「オルタナファクト?」哭声 コクソン あだじぇっとさんの映画レビュー(感想・評価)
オルタナファクト?
先日観た "お嬢さん" が 意外に良かったので、もうひとつ韓国映画にトライ。
コクソンか?アシュラか?
どっちもグロいけど、アシュラの方が過程が克明に出てくるよ、というので怖そすぎないコクソンを選択。
國村隼が得体の知れない日本人役で登板し、韓国で賞をとった、それも人気投票上位とかなんとかでそれは本当に画期的なことなんだそうだ。
ということで 期待もそこそこの怖いもの見たさ(笑)
舞台は山深い村コクソン(谷城) そこの駐在警官がいちおー主人公。
家族皆殺しの凄惨な殺人現場が出てきて、容疑者は毒キノコで錯乱状態らしい、という。
クライムものかな?と思うのだが、どんどん話がおかしくなっていって、この人だれ??な人たちがたくさん登場してくる。
現象から言うと、変死や殺人が続々と起きて 悪霊がついた 山奥に住んでる得体の知れない日本人が呪詛をかけてるらしい と噂になって國村隼に会いに行ったりする。
その國村隼も獣のように裸で死肉を食らうシーンがでてきたり、フツーのいでたちででてきたり、それが現実なのか?だれかの妄想なのか?何の説明もない。
登場人物も死んでみたりゾンビ化してみたり、しまいには主役の娘もおかしくなって、悪魔祓い師を頼んでいったん元気になるんだけど、やっぱりおかしくなっちゃう。
その悪魔祓い師は、國村隼とグルっぽいんだが、途中血反吐をはいておののくシーンがあったり ...........つまり、訳がわからないのです。
これ、韓国で大ヒットしたらしい。。。ええと、つまりホラー映画?
あまりに潔い (?)血まみれ、泥まみれっぷり そのストレートさに 返って怖さが薄れるというか笑けてしまうくらいなんだが、あれで150分ひっぱるのはスゴイかも。
たいして面白くもなく見終わって、はて、なんだったの?
映画冒頭に聖書からの引用がある。
ルカの福音書で「あなたはなぜ迷うのか?心に疑いを持つのか? あなたが見るとおり私には血も肉もあるのだ。さわってみなさい。」とかなんとか .....
ということで新約聖書の基礎知識が十分にあると、それにそってこの映画も咀嚼できるらしい。
が、私はそのへん全然わからない。
「見たものをそのまま信じろ」というのは 噂の対極を示す。
だが、人は見たいものを見る、という側面もある。
噂や主観が作用することで オルタナ・ファクト が誕生する。
犯人が毒キノコ食べたらしい情報は割合に最初の方に登場する。
普通ならココを掘って、毒キノコの出処をつきとめていく、という話になろうが 捜査慣れしていない田舎の警察官たちは、村の噂に流されていく。
主役も、我が娘が巻き込まれた途端に理性を失って突進しはじめる。
DSC_3144そこに國村隼というピースがハマる。
監督さんは 顔だけ見て決めたと言ってるらしいけれど 日本人であったことはまったく選考基準に入ってなかったんだろうか?
会話が通じない異邦人である國村隼をどう捉えるか?には 個々人のものの見方が大きく作用する。極端なこといえば、國村隼がいた ということ自体が作り上げられたオルタナ・ファクトと解釈することだってできると思う。
などなど思い巡らしながら、映画館を出て、花見客でごったがえす街を歩く。
いままさに現実社会を右往左往させているオルタナファクトのほうが、よっぽど怖いんだよね ....