「すごく惹き込まれた」ノクターナル・アニマルズ bionさんの映画レビュー(感想・評価)
すごく惹き込まれた
途中から劇中劇がメインなのか、本筋のストーリーがメインなのかわからなくなった。スーザンに元夫のエドワードが送ってきた小説をスーザンが読み進むたびに、映画の中では映像として再現される。
最初のシーケンスは、旅行にいく家族が携帯電話の電波も通じない辺鄙な場所で、しかも真夜中に、チンピラたちに絡まれる。これがまた、チンピラのたちの悪さとお父さんの弱々しさが相まって、見ているのがつらい。名古屋アベック殺人事件を思い出してしまった。その先の悲劇的な展開が想像できるほど、チンピラたちのいたぶり方、弱みにつけ込むやりかたというのが、実に生々しい。演技という意味では、完璧と言っていいほど、観客に不快感を与える。
もう途中から、小説の方に興味が惹きつけられてしまい、現実世界の方がサブストーリーに感じるくらい。ジェイク・ギレンホールは、さすが上手いね。暴力や恐怖に怯んでしまう弱々しい男を見事に演じてる。
ラストシーンの意味は、なんとなくわかったが、あまりにも余韻がありすぎ。気になってネットで検索していたら、トム・フォード監督の解説を見つけた。なるほど、そうなんだと一人合点。トム・フォード監督は、ファッションデザイナーとしても大成功しているっていうじゃない、天は二物を与えすぎだね。次は、どんな映画を作るんだろう。
今晩は。
私も今作は、当時の鑑賞時、強烈な印象を持った作品でした。
当時のレビューは”未だ映画鑑賞記録時代”だったので、大した事は記載していませんが、当時の資料を読み返すと、劇中に出て来る数々のアート作品の1/3はトム・フォードの個人コレクション。その他は50数億円する作品を筆頭に、彼が使用許可を取り付けたと記載してありますね。(相当な額でしょう。)
ラストの解釈は、(偶々でしょうが)トム・フォードが言っている事と、私の勝手な解釈は似ていました・・。
”スノビズム”という点では、(全く嬉しくないですが)私は、トム・フォードと一部、似た点があるのかもしれません・・。(財力では負けています・・・。)
では、又。
冒頭シーン、忘れちゃいましたが、当時の感想が「何を見させられてるんや」とありますので、電車で見るにはなかなかのものだったとお察しします(笑)本当に天は二物を与えましたね。トム・フォードの使う色の組み合わせが好きなのですが、それは映画でも随所に感じられます。