エル ELLEのレビュー・感想・評価

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エル ELLE

劇場公開日 2017年8月25日
131件中、1~20件目を表示 映画レビューを書く

男なんて災厄したもたらさぬ動物。 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

この映画では、登場人物の誰もがセックスに振り回されている。イザベル・ユペール扮する主人公ミシェルにいたっては、レイプ被害者であると同時に親友の夫とも妻のいるご近所さんとも関係を持ち放題の性豪で、精神的には親友の女性と同性愛的な繋がりもあるという貪欲レディである。

ただイザベルは男たちと違い、純粋にセックスそのものを楽しんでいるだけで、相手への所有欲をこれっぽっちも持ち合わせていない。このドライさがイザベルの強さであり、それゆえに男たちを余計に燃え上がらせてしまうトラブルホイホイにもなっている。

気がつけば、セックスに自分のエゴを持ち込む男どもは、結局は女たちに災厄しかもたらさない。女性同士の連帯が痛快ですらあるラストに、男性側の一員として「なんだかごめんなさい」謝りたくなってしまうのは、ヴァーホーヴェンの男女観ゆえだと考えて構わないものだろうか。

バッハ。
バッハ。さん / 2017年8月31日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  笑える 怖い 知的
  • 鑑賞方法:-
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バーホーベン大復活!

世の中と同様、映画界も何かと表現の枠が狭まり、昔みたいに何でも描ける時代ではなくなってきた。特にバーホーベンのような才能は生きにくい時代なのだろうと・・・。ところがどうだ。この鬼才が今、重厚さとエキセントリックさの狭間を自在に行き来しながら、こんなにも奇妙でゾワゾワする一作を作り上げてしまうなんて。おそらく彼にとっても生涯最高の賞賛を獲得している本作は、自宅で暴漢に襲われ被害者となったヒロインの内面と記憶を掘り下げ、観客に思いがけない過去を突きつけてくる。このミステリアスな語り口が本当にクセになる。たまらない。何よりもイザベル・ユペールというミューズを獲得することで、このあまりに不可解な闇を持つキャラクターが見事に息づき、そこに仄かなコミカルさを付与するという離れ業が成立している。これは神の仕業が、それとも悪魔の戯れか。バーホーベンが産み落としたキャリア最高の怪作に心から拍手を送りたい。

ぐうたら
ぐうたらさん / 2017年8月31日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  笑える 怖い 興奮
  • 鑑賞方法:映画館
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イザベル・ユペール、最高のキャスティング

彼女のファンなら、この映画は絶対に見逃せない。過激な描写も若干含まれるので苦手な人は仕方ないが、イザベル・ユペールの美しさ、強さ、知性が存分に発揮されている。

主人公がレイプされると聞き、ポール・バーホーベン監督の過去作「氷の微笑」や「ショーガール」を思い浮かべて、今回もエロティックなシーンがありそうと予想する男性観客には、「過剰な期待は禁物」と釘を刺しておきたい。もちろん、そういうシーンがまったくないわけではないが、男性向けのサービス映像?にはなっていない。あくまでも、社会通念に縛られないヒロインが自分の欲求や目的のために行動し、さまざまな“行為”を愉しむのだ。広義のフェミニズムと呼べるだろうが、従来のフェミニズムの型にもはまらないユニークさに唖然としたあと、喝采を送りたくなるはずだ。

AuVis
AuVisさん / 2017年8月30日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  怖い 興奮 知的
  • 鑑賞方法:試写会
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見終わると自分が解放された気分になれるかも。

レイプされたことを平気で友達とのディナーテーブルの上に上げ、レイプ犯に目星を付け、自らの方法で単独捜査を始めるばかりか、怪しい相手と恐怖を超えた遊戯を楽しむ女。彼女は全く被害者然としていない。なになに然としていないのは、妻の親友と不倫する夫や、やりたい放題の恋人に付き従うひ弱な息子や、夫の蛮行を相手のせいにする信仰深い妻も同様。みんな表向き与えられたポジジョンを放棄しているかのよう。あちこちで崩壊したモラルと、そもそも、モラルなんてあってないようなものだという監督、ヴァーホーヴェンの企みが、異常を異常と感じさせないユペールのフラットな演技によって具現化された映画の、なんと痛快なことか!?無理する必要などない。でも、見終わると自分が少しだけ解放された気分になれるかも知れないリアル・ファンタジー映画だ。

MP
MPさん / 2017年8月26日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  笑える 怖い
  • 鑑賞方法:試写会
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困難 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

終始、行動原理が読めない。観てるこちら側が振り回されつづける。犯人を誅したかったのか、恐怖から解放されたかったのか、自身の尊厳を守りたかったのか未だにわからない。そこまで計画的であったのかも判別しづらい。息子に鈍器を握らせることが最善とも言えそうにない。復讐というよりも、「そろそろ」やろうと思ったから始末したという、ぼんやりとした決意なのかもしれない。
鮮やかではない人間の術。もやもやとした居心地の悪さが残る。

Kj
Kjさん / 2018年5月3日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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全然よくわかりませんでした ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

共感度が極めて低い作品でした。
なんか全体的に変な方多かったです。
主人公の女も、冷酷だし、レイプを受け入れ始めてるし、息子の嫁は完全に息子の親友の子供を授かってるし、なんだか全然わけわかんないストーリーでした。
そして主人公の女優さんの顔と声が好きではなかったため、見ていて入り込みにくかったです。

自分の友人の旦那とも寝てるし、それを友人にバラしたのに、その友達関係は続いていて気味が悪いです。

最初の時点から、レイプの犯人が隣人だと予測がついてわかってしまったので、犯人がわかった時、でしょうねくらいでした。
吹き替えで見たかったなーと思いましたが、フランス語?のみでしたので、残念でした。

ゆっこ
ゆっこさん / 2018年4月30日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 2.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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んー、、ユペールといえば、だねっ!

ピアニストを思い出すような、、衝撃作。
うん、気持ち悪。(良い意味でも悪い意味でも)

R Film n
R Film nさん / 2018年4月20日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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見方が難しい

ミステリーだと思って最後まで観てると本質を見失ってしまう。
ポール・バーホーベンらしさ満載でエロく妖しく不穏な雰囲気のままラストまで行ってしまうので、「え?」と思ったけど、見せたいのは犯人ではないのだな、と思った時に女性賛美というか、男は情けなく弱いというか、ドンドン主人公の事が格好良く思えて来た。

男の情けなさはキャラクター全員が共通してたけど、
女性の強さというのは息子の妻のような口喧しいのではなく、
自分の欲に忠実に自分で道を切り開いて行く事だと説いてるようで、
それも終わってみれば浮気相手の奥さんも隣人の女性も共通していた。

女性たちの時代がやって来た。

奥嶋ひろまさ
奥嶋ひろまささん / 2018年4月8日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 2.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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レイプリベンジムービー

ポール・バーホーベン久々の新作。
主人公がレイプされるという衝撃的な冒頭シーンからスタートし、ストーリーが進むうちに主人公の背景や彼女を取り巻く人々との関係が明らかになっていく。

あらゆる暴力に対して、(表向き)毅然とした態度を崩さずリベンジとアベンジを成し遂げる主人公は、これまでバーホーベン作品に登場する女性主人公の到達点と言えるかも。

そして、広義の意味でこの作品はいわゆるレイプリベンジムービーなのだと思った。

青空ぷらす
青空ぷらすさん / 2018年4月4日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  笑える 怖い
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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とてつもない名画

鑑賞後、今後の人生
必ず一度はこの映画を思い出すだろう。
そう思わせる力のある映画でした。
この映画が、40年前の作品であっても
現代の映画であっても構わない
オールタイムで楽しめる名作です。

nov
novさん / 2018年4月1日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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異常な人々に囲まれても揺るがないイザベル・ユペールの魅力たるや

異常な人々に囲まれても計り知れない大きさの器でそれを受容してしまうミシェル。知性と強さを兼ね備えたイザベル・ユペールが演じるからこそ、この作品はサスペンスとして成り立ったのだと思う。変にエロ可愛い女優が演じたらこの品格は保てない。
レイプという重苦しい題材なのに、どこか痛快な面白さがあって、でもサスペンスとして成り立っている。不思議と惹きつけられる1本だった。

幸ぴこリン
幸ぴこリンさん / 2018年3月31日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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サスペンスというよりコメディ

レイプの残虐さに暗澹たる気持ちになるかと思いきや、それはとっても希薄、軽めに描かれていて胸糞悪くなることは全く無かった
犯人も早めに見当ついてしまって サスペンスとしては脆弱な感じがしたんだけど、随所に人間の本質が生み出す滑稽さが在って ずっと笑ってしまった
ミシェルを筆頭に登場キャラ皆それぞれに 一般規律や道徳から外れた側面があって  その不完全さをさらさら省みない「だから何?」的姿勢で生きている様が潔く感じた
結果的に自他それぞれ傷つくんだけど 自分の好きなようにやってる姿にユーモアがあって 慈しみさえ感じてしまった
その果てに あのラストが用意されてて ケセラセラな映画だった

isukee
isukeeさん / 2018年3月20日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:VOD
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皆、変な人。

レイプ犯は勿論変態なんだけど、エルがそれ以上をいっている。

あみ
あみさん / 2018年3月18日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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魅惑と恐ろしさの女 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

主演のイザベル・ユペールは『ピアニスト』。
監督のポール・ヴァーホーヴェンは『氷の微笑』『ショーガール』『ブラックブック』など数知れず。
どちらもセンセーショナルな代表作を持つ二人が組んだのだから、平凡な作品になる筈がない。
何せ、イザベル演じるミシェルが、開幕からいきなりレイプされているのである。
しかしその後、何事も無かったかのように振る舞う。風呂に入り、血を洗う。
翌日は出社。ゲーム会社のCEOのミシェル。
現在開発中のゲームは過激な描写が売りで、あんな出来事があったのにも関わらず、もっと過激にと指示。
友人たちと会食中、レイプされた事を平然と報告し、警察に通報しない旨を告げる。
時折“トラウマ”が蘇り、犯人からと思われる嫌がらせのメールも届く。
犯人が身近にいると感じたミシェルは、自ら犯人を探そうとする…。

犯人探しや復讐サスペンスの醍醐味もあるものの、ミシェルやその周りの人間模様がメイン。
何より翻弄されるのは、大胆なミシェルの言動。
被害者なのに変に怯えたり警察に通報しないどころか、知人の旦那と関係を持ち、隣のイケメンを双眼鏡で覗きながらオ○ニーしたり、ご近所を招いての会食中誘惑したり…。
まるであの事件が彼女の中に眠る性や欲を目覚めさせたかのように。

息子と不仲のミシェル。
息子の妻が出産するが、産まれてきた子は…。
歪んだ親子関係。
その原因は、ミシェルの過去にある。ミシェルの父親は…。
ミシェルは○○○の娘だったのだ。
と同時に、彼女が警察を嫌う理由でもある。

再びミシェルを、犯人が襲う。その正体は…。
しかし警察には通報せず、変わらぬ関係を続ける。
が、予想だにしない結末。

ミシェルという人物、過去…。
イザベル・ユペールの魅惑さと怪演と共に、終始翻弄される。

近大
近大さん / 2018年3月18日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  怖い 知的 難しい
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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ある意味怖い女

これを強い女というべきなのか?

まお
まおさん / 2018年3月17日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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主人公が素敵すぎ。そして周りがヒドすぎ。 監督の趣味バクハツでおも...

主人公が素敵すぎ。そして周りがヒドすぎ。
監督の趣味バクハツでおもしろかったー。
あとお母さん!たまらん。ジュディット・マーレなる女優らしいけど、いかすなーあ。

まるぼに
まるぼにさん / 2018年3月2日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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サスペンスとして普通に面白い

お昼休憩にテレビでみる昼の連続ドラマ@フランス
というところ。
飽きさせない展開だし、設定も凝っているので謎解き含め普通に楽しめました。
グロい言う人も見かけますが、今どきなら普通レベルでしょう。

これまで人生で見てきたレイプ後の描写って、泣いて二、三日目引きこもるというのが定番だったから、もしも我が身に降りかかった時はそうなるんだろうと思ってたけど、この映画のおかげで冷静に風呂に入って淡々と…としてしまいそうな気がしています。

ジャム太
ジャム太さん / 2018年1月15日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 2.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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とらえきれない魅力 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

一応誤解をといておくと、氷の微笑のよう な、謎を最後まで引っ張る話ではない。
主人公ミシェルに特に隠された背景というの もない。 いきなりレイプ場面から始まるが、その犯人との異常な関係性を飄々と受け止めている、 彼女の変容性というか一種のおおらかさが、見ている者を困惑させ、畏怖させるのだ。

ミシェルはサイコパスでもなければ、異常な マゾでもない。
だから彼女の中に積極的な被虐性欲というの は認められないけれど、状況に流されている ようでいて、それを楽しんでいる節はある。
彼女の相手が男だろうと女だろうと、彼女に対して何かしてやりたい、コントロールしたい、という欲求を沸き立たせる存在なんだけれども、それを敢えて放置している。
そしてミシェルは、最終的には邪魔になった相手を、自分の手を汚さず排除することやってのける。

結局、大量殺人を犯した父親との間に謎が隠されていたわけではないが、彼女が父親の中の何かを触発したに違いない、という確信を十分抱かせるほど魅力的なのだ、ミシェルは。
男たちは力づくでミシェルをコントロールしているようで、結局は弄ばれているのであ る。

一方的な快楽だけを求める男たちより、女同士の方がいい、と匂わせるラストも痛快。
レイプ犯の妻がミシェルにお礼を言う場面も、異常で好き(笑)
旦那が大変なことをしでかしてすみませんでもなく、不倫していたことをなじるでもない。とんでもない性癖の旦那の相手をしてくれてありがとう、ですもんね。
私だってあんな旦那がいたら、身も心も疲弊する。あのときのミシェルの目は、彼女にどことなく同情的だった。

御年64歳のイザベル・ユペールのたおやかな 上品さがなければ、下品な映画になっていた に違いない。 当初はアメリカでの撮影を試みたと言うが、【氷の微笑】のシャロン・ストーンのように、ギラギラと外に発散されるエロティズムはこの映画には相応しくない。

このヒロインは少し【ゴーン・ガール】を想 起させるが、毒のある軽やかなユーモアは ちょっとアメリカ人キャストでは想像しがた い。やはりフランスで撮って正解。

REX
REXさん / 2018年1月13日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  怖い 興奮 萌える
  • 鑑賞方法:映画館
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観る際に厳しい道徳観は邪魔になるかも ネタバレ

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異常な性愛を描いた作品である。
監督は『ロボコップ』や『トータル・リコール』『氷の微笑』を演出したあのポール・ヴァーホーヴェン、本作における大胆な性描写は『氷の微笑』に通ずるところはあるかもしれない。
ただ大胆とはいっても、昨今は『LOVE 3D』などの真に過激な性描写を売りにした映画が存在するので、それらに比べてしまえば大人しく感じるだろう。
本作はレイプに対する倒錯した感情を扱っているので、どちらかというと倫理観として大胆な描写と言えるだろう。
ヴァーホーヴェンには他に母国で監督した『ブラックブック』という作品がある。女性が主役のサスペンス映画だったと思うが、あまり覚えていないのでそれほど面白くなかったように思う。
上記作品以来およそ10年ぶりでヴァーホーヴェンの監督作品を観たことになる。

原作者はフィリップ・ディジャン/ジャン、『ベティ・ブルー』の作者でもある。
『ベティ・ブルー』に関して、筆者は原作を読んではいないが、映画はレンタルビデオを借りて観ている。
当時20歳そこそこの筆者には主人公たちの性愛を含んだ愛の機微が何一つわからなかったが、なんとなく壮絶な作品であることだけは理解できた。
本作を観た後に原作小説も読むことにした。
原作小説の題名は『OH…』、フランスの5大文学賞の1つ、アンテラリエ文学賞を受賞している。
因みに映画題名の「Elle」はフランス語の「彼女」と主人公ミシェル(Michelle)の後4文字をかけているという。
イザベル・ユペール扮する主人公ミシェルと友人のアンナが共同経営する会社は原作では脚本を映画化やドラマ化する際のエージェント会社なのだが、本作ではより視覚効果が見込めるゲーム製作会社に変更されている。
また息子ヴァンサンの妻ジョジーは原作では結構な太めだし、産まれた子どもも白人だが、本作ではジョジー役にある程度の美人を起用し、子どもは視覚的に即座にヴァンサンと血のつながりを感じさせない黒人とのハーフにしている。
他の原作と異なる点としては、会社の部下たちとの葛藤は原作には全く存在しないし、殺人鬼の父親もミシェルが会うことで自殺するわけではなく物語の中盤であっさり病死してしまう。
原作を知った上で本作を改めて考察すると映画的な翻案として成功していると思う。
もちろん原作は小説として面白いが、全く忠実に映像化してかえって味気なくなる可能性はある。
原作では影が薄かった異常性愛者パトリックの妻レベッカが、本作では人物としてより掘り下げられ、夫の行動を黙認していたある意味において共犯者であることを暗示するかのような設定は思い切った転換である。
原作のレベッカは夫の異常性愛に悩むかのように宗教にのめり込み巡礼の旅に出て家をあけがちでほぼ登場しない。
もちろんパトリックの死後引っ越しの際にミシェルとレベッカが交わす会話も原作には描かれてはいない。
また本作ではパトリックの死をミシェルがたくらんだと見ることも可能だが、原作ではパトリックとの異常性愛にミシェルはすっかり溺れている。
結構印象は違うが、原作と映画の本作、どちらもそれなりに面白い。
本作を観て興味を持った方には、原作小説を読むことを強くお薦めする。
ただここである程度ネタばらしをしてしまったので、それでも良ければの話になるのは申し訳ない!

当初ヴァーホーヴェンは本作をハリウッドで映画化することを想定していたらしいが、ミシェル役を誰も演じたがらなかったのだとか。
原作だとミシェルは40代後半から50代前半といったところだが、本作では今年64歳のユペールが裸をさらけ出した迫真の演技を魅せている。
ユペールがミシェル役に手を挙げたことでフランス映画になった経緯を持つ本作だが、主人公の迫力を他の役者に出せたのか甚だ疑問なので、原作小説の母国語で映画化されたことも含めて今考えれば他の選択肢はなかったように思えてしまう。
なお原作者のディジャンも執筆中にユペールを思い浮かべることがたびたびあったという話である。
ただし本作全体を考えるなら、道徳観念に縛られたまま本作を観てもただつまらないだけだと思うので、恋愛観や結婚観において潔癖な人が多い日本人全体にはあまり受け入れられない映画なのかもしれない。

曽羅密
曽羅密さん / 2017年12月12日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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うまいなあ♪

面白い!やっぱりポールバーホーベンはうまいなあ♪たいへんよく出来た映画らしい映画です。その面白さは、単に役者がうまいとか脚本がいいとかではなく、演出の素晴らしさによるところが大きいです。役者の演技から音楽、小道具まで、あらゆるところに手入れが行き届いていて、観ていて集中を妨げるものが何もない。これはありそうでなかなかない。とても上質で手の込んだ料理を食べたような、そんな映画でした。若者が観ても熟年夫婦が観ても、それぞれの楽しみ方ができる作品だと思います。いつかまた観てみたいな。

うめちゃん♪
うめちゃん♪さん / 2017年12月8日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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