「原作や押井版や神山版の攻殻機動隊へのリスペクトが感じられて、特に吹...」ゴースト・イン・ザ・シェル がっちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
原作や押井版や神山版の攻殻機動隊へのリスペクトが感じられて、特に吹...
原作や押井版や神山版の攻殻機動隊へのリスペクトが感じられて、特に吹き替え版での細部への拘りが、楽しかった向きには楽しめるかわけだが、その表層の記号の拘りさえタチコマが出てこないのは失敗と言えよう。
吹き替え版の声優たちは攻殻機動隊の世界観を維持するために頑張っていたおり、その点は評価できるが、それも脚本があっての事でしかない。結局予算不足と研究不足。
個別の11人の傑作がちっぽけな世界観に収まってしまっている感は否めない。草薙少佐や荒巻か行使する長いセンテンスの曖昧接続の<が> を多様する会話を今のビートたけしが演じるのは辛かろうし、そうあるべきでもないだろう。
原作が持っている複雑系リゾームのネットワーク構造を単純な出自と記憶が織り成すアイデンティティと言う20世紀的な物語へと還元する事でしか、撮れなかったこの作品を断固として認めるべきではない。桃井かおりやビートたけしを召喚したこの映画は、結局、60年代的造反有理の世界に囚われすぎている。それがビートたけし事荒巻が演じる銃撃戦が北野武の映画を思わせてもである。それは別の世界観の別の映画でしかない。国会議事堂の前でプラカードを持って拡声器の前で叫ぶ彼らの言葉は、この映画よりもっと想像力に、溢れていたと言えよう。そうこの映画自体が、現実に追い越されているのだ。
コメントする