世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方 : 特集
関根勤も、カリスマ保育士・てぃ先生も《いま一番親子に見てほしい》1本
子どもは見終わった後も夢中、親は込められたメッセージに強く共感!
親子、いや『3世代が一緒に楽しめる映画』なんて、そうそうない!
大好きなおじいちゃんとおばあちゃんを老人ホームから救い出せ! 6人の4歳児と1匹のアカハナグマが繰り広げる騒動を描き、世界の子ども映画祭を席巻した「世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方」が2月11日より全国公開。本作への熱い思いがあふれた関根勤&カリスマ保育士てぃ先生の特別対談も要チェック!
《ストーリー》《テーマ性》《世界的評価》《動物》《吹き替え》
映画.com推薦《親子で「はじめてのえいがかん」》は絶対にコレ!
子どもが夢中になるだけではなくて、一緒に行った大人も楽しめる。楽しく痛快で、見終わったあとには考えさせられたりもする。まさに理想的なファミリー映画と言っていいのが、この「世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方」。自由奔放で大胆不敵。6人の子どもたちがスクリーンいっぱいに繰り広げる大冒険は、小さな子どもの映画館デビューにも最適な、見る者を元気にさせる注目作なのだ。
「世界一平均的」な村でマーケット・リサーチを行うため、ユニークな老人たちはホームに閉じ込められてしまった。大好きなおじいちゃんとおばあちゃんたちを救うため、幼稚園を脱走した6人の4歳児と1匹のアカハナグマが、奇想天外な作戦を巻き起こす。かわいくてハチャメチャな騒動に笑わされながらも、「世界一の記録」を生み出すことで、均一化されようとする世界に対して反抗を企てるというストーリー性にうならされる。
「他人と違っていてもいいじゃないか!」。ティム・バートン監督作品や、「アナと雪の女王」ほかディズニー映画でも描かれてきたテーマが、本作の根底には流れている。人はそれぞれ違っていて当たり前なのに、決まった「標準的」な枠組みに押し込めようとする風潮が強い昨今。「平均からはみ出している」ことは決して良くないことではなく、それは「尊い個性」なのだと本作は教えてくれる。大人にも響く深いテーマ性が出色だ。
「ツバル TUVALU」「ゲート・トゥ・ヘヴン」で知られるドイツの鬼才、ファイト・ヘルマー監督が手掛けた本作は、ルートビヒスハーフェン・ドイツ映画祭最優秀子ども映画賞、チューリッヒ映画祭最優秀子ども映画賞、ベルファスト・シネマジック最優秀作品賞、マイケル・ムーア映画祭観客賞最優秀子ども映画賞を受賞するなど、世界50以上の子ども映画祭を席巻。世界中のファミリーを夢中にさせている。
ファミリー映画には、かわいい動物の存在も欠かせないが、本作ではヨーロッパで親しまれている「アカハナグマ」が、子どもたちと行動をともにする重要キャラクターとして登場。リスやアライグマの雰囲気も持つこの動物の愛らしい姿に、子どもと女性たちはキュンとときめいてしまうのは確実だろう。大好物のイチゴミルクづくりに奔走するさまは人間顔負けの熱演。CGなしでの撮影に「どうやって撮ったの?」と驚かずにはいられないはず。
演技経験なしの子どもたちが出演し、天真らんまん、奔放すぎる姿を披露している本作だが、彼らの吹き替え版キャストにも演技未経験の同年代の子どもたちが起用された。通常は演技力を重視し、大人の女性声優が子ども役を務めるケースが多いが、今回は同じ雰囲気をかもす子どもたちによって、オリジナルの持つ「やんちゃ感」がそのまま再現されることになった。歌って踊って大騒ぎする、彼らのライブ感に要注目。
念願の初孫ができた関根勤とネットで話題のカリスマ保育士てぃ先生の特別対談
「孫と絶対一緒に見たい!」(関根)
「とにかくパパとママたちに見せたい」(てぃ先生)
初孫が誕生し、念願の「おじいちゃん」になったコメディアンの関根勤と、保育園児たちの日常をつづったTwitterが話題となり、今や40万人に迫るフォロワーを持つカリスマ保育士のてぃ先生の特別対談が実現。ふたりが絶賛を寄せた本作の魅力について、熱いトークを交わした。
「まだ孫は小さすぎて見られないけど(笑)、いずれ見せたい作品です。そして『どう思ったの?』って尋ねて、(劇中のセリフ同様)『そうだよ、おじいちゃんと離れるの嫌だよ』って言って欲しいですよね」と言う関根に、「機会があれば本当に、パパとママたちに見せたい。それもぜひ親子で見て欲しいなとすごく思ったので、機会があれば保育園で園児たちに見せたいなと思いました」と語るてぃ先生。とにかく、ふたりは絶賛だ。
「バカバカしくて面白いのに、考えさせられる深い話ですね。そういう映画は全体的に重たかったり、哲学的だったりする匂いが最初からある。でもこの作品は『楽しさ』『かわいらしさ』が先に出てきて、見終わった後に、現代社会はやっぱりちゃんとしなきゃいけないなと、あとから感じさせられるのがすごいなと思いました」と言う関根は、15年11月に念願の孫が誕生したばかり。「僕は本当におじいちゃんになったばかりなので、『おじいちゃん、おばあちゃんに会いたい』って子どもたちが切望しているシーンがグッと来て、ああいう(子どもたちに愛される)おじいちゃんになりたいなって思いましたね」と、お気に入りのシーンを挙げた。
てぃ先生も子どもたちと親、祖父母との関係性に注目。「この映画の最初に出てくるお父さん、お母さんは、子どもたちのことをあんまり認めていないんですけど、おじいちゃん、おばあちゃんは最初から最後まで子どもたちのこと、可能性を信じてあげている。子どもたちにとって家族は最後の砦。そこが彼らを守ってあげないと、ニュースで出ているように、自殺したり社会からドロップアウトすることになってしまうので、(学校の)教育方針の改善も重要ですけど、その一方で、子どもたちがやっていることを100%ちゃんと受け止めてあげることが大事なのかな、と考えさせられる作品でした」と指摘した。
関根は「僕はとにかく孫を笑わせてます。とにかくふざけて、『生きてるとこんなに楽しいことがいっぱいあるんだ』と感じてもらえるように接しています」と、自身の孫への接し方を明かしながら、本作の持つメッセージ性にも触れていく。
「子どもたちがおじいちゃん、おばあちゃんを取り戻すために、色んなことをやるじゃないですか。しかし全然計画性がなくて、失敗ばかりしますよね。でも一部の大人たちが、それをそのままって信じるところがすごい。あれが僕は、この作品のメッセージだと思ったんですよ。『まずは信じようよ』と。笑わせてもらった後に、こういう『まずは子どもの行動を素直に受け止めること』が必要なんだなと考えさせられる」と、まずは子どもたちに対する大人の態度について語る。そして、「実はいっぱい(社会問題に対してのメッセージが)入ってますよね。それを気付かせないように面白く作っているのがすごい」と、社会的テーマについても言及した。
「子どもたちを描いているけど、社会に対する皮肉という裏テーマもある。いわゆる『ファミリー映画』という作品とは、一線を画すと言ってもいいと思います」(関根)
てぃ先生は、「園児の両親に見せたい」という理由を、プロの保育士の視点から「今のパパとママって子どもを認めるというよりも、『これができて当たり前』『3歳までにこれができてなきゃ』という義務感とか焦燥感ばっかりなんですよね」と話す。そして、「『もっと自分を主張していいんだ』とか、『思っていることをもっとパパとかママ、おじいちゃん、おばあちゃんに言ってもいいんだ』とか、そういう事を感じられるんじゃないかな、と思いましたね」と、子どもたちへの影響を考察する。
「あと映画で『大人っていつもいいところで寝かしにくるの』というセリフがあったんですけど、あれはたぶん年長さんぐらいだったら『本当にそうだよね』って、子どもなりの『あるある』だと思うんですよ」(てぃ先生)
「自分たちも絶対この時代(子ども時代)はあったし、将来的にパパになる、ママになる可能性も秘めてるし、さらにおじいちゃん、おばあちゃんになることもあるし、だからいろんな目線から見られますよね。過去の自分であったり、将来の自分の子ども、孫であったり」という関根の言葉からも、本作が老若男女、あらゆる立場から楽しめる作品であることが伝わってくる。
最後に、関根からは「吹き替え版で見れば、映画館デビューとして良い作品だと思います。村の建物や雰囲気もかわいいですし、子どもや乗り物もいっぱい出てきますから」と語り、てぃ先生も「見た後で、親子で一緒に盛り上がれる映画だと思います。その会話のなかで『映画ではやっていたけど、(あんなハチャメチャは)お家ではやらないでね』って言ってもらえれば(笑)」と続けた。