋭く抉っているか、 というとその点でも物足りない。 事件を機に新たな何かが芽生えた感は薄い。 さらに、エロティシズムという観点ではというと、 個人的には年齢が行き過ぎていて痛々しい。 ヒステリックで盛りのついたおばあさんの艶姿には、 郷愁すらおぼえる。 鈍感な私には気付かない何かがあるのかもしれない。 でも、私にはそれほどの深みは見いだせなかった。
変態
全員、変態。 変態アウトレイジ。 まあ何が一番変態って、80近いのにこの作品を作っちゃうバーホーベンですね。 変態映画を撮りつづけてきたハリウッドきっての変態監督はやはりすごかった。 今回は(も?)変態過ぎてハリウッドでの映画化は無理だったみたいだけど、結果イザベル・ユペールの変態演技とフランス語の独特の変態性が見事にマッチして、素晴らしい変態映画となった気がします。 アメリカで企画してるときは大物女優に断られまくったみたいだけど、いやイザベル・ユペールも十分大物女優なんですけど、彼女の新たな代表作として評価まで伴って見事な結果でしたね。 まだまだバーホーベン監督の変態映画、見たいです。 92
そこはかとない別世界の話
さっぱり共感を得られない世界観の作品。貶すということではないのだが、作品の綺麗さや造りの丁寧さは充分に感じられるのだが、何故だろう、イメージが湧かないというか、これはもう或る意味異次元の空間の出来事でさえ思えてしまう。勿論、映画の中の話だから、あくまでフィクションであり、現実世界に寄らせる必要はないのだが、どこにも寄り添う事が出来ないジレンマめいたものをずっと抱き続けるそんなストーリー展開なのである。乱暴の件、加虐嗜好の件、内輪の中の節操のない関係性、そして、幼児期に背負った親へのトラウマ。上手く結びつけたいのだが、結局主人公の強さで強引に接着してしまう力づく。
多分、シチュエーションを同じくして日本人がやったらこれはテレビドラマになるのではないだろうかと思ったら似たような題材が探せば出てくるだろうね。
ただ、これを演じる主役の女優の力量は相当高度でなくてはならないとは強く感じる。
母は強し、女は強し といったところに帰結するのかな?付け加えて言うならば、やたらと男の臀がペロンペロン出てくる、或る趣の人達の目の保養なシーンが盛沢山でもあるw
※余談だが、映画作品全般について、リアリティを持たせるのならば、やはり乱暴シーン時に局を手で持ってじゃないと事に及べないとおもうのだが・・・余計なお世話か(苦笑)
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