「ずっと続くと思っていた安定した人生が自尊心を傷つけられる形で崩れ始...」未来よ こんにちは cinemaZさんの映画レビュー(感想・評価)
ずっと続くと思っていた安定した人生が自尊心を傷つけられる形で崩れ始...
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ずっと続くと思っていた安定した人生が自尊心を傷つけられる形で崩れ始め、孤独に苛まれる中年女性をイザベル・ユペールが演じている。
邦題からもわかるように映画のテーマは孤独からの再起といったところだが、あからさまな変化を描かないところがフランス映画らしい。
ナタリーの安定した人生は情熱を捨て去ることの代償だったかもしれないが、それに気づいたところで情熱など簡単に取り戻せるものでもない。
それでも孤独を受け止め、新たな生活になじんでいくさまに不思議な穏やかさがある。
おデブの黒猫パンドラが印象的だ。
アルプスのふもとで一夜の冒険に出てナタリーを心配させるが、朝方無事に帰ってきた彼女はナタリーにネズミのお土産まで持ち帰る。本能が目覚めたのだ。
「箱を開けることで様々な不幸が放出されるが、底には希望が残る」というパンドラの箱の物語がベースにあることは明らかで、パンドラはナタリー自身のメタファーに使われているのだろう。
終盤、孤独を癒してくれていたパンドラをナタリーが手放すことを最初は不思議にも思ったが、パンドラ=ナタリーと考えればそれも必然。本能に目覚め自然の中自由に生きるパンドラが、自身を解き放つナタリーと重なる。
穏やかなラストと音楽が胸に小さな感動を引き起こし心地よく見終えたのだが、監督が30代の女性と知って少し引っかかるものを感じてしまった。
50代後半を年寄り扱いしすぎじゃないでしょうか。ま、ただのひがみだけども。。
監督がそれなりのお歳になったら、きっとナタリーにもう一花咲かせたくなるんじゃないか、そんな風に思ってしまった。
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