破裏拳ポリマー : 特集
“アイアンマン”がカンフー!? キメ台詞が時代劇風!? 不良がパルクール!?
その“本気”必要!? “だがそれがいい”!
俺たちの秘孔をつきまくる“こだわり”の数々!
タツノコプロ創立55周年を記念し、70年代に話題を集めたアニメ「破裏拳ポリマー」が実写映画として復活。日米で成功を収めたアクション監督、坂本浩一がメガホンをとり、溝端淳平自らがダイナミックなカンフー・アクションに挑戦。山田裕貴、原幹恵、柳ゆり菜、長谷川初範らが共演する異色ヒーロー・アクション、「破裏拳ポリマー」(5月13日公開)の「本気のこだわり」に要注目だ。
「ジャッキーアクション」が「スーパーヒーロー」に出合ったらこうなった!
超個性的すぎる本作の《本気》が、気になって仕方ない!
とにかく本気の衝撃格闘アクション・ヒーロー作品が、この「破裏拳ポリマー」。だが、その「本気」ぶりは超個性的。これまでのアクション映画や、ヒーローものとは明らかに違う異彩を放ちまくっているのだ。言ってみれば、「ジャッキー・チェンのアクションがスーパーヒーローと運命的な出合いを果たした」という感じ。そんなのあり?という驚きと良い意味での違和感が、映画ファンが気になって仕方がない作品世界を作り出しているのだ!
想像してみてほしい、あのアイアンマンがカンフーを使ってたら、なんか変じゃないか? その違和感が、本作にはあるのだ。赤いメタリックのスーツを着た男が、戦うときに使うのはカンフー。そのテイストがカッコいい!
ヒーローのポリマーが登場し、さらにパワーを充てんさせる際には「この世に悪のある限り、正義の怒りが俺を呼ぶ! 破裏拳ポリマーここに参上!」というキメ台詞。時代劇じゃないんだから……と思うが、なぜかクセになる!
現代の日本を舞台にしていると思いきや、登場人物たちが使っているのはなぜかスマートフォンではなくガラケー。相棒刑事が運転するのもレトロな旧型車だったりするし……日本のようで日本じゃない無国籍感がグッド!
良い意味での違和感があるのは、敵対する不良グループも同じ。どう見ても怠惰で不摂生な面子なのに、動きはキレキレ、逃亡シーンではパルクールを披露しまくり!なのだ。ありえないと思いつつ……クールに見えるのはなんで?
リアリティを突き詰めたヒーロー・アクションかと思いきや、最大の敵との戦いを描く見せ場では、ヒーロー名の「ポリマー」を歌い上げるヒーローソングが鳴り響く。意表を突かれるが……熱い! カッコいい!
アクションもドラマも大マジのシリアスものかと思いきや、キメ台詞を「長い!」と主人公が突っ込んだり、マッチョな敵が胸の筋肉をピクッと動かしたりの小ネタが満載。柳ゆり菜の“唇アップ”の連続にも思わず吹き出す!
ジャッキーフリーク、ゲーマー、マーベルファンよ──
お前たちは必殺拳法《破裏拳》のココに反応する!
ジャッキー・チェンのアクション映画で育ってきた映画ファン、「ストリートファイター」「鉄拳」等を楽しんできたゲーマー、そして「アベンジャーズ」「アイアンマン」に夢中になっているマーベルファンに告げる。本作が描くココ──設定とアクションに、それぞれ熱く反応するはずだ!
ジャッキーアクションフリークにおすすめしたいのは、ずばり、本格的な格闘シーンだ。80~90年代に夢中にさせてくれた、あのジャッキーのケレン味たっぷりのカンフーとワイヤーアクションの世界が再現。それもそのはず、坂本浩一監督は倉田保昭に弟子入りし、ジャッキーのスタントチームとのコラボレーションでも知られる人物だ。
「幻影破裏拳!」「真空片手独楽!」「反動三段蹴り!」と叫びながら繰り出す必殺技は、手足が輝き閃光が舞うド派手なエフェクトがたっぷり。「ストリートファイター」や「鉄拳」などの格闘ゲーム的なセンスにあふれている。格闘ゲーマーは、大好きなあの世界を実写化するとこうなるのかと思わずにはいられない。
「アベンジャーズ」「アイアンマン」といった「大人が見られるスーパーヒーロー」を楽しんでいるマーベルファンには、同じヒーローものとして本作はおすすめだ。アメコミヒーローを意識したというリアルなデザインの強化スーツを身につけ、VFX効果もたっぷりなアクションにアガる! 新たなヒーローの誕生と成長の物語にきっと熱くなれるはず。
アメコミでもない! 特撮でもない! 唯一無二の新アクション
日米両方で成功した坂本浩一監督だからできた「大人が見られるヒーローもの」
「科学忍者隊ガッチャマン」「新造人間キャシャーン」で知られる老舗アニメスタジオ、タツノコプロの70年代アニメを実写映画化したのが本作だが、21世紀の現代に映画化するに当たっては、「大人が見られるヒーローもの」としてのリブートが図られている。メガホンをとった坂本浩一監督は、倉田アクションクラブを経て単身渡米し、「リーサル・ウェポン4」「ウインドトーカーズ」に参加、そして「パワーレンジャー」シリーズのアクション監督、プロデューサー、製作総指揮を歴任してきた人物。日本でも「ウルトラマン」「仮面ライダー」シリーズの劇場版を手掛け、日米の両方で成功を収めてきたからこそ、アメコミ映画とも特撮ものとも違う、独自のヒーロー・アクション映画が誕生したといえる。
探偵事務所に所属する主人公が破天荒な活躍を見せる原作ストーリーに、より現実味を与えるため、警察を舞台にしたサスペンスとして、物語は再構築が図られている。犯罪者と戦う単発的なストーリー展開ではなく、奪われた特殊スーツをめぐって進行する警察組織内部の陰謀、そして、主人公と父との確執、きずななどの人間ドラマも描かれる重厚な構成だ。また、前のめりなヒーローストーリーに食傷気味の人にもオススメ。適度なユーモアセンスがいいのだ!!
リアリティを重視する試みは、主人公が身につける「ポリマースーツ」でも図られている。今作では、組織犯罪に対抗するために警視庁と防衛省が極秘に開発した特殊装甲スーツとして再定義され、近年のアメコミヒーローを意識しながらも、リアルな機能美あふれるデザインが施されている。子ども向け番組のヒーローとは一線を画すものなのだ。
「アチョー!」というブルース・リーの影響を強く受けたカンフーが特徴的だった原作のアクションだが、今回は実写で主人公の「破裏拳」を描くに当たり、実際に戦える独自拳法が生み出された。坂本監督は「裏拳で相手を破る拳法」と新たに解釈。裏拳を多用するリーのジークンドー(截拳道)や数々の格闘技を組み合わせ、実戦的でリアルなアクションを描き出した。