「終わり方が好き」ノクターナル・アニマルズ ポールさんの映画レビュー(感想・評価)
終わり方が好き
エドワードがスーザンに小説を贈った
それだけの話なのに小説の内容と
自らを重ねていろんな想いを巡らせるという
もっと言えば、元夫や現夫側のストーリーはなく
スーザンただ1人の心情の変化だけで話が進みます
20年ほど連れ添った夫に愛されもせず
沈んでいるところで元夫からの小説
彼はこんなにいい作家になったんだ、、
何年も経つのに私に贈ってくれたのね、、
エドワードごめんなさい、こんな私で、、
もう一度会って話をして謝って、許してもらえたら
ここからもう一度、私の人生やり直せそう
なんて安易な考えが伺えてしまう、あのドレス
私がエドワードだったら
まじか、、どういう気持ちで来たの、、
僕は水に流すつもりだったのに、、
君は僕に何をしたか覚えてる?
なんて思っちゃいますね、女々しいけど
主役のファッションで物語る、、
さすがトム・フォードというべきなのか、、
いい歳になって地位があって
女性としてのプライドもあって
そんな彼女が気合い入れて、鏡に映る自分を見て
ふと我に返り気合いを入れすぎた口紅を少し落として
色んな思いが巡りながら淡い期待を膨らませ
ディナータイムに1人ひたすら待つという屈辱
シンプルにメンタルにくると思います笑
でもここまでも、すべてスーザン側だけの話
エドワードの気持ち的には復讐する気もなかったように思えます
エドワード側のストーリーは語られていないもので、、
ただ、ただ、スーザンがひとり舞い上がっただけの話
バンドデビューしたら元カノから連絡が来て
久しぶり〜!元気だった?曲聞いたよ!
めっちゃいいね!久々に話ししたいな〜
今度ご飯でも行かない?
エドワード側からすれば、それと一緒のような笑
こっちはこっちでもう日々忙しいから
約束、、あ、忘れてた、、みたいな事かもしれない
なんて観た後も色々想像できて楽しい作品でした
愛していた人の子供を黙って
おろす事ができてしまう感覚の彼女は
その後も現れないエドワードに何を思うのか
恥をかかされたと思うのか
己の浅はかさを恥じるのか
全体的にアート推しで印象的だったのが
小説の中の妻娘の痛ましい遺体とスーザンの娘がベッドで美しく横たわるシーンに繋げだことにハッとしました
意味合いが違うのに同じ図であるために対比してしまう観る側ためだけの視覚的な演出
ワンカットだけど、すごいなと思いました
あとはあのラストの対比
華やかに着飾った彼女が惨めな気持ちになっているであろうその顔でエンドロール
(あー、やっぱ洒落てる!)
1発目に出た感想がこれでした。