「本音が怖い」20センチュリー・ウーマン odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
本音が怖い
クリックして本文を読む
舞台は1979年カルフォルニアのサンタバーバラ。ドロシーは高齢出産で授かった男の子ジェイミーを溺愛するシングルマザー、15歳と言う大人の入り口に差し掛かったジェイミーの人生教育に頭を痛める。ドロシーは若い頃空軍のパイロットに志願したという気骨と実行力では下手な父親より頼りになるのだが昨今の若者文化には自信が無い。
そこでシェアハウスの住人アビー24歳や年上のガールフレンド、ジュリーに相談相手になってやってと頼み込む。確かに年の近い姉さんたちなら本音が話せる。ただ、彼女たちは彼女たちなりの理想の男にしようと世話を焼くがもっぱら性教育だから赤面もの。
脚本はマイク・ミルズ監督の自身の生い立ちがベースと言うこともあり人物描写は妙にリアル、セリフにも時々唸ってしまう。例えばアビーの病気のことで母が息子に言うセリフ、「男はたいてい解決に躍起になるか何もしない、解決できない時に寄り添うってことが下手なのよね」とか母に助言のつもりで「女にとっての加齢」ゾーイ・モス1970の一節を読む息子に「私は自分を知るのに本は必要ないわ」と返す母。淋しいだけでやってくるのだろうかいつもジェイミーのベッドにもぐりこむジュリーを見咎めたアビーがジェイミーに、「セックスしない女を横に寝かせるのはおやめ、自信をなくすだけよ」とのたまう。数え上げたらきりがないが秀逸な会話劇でもあります。
コメントする