「開眼」ノクターナル・アニマルズ たろっぺさんの映画レビュー(感想・評価)
開眼
主演男優女優助演男優賞持ってけドロボーと言いたくなる程の名演技の数々。
皮肉屋の脳味噌を擽る画面演出に唸らされる。
本来見るに堪えない代物であるのに、それどころか凝視してしまう挑発的な冒頭。
虚飾を纏い、虚構に周りを固めた現実主義者に対する圧倒的且つ根源的な恐怖を孕んだ物語。
主人公であるトニーにエドワードを投影しているところに、無自覚の見下しがある。
彼女の恐怖と期待を煽り、過去に縋り付きたくなる程の小説。
作り手としては、さぞ愉快な事だろう。
だが、仮に憎み復讐しようとして、あの様なある種粋な計らいをするだろうか。
スーザンの目は弱さを湛えながらも力強く前を見つめていた。
そんな不眠症の眠り姫を己の弱さで目覚めさせた彼の行いは愛としか言いようがない。
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