「面白いが、、勿体ない。」哭声 コクソン 明烏さんの映画レビュー(感想・評価)
面白いが、、勿体ない。
長めの映画だけどかなり楽しめた。
役者陣は國村さんをはじめ全員ガッチリはまっているし、子役の女の子も良かった。
大した中だるみもなく、常に新しい展開で観客を飽きさせないつくりだし、時折挟まれる山河のカットが非常に美しい。単純に映画として非常によく編まれていると思います。純粋につけるなら星4.5です。
けど、誰もが感じるであろうラストでのモヤモヤ感はいただけない。
キリスト教のメタファー沢山出る映画ですよー!って事も最初に示されているし、当然そういう描写も多くてべつにキリスト教に詳しくなくても、人を疑う事や主観に捉われることの愚かさ、未知のものに対する畏怖を、韓国人⇄日本人という関係性を土台にかなり攻めた感じで描いてんだなぁ、、、。
って事は分かるけど、そうすると他のシーンや思わせぶりなアイテムの使い方がボケてくるし、逆に宗教的テーマを考慮せず、幻覚キノコ起因のファイトクラブ系だったりエクソシスト的な霊能バトル系と捉えても結局スッキリと割り切れない。
あのゾンビは、壮絶な祈祷バトルは、謎の女性は、湿疹は、結局なんだったのか?
観客に深読みさせる為か、様々な角度で物事を捉えさせようとするがあまり、本当は何が言いたい事なのか分からなくなって、本当に言いたい事が殆ど伝わらない映画になってしまっている。それも監督の狙いの内だとしても、もう少し焦点を絞った方が良かったのでは?と思う。全体の構成やテーマの盛り込み方が上手いだけに勿体ない。観劇後に胸に挿さるモノが弱かった。
なので3.5です。
ただ、祈祷師バトルのシーンは最高だった。祈祷師の除霊は道教なのか、儒教なのか、よく分からないけどあのガチャガチャ楽器がなる中で踊り狂いながら殺を放つあの感じ「なにこれ!カッコイイ!!」となってしまいました。
絶対に観て損する映画ではないですよ。
あ、それと、レーティング付いてませんが、お子様に見せる前に1度は大人が観て、観せるべきかを判断すべきかと思います。