「美しい純愛映画でした」昼顔 ふうげつさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい純愛映画でした
完璧な人間など存在しません。自分の理想とする人が世の中にひとりだけなんて、そもそもあり得ないと思います。人間は心の自由を与えられていて、それを統御する義務を与えられています。ひとりだけを愛することが本来は難しいからこそ、結婚式で敢えて誓い合うのかもしれません。
乃里子は必死で自分のブライドを守るために、理解ある妻を演じたのでしょう。
しかし、「離婚した後も裕一郎と呼んでいい?」の最後の願いが、紗和の「嫌です。ごめんなさい」の一言で崩れ去り、張り詰めていた心の糸が切れてしまったのだと思います。乃里子の表情の変化に著しく現れていました。やはり、あの一言さえなければ、結末は変わっていたんでしょうね。
自動車事故を起こした乃里子の退院する様は確かに怖かったです。だって、迎えに来ていた両親に笑顔で話しているんですから。そして、紗和と話し終え、バス停で別れる時の笑み。身震いがしました。ちなみに、あの状態で敢えてバスに乗ったのは、紗和と話をするためだったと思います。ご両親はちゃんとバスの後ろから車で着いてきていたので、バス停で迎える形になったのであり、決して、あの大怪我でバスで帰るなんておかしい!脚本がおかしい!というわけではないです。誤解されている方々もいらっしゃるようなので念のため。
不倫といえば、すぐに身体の関係だけの恋愛を思い浮かべますが、
昼顔は、ただの肉欲にまみれた不倫映画ではなく、とても美しい純愛映画でした。
しかし、最後の子供たちのシーンは確かに違和感ありますね。
紗和と裕一郎の子供が指輪を見つけ、砂浜に座って波を見ている紗和に、これ見てママ、と差し出して紗和がにっこり微笑む、みたいな終わり方が個人的にはよかったです。
いずれにしても、もう一度見たい映画ナンバーワンです。