「自転車のシーン」昼顔 やきすこぶさんの映画レビュー(感想・評価)
自転車のシーン
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序盤、上戸彩さん演じる紗和が、綺麗な海を背景に自転車を漕ぐシーンがあります。
青春映画に有りがちなシーンですが、この時の進行方向は画面左から右への上昇を暗示する動きでした。
このシーンの少し後、海沿いを自転車で走る紗和を、レストランのオーナーが海から見るシーンがあります。
先程のシーンと進んでいる方向は同じと思われますが、反対側から見る形ですから右から左の下降を暗示する動きになります。
この様に、同じ物事を見ていても立場によって受ける印象が違う事があります。
そして、そういった物事の代表とも言えるのが、不倫ではないでしょうか。
本人達が良い方向に進んでいると思っていても、周りから見ると悪い方向に進んでいたりする。こういう不倫の特性を、2つのシーンを対比させる事で、抽象的に表現しているのではないでしょうか。
ちなみに、この後の自転車のシーンは、中盤の楽しそうな二人乗りは上昇の左から右、終盤の悲劇の前の夏祭りに向かう紗和は、下降の右から左の動きだったので、この映画の自転車のシーンは進行方向に意味を持たせて作られてると、自分は推測します。
不倫の恋、上昇の右へ向かう者がいる一方で、下降の左へ進んでしまう人が出てしまう。あるいは、当事者も周囲も左へ進んでしまうかも。
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