劇場公開日 2018年7月7日

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菊とギロチンのレビュー・感想・評価

全52件中、21~40件目を表示

1.0重信房子のモノマネには嫌悪感しかない

2018年9月13日
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鑑賞方法:映画館

多言が過ぎてブレる主題に頭を抱える観客が、185分目にして、これは大正アナキストへの鎮魂歌であったことに気付かされる昭和演劇。

時折出て来る字幕から推測するに、「理念(その是非はさておき)に生きた男と信念に従って行動した女の物語」の様なんだが、何かが違う感がハンパ無い。

笑い無し、涙無し、感動無し。所々にココロに刺さる台詞が出るが数分で霧散し違う話しになっている、置いてけぼり感。局面局面の役者さんの演技が一々すばらしく、無下にもできない申し訳なさ。

もうどう言えば良いのやら。。。

韓英恵の美しさは記憶に残りますが、途中、観てるこちら側の気が散ってしまって、思考発散するのには参った。そう、集中出来ないんです、色んなことが気になって。時代考証と史実の問題、セットや衣装のリアリティ、聞き取れなかったセリフ、揺れる画面。

最近、水曜日に観る映画に当たりが出ないのは個人的な話。。。

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bloodtrail

5.0生きる情熱

2018年9月12日
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鑑賞方法:映画館

興奮

関東大震災後の若者たちが、貧しく食い物にも困っている中で必死に生きていく生き様に魅せられました。
男は男で、革命とか大きなことや、立派なことを言うだけで埋もれている中でも、頑張って這い上がっていく姿や、女は女で、女相撲という一見エロにも取られかねないが、見世物としての力士という職業を選び、自由を求めて誠実に戦っている姿に熱いものを感じました。

現代もなかなか生きづらい世の中だと感じますが、それでも頑張っていかないとな、という生きる活力をもらえました。

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なんくるないさー

3.0女相撲の面々がよかった

2018年9月2日
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鑑賞方法:映画館

女相撲サイドはよかった!凄く良かった!
当時の女性を取り巻く環境と、それにあがく女性達がよかった。

自分を変えようとあがく女性達に対して、ギロチン社には共感できなかった。
ギロチン社いらなくない?
逆に、共感できないのが正解なのかな?
でも、東出さんの演技は凄かった。

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しんげん

4.5監督を評価したい!

2018年8月31日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

瀬々監督が30年来温めた企画を実現した作品という。それを果たしたというのは実に立派だ。

毎度、事前知識はほとんどなしに映画館に行くのだが、行ってみて尺の長さに驚いた。
東京テアトルの株主優待券でタダで見ようと思ったのが、「特別興行」ということで、2000円が1500円の割引になっただけだった。
上映時間189分って…。予告編も入れたら3時間半だ。「休憩ないの?」とスタッフに聞いたほどだ。
果たして耐えられるか?!

作品的には、粗いなあ、と思う描写や役者の演技力にも疑問符が付くところがないでもなかったが、この内容でおそらく低予算で最後まで完成させたのは評価したい。
長さも気にならず、最後までスクリーンに集中できた。

大正当時なら、「中国ではなく、支那(変換もできないくらいのNGワードなのか?)と言ったはず」とかの突っ込みもしたくなるし、女力士やアナキストらも、朝シャンしてきたようなきれいな顔してたりしたし、同時録音のセリフもやや聞き取りにくく、前半はなかなか気持ちが入りにくかった。
しかし、終盤からは役者の演技も力があったし、ラストの場面にも感情移入ができた。
1500円の価値は十分あったよ。

長いし、テーマも俗人受けするものではないが、こういう題材を選び、予算含めてさまざまな制約がある中で作品にした監督はじめ関係者の努力を評価したい。

映画や演劇人らには、左寄りの人は多いだろうが、口先だけでその「思想」を作品化した人は少ないだろう。
本作のパンフレットに感想を寄せている長谷川和彦なんか、結局何も撮らないままのヒモ生活してるし…。
その点でも、監督は立派だと思うよ。

もうひとつ、どんなに面白い作品でも他人のアイデアにただ乗りしてしまった「カメラを止めるな!」の関係者は、この映画を見て、ちょっと反省してほしい。

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町谷東光

4.5日本映画人のプライドを刻む渾身の傑作

2018年8月26日
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鑑賞方法:映画館

「ヘブンズストーリー」から7年が経ちましたか。名古屋では今回もシネマテークでの単館上映。

関東大震災、男に虐げられ強くなりたいと願う女相撲一座の女たち、無為かつ無謀な行動を繰り返し崩壊するアナーキーなギロチン社…自由を失っていくあの時代を軽妙に描くも、観終わってずっしりと腹に響く群像劇の傑作となつた。

新たなマイルストーンを刻んだ瀬々監督、そしてこの作品に関わったすべての映画人に敬意を表したい。

堂々のベストワン候補である。

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エロくそチキン

5.0傑作

2018年8月21日
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荒井晴彦が指摘していたように歴史認識の甘さは否めないがエネルギーに充ち溢れている。ギロチン社の2人の「ダメさ」にこそそれが若いそしてアナーキーの特権のようなものが存在するのだが、その2人が社会的に逃げ込み寺のような存在である女子相撲団体と出会ったときに化学反応が起き、更なる高みへと進んでいく。一見すると高みには見えないが彼らにとっては完全な高みであり正しい道なのだ。

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fgh

4.5最終的にはバトルオブザセクシーズ

2018年8月12日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

女相撲と聞いて思い出すのは倒れた人を助けようと女の人が土俵に上がったら下がってくださいと言われたニュース。
.
あの時女は土俵から追い出されたけど、この映画最後の最後に神聖な場所だからと男(警察)を追い出すシーンが印象的。
.
主演の女の子が警察の男達をなぎ倒してくシーンはスカッとしましたね(笑).

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せつこん

4.0熱量感じた

2018年8月12日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

難しい

女優さんたちが素晴らしい
すごい熱量
他のレビューにもあったけど、ほんと男って愚かとつくづく。
3時間長くて途中で寝ちゃったけど特に問題なし。脚本に相澤虎之助さんが参加しているのを知って納得。脚本素晴らしいとおもう。長いと批判してる人もいたけど、あの三時間、あの世界に没入するのは、私は全然よかった。2時間だと綺麗にまとまりすぎちゃってあの猥雑さは伝わらないかも。

大正時代、言葉もまだ未分化でコミュニケーションもろくに成立せず、平気で人が人を虐げていたのだと思い知らされるけど、現代だって夫のパワハラで仕事に行かせてもらえないとかそんなことも横行しているから人と人との力関係の本質は変わらず、そこにどれだけ対話や良心や理性が介入できるかだと思った。

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Rubysparks

4.0女性を励ましてくれる映画です。

2018年8月12日
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鑑賞方法:映画館

女相撲興行一座中心のロードムービーが浮かぶよう。

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土偶

5.0熱量の素晴らしい青春群像劇の傑作

2018年8月3日
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鑑賞方法:映画館

アナキスト集団(というよりテロリスト集団の方が適切か)と女相撲とを結びつけた発想が凄い。実際には全く関わりなかったそうなのだが、こんな繋がりが史実でもあったかも、そう思わせるリアリティが素晴らしい。

関東大震災の混乱に乗じて朝鮮人や左翼活動家が虐殺されつつも微罪に付された大正時代に比べ、SNSを含めたメディアが力を持ちペンは剣より強しを地で行く現代はなんと平和な世の中になったことか。
一方で、自分とは相容れない異質物を暴力を以って断固排除する。そういう社会の空気はまさに現代と同じ。結局、暴力の種類が拳や拳銃による肉体的な暴力からペンやメディアによる精神的な暴力に変わった、それだけなのだ。

3時間を超える大作ながらもその長さを感じさせない熱量が圧巻だ。纏まりは無いがだからこそ余韻が残る、それこそがリアリティを追求した群像劇の真骨頂だと思う。
時代にドンピシャでマッチした、数年に一度の傑作に出会えた。

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あいわた

4.0情熱的!!

2018年7月31日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

難しい

フェミニズムとアナーキズムが絡み合うなんて実に複雑で、見終わった後、なんて形容していいのか分からない感情で劇場を後にしました。色々なエピソードが組んず解れつ、絡み合っては、またほどけ、本当に暑苦しいくらい、情熱的で凄まじい作品でした。

ただ私はどちらかというと、フェミニズムを応援したいので、大正時代に生きる女性たちの、自分らしく自由に生きたいと思えば思うほど、男性優位の権力や力に絡め取られて底辺に押し戻されるもどかしさに共感し、心の底から悔しくて「負けないで!」と思わされました。だからヒロインの花菊が「おら、強くなりてぇ!」と何度も何度も立ち上がっていく姿は、印象強くて良かったでした。

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エミさん

3.0まあまあの映画

2018年7月30日
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鑑賞方法:映画館

3時間越しの力作であったが、やや冗長であり、時代設定の割にはあまり緊張感も無く、正直あまり面白いストーリーでも無かった。各登場人物にキャラクター付けはしてあるが、思いの外、印象に残らない。女相撲を描いたという点では、面白い作品であったかも知れない。

*とにかく、映画初っ端からセリフが聞き取りづらい!しかも、大正〜昭和初期の言葉であるし、また方言や韓国語訛りの日本語も出て来る。オフィシャルHPに人物相関図などが出ているので、ストーリーを追うのが不安な方は、目を通しておいても良いかも知れない。

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stoneage

2.5画きたい事が多かったのでしょうね

2018年7月30日
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出来事が簡略して押し込まれてる感じがして長いと思ったら3時間ものでした(^∀^;)

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asgy213

3.0どうしても女目線だけど〜〜

2018年7月29日
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鑑賞方法:映画館

怖い

知的

町山智浩氏がラジオ番組で、さらに
映画メルマガ「僕らのモテるための映画聖典」で
かなり強めに押していたので、
ちょっと興味を持って観にいきました。

う〜〜ん、
今の時代や体制への批判や警告を含んだ
中身の濃い映画であり、今だけでは無く、
過去に同じような時代があって
その時の人々が長いものに巻かれてしまったがために
戦争が起きてしまった!と言うか
戦争に突っ込んでしまったと言うか〜

社会が個人の自由を奪う行為がエスカレートすると
本当に間違った方向に動いてしまう恐ろしさ〜〜

ゾッとするわ!!

で、月に8本ほど映画館へ通う中途半端な映画好き的には

私はフェニミニスト的思想が強い方なので
結局どうしても女目線になるのだけど〜〜

男って、ほんと下らね〜〜!!
男って、ほんと出来損ないだわ〜〜!!

ここで言う「男」とはギロチン社の若者たちだけでなく、
女相撲の女たちに交言いよる
今風に言うとアイドルのストーカーだったり
別れた夫だったり
それから、元軍人や警官や役人や
とにかく、自分たちだけで世界を動かしてる気になってる
アホなやつら全部です!!

と、つくづくここで福岡伸一氏の著書
「できそこないの男たち」を思い出してしまう。(笑)

その反面、女相撲の一座の面々のカッコ良さったら!!
どうしてもそこに行くのよ、私的には(笑)

個人の自由には、
もちろん女性の自由が含まれていて
女性が自由に生きていけない社会は
女性だけの問題で無く
やがて全ての人々が自由に生きられない社会になって行く。

怖い話ですよ!!

いつまでも有ると思うな男の優位と自由な世界!!

映画館で観ないとなかなか没頭出来ない作品だと思うので
頑張って観て欲しい。

@もう一度観るなら?
「後で誰かと濃い〜映画談義をするためなら、もう一度観ても良い」

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星のナターシャ

4.5木竜麻生、韓英恵、嘉門洋子他女相撲一座が光る

2018年7月26日
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東出昌大が女郎と騎乗位で激しくやる姿に加え梅毒性膀胱炎で悶え苦しむ姿を披露するとは意外。
こんなに悲しい「天皇陛下万歳!」を聞かさせると評価し辛い。
自主製作映画とは思えない大正時代後期を感じるロケーション(滋賀県と舞鶴だとか)に衣装、暗くてもちゃんと映ってるカメラといい特別料金興行でも納得いく出来。これは長くても1本で観るべきだと感じた。
所詮アナーキストだな、と思う男の情けなさに比べ虐げられても挫けない女の強さが際立つ。女相撲も予想以上に画にな
ってる。見知らぬ主演女優の頑張りと女優のイメージがなかった嘉門洋子の貫禄が出色。
在郷軍人が話すシベリアの話は、日露戦争ではなくその後の第一次世界大戦後の「シベリア出兵」の話。日本史をちゃんと理解していない上に虎ノ門事件の事も知らなかったのが恥ずかしい。

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消されるので公開しない

4.0女相撲とアナーキストの自由を求める出会い

2018年7月26日
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えらい感動した

大正時代。
どうにもならず、がんじがらめになっている若者たちが自由を求めてもがき苦しんでいる姿がとても心に刺さった

その頃、日本には語る自由が制限され、女性たちは男性たちの所有物だった

その中で、ギロチン社は国民の自由と平等を求めて戦い、行き場をなくした女性たちは女相撲に集まってきた

最近の「相撲」といえば「国技」という重圧に押しつぶされ、力士たちの不祥事が続き、「女は神聖な土俵に上がってはいけない問題」が語られる

特に相撲に興味がない私からすれば、力士にとっても、その周りで働いている女性たちにとっても「相撲」とは、とても窮屈なものに見える

この映画は、その、とても窮屈なイメージの相撲に対して、まるでケンカでも売るかのように女相撲を登場させる
その描き方は「女が相撲をとって何が悪い」とでも言いたげだ

しかし、これは架空の話ではなく「女相撲」は現実に存在していたのだ

さらに、そこへ自由で平等な社会の実現のために戦っていたギロチン社を登場させる

そうすることで、一見、何の関係もないかのような女相撲とギロチン社の間に「自由のために戦っていた」という共通点があることがわかる

しかも、その二つの団体が、まるで運命に導かれたかのように自然に出会うのが良い

そして、彼らが出会い、ありのままの若者らしく楽しそうに踊る姿を見て
「本当に自由で平等で幸せな社会とは、一体どこにあるのか」と思う

土俵に上がれば「神の怒りをかう」と言われ
朝鮮人だからという理由で殴られ
好きでもない男性との結婚を強要される

そんな社会が嫌になった中浜鐡は
「全ての人が自由で平等な社会を作る」
「100年後には、そんな時代になっている」
と言うけれど
100年経った今、時代は本当に変わっただろうか

未だに女性が土俵に上がれば苦情が殺到し
人種差別も性差別も無くなっていない

つまり、この映画は、大正時代の若者たちのもがき苦しむ姿を通して、
現代の社会に対する痛烈な批判を描いている作品だったのだ

中浜鐡の語る理想の世界は「ただの空想で現実味がない」と、映画の中では批判されていたけれど、
理想の世界を語れない世の中こそ、夢のないネガティブで悲惨な社会で、もう終わっている

大いなる夢を語ってこそ、その先に希望かあるのだ
いつの時代も、若者が大いなる夢を語る世界であって欲しいと思う

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とえ

5.0嫉妬した

2018年7月26日
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鑑賞方法:映画館

興奮

恵まれていないからこそ
生まれる、感情、絆、思考
ハンパなく熱く
今は何処を探しても無い
その熱さ、バカなの?ってほど
バカなの?って感じるのは
嫉妬なんだって
自分の感情を知った
悔しいけど嫉妬してます

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koharunbox

4.0不寛容の時代に生きる

2018年7月23日
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悲しい

 日本の戦後民主主義はポツダム宣言の土台の上に成り立っている。ポツダム宣言は、第二次世界大戦という悲惨な戦争を体験した世界の指導者が、もう戦争は嫌だ、国家ではなく個人の幸福を追求しなければならないという大前提のもとに造り上げられた。日本国憲法のもとになっていることは言うまでもない。日本国憲法は決して、どこかの小国の首相が言う「みっともない憲法」ではないのである。二度と戦争をしないために世界の英知が結集した、世界最高峰の憲法なのだ。

 この作品は、日本国憲法ができるより四半世紀前の話である。世界中が悲惨な戦争に向かって坂を滑り降りている真っ最中だ。国家の繁栄が個人の幸せだという牽強付会が大手を振って罷り通っていた時代である。天皇陛下万歳という価値観に誰もが疑問を抱きながら、そのパラダイムに逆らえない不自由な時代でもあった。
 そんな時代に異を唱えることがどれほど大変な勇気の要る行為であったことか、いまでは想像すら出来ない。しかし例えばネット右翼の族や、ワールドカップの試合で渋谷に集まる人々を見ると、この国はひとつの価値観を共有している風を装うことで盛り上がろうとする短絡的な人間が非常に多いことがわかる。国家主義者たちにとってはなんと御しやすい民衆であろうか。
 大正デモクラシーの頃の人々がどのようであったかは不明だが、この作品では権力に阿るのは在郷軍人会と下っ端の警察官で、その他の人々は必ずしも天皇陛下万歳のパラダイムに支配されてはいないように見える。実在の無政府主義者たちは、自由闊達な精神を維持していたのだ。彼らが逮捕され処刑されたことは、日本から自由な精神が失われて、国家主義の陥穽に嵌ってしまったことの象徴である。女相撲も同様に、女が土俵に上がるということで、タブーを真っ向から打ち破る自由の象徴のように描かれる。この二つの自由が映画の両輪となって、3時間の長丁場をぐいぐいと引っ張っていく。
 俺たちは、私たちは自由だ!と叫んでいるかのような作品で、当時と同じように国家主義の陥穽に転がり落ちつつある現代に警鐘を鳴らす。現代が将来、平成のファシズムと銘打たれる時代になるなら、平成デモクラシー映画群の作品のひとつとなるだろう。

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耶馬英彦

4.0アナーキー!

2018年7月23日
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笑える

悲しい

知的

こんな時代だからつくった、アナーキーな映画。
瀬々敬久監督が言ったことにウソはなかった。
そもそも瀬々監督は若松監督と同じピンク映画を作っていた人だ。
ピンク映画自体、全共闘時代のアナーキーなものだった。

とにかく反体制!とにかく自由を!
男女差別、民族差別、そして民衆を襲っている閉塞感。
時代に風穴をあけるんだというギロチン社。
女性を家畜のように扱う男尊女卑的世界から
女だけで自立して生きていこうとする女相撲の一座。
わけのわからないエネルギー、満タンの映画と言えるだろう。

東出昌大の弾けぶりがいい。
この男、単なる男優から一歩はみ出ていると思った。

この映画、自分的には時間が長かった。
3組の男女関係や生き様を表現していたが、
せめて2組であったなら、もっと絞り込んでいたなら、
饒舌さは薄まり、締まったものになっていただろう。
ただ、そんなことはわかっていたのかもしれない。
瀬々監督はあえて僕らの頭をグチャグチャにして、
アナーキー状態にしたかったのかもわからないとも思った。

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メイラー

4.0男から石で頭を割られた女の悔しさについて

2018年7月21日
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泣ける

まさに現代に撮られるべき作品。
3時間ある映画なので見せ場も多く、例えば、別荘の瓦屋根からビラを渡す東出くん(ボロ別荘を作った美術さん良い仕事すぎる!)、朝鮮人虐殺の語り、「天皇陛下万歳!」、親方の姪による「くっそ...」長回し、などなど...。
ある属性を背負った人が恥辱を追う。「くっそ…」と漏らすその横顔には、屈辱による悔しさと、負けてたまるかという悔しさがある。それをバネに出来れば良いが、朝鮮人虐殺や男による殺害にしろ、人は死んでしまってきた。そこに哀愁がある。けど、そんな哀愁はくそったれなんだよな。

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もりめろん