「最後まで見ると案外うまくできてる気がする」ゴースト・イン・ザ・シェル アニメおじさんさんの映画レビュー(感想・評価)
最後まで見ると案外うまくできてる気がする
桃井かおりが出てくるあたりまでは、これは失敗なのではないか?と思って見ていました。
劇中の情景描写はアニメと同じ方向性なのですが、実写のためか予算のためかグロテスクで汚い映像になってしまっていて、アニメの方を好きな女性も引いてしまうのではないかと感じました。 アニメを追わずにそこそこ綺麗でスタイリシュな実写映像を目指したほうが良かったように思いました(映画マトリックスみたいに)。
他のコメントでもあるように、北野武さんはずっと日本語でしゃべるわけですが、劇中で電脳化により、子供が数秒でフランス語を学習したといった話が出てくるので(吹き替え版)、電脳通信で他人とコミュニケーションできる人間が、口で何語を話すかは個人のアイデンティティーの1つという設定なのだろうと理解しました。そういうなんでも理解できるし、そうなんだと思い込まされてしまう(脳のハッキング)くらい電脳化が進んだ世界で自分のアイデンティティーを探すというテーマを意識させるための小道具ではないかとも思います。
全体を通して感じたのは、登場人物・設定はGHOST IN THE SHELLなのですが、ストーリーはロボコップの劇場第一作を少しハッピーエンドにしたような感じにまとまっており、個人的にはアニメの劇場版第一作のラストより、こっちの方が好きです。
アニメの劇場版第一作は草薙素子の晩年と思うので(テレビ版より未来)、長い捜査人生を経て人形使いとどっかへ行ってしまっても良いのでしょうが、本作の様にこの時点が彼女の義体での始まりとしたほうが見る人が混乱しないし、パート2が作りやすいと思います。老いないヒロインなので時間経過が難しいですね。
「草薙素子は日本人のはずなので、ヨハンソンは..」という人も桃井かおりとのやり取りで明かされる真相とラストの桃井かおりとヨハンソンが素子の墓を参るシーンで納得できる脚本なのではないかと思います。 その点が引っかかって観ないという方が居たら実に残念に思います。