「結婚と不倫、執着と愛のパラドクス」昼顔 ケイさんの映画レビュー(感想・評価)
結婚と不倫、執着と愛のパラドクス
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ドラマは見ないままで鑑賞。
主要人物4人、誰の気持ちも分かるだけに、何を恨んで誰を悪者にしたらいいか分からず、気持ちの整理が付かない。
けど、それこそがこの作品の狙いであり、このご時世に「不倫」を描く上で必要な要素なのだと思う。
死をもって、永遠に裕一郎を自分のものにした乃里子。
乃里子の「私の方がずっと裕一郎を愛しているのに、どうして!」という叫びは、もはや愛ではなく、執着の告白だ。
「不倫」というと欲や執着のイメージが強いが、実のところ、紗和よりも乃里子の方がずっと執着が強かったんだろうなぁ。
本当に裕一郎を愛していたのは、紗和だった。なんとも皮肉な関係図…。
あんなに紗和が欲しがっていた「紗和が好き」という言葉が、裕一郎からの口から発せられたのが、乃里子の前とは…あまりにも切ない。
その言葉が、乃里子の背の最後の一押しになってしまったと思うと、胸が締め付けられる。
それとほぼ同時、紗和が貼った左薬指の絆創膏をお守りのように手で押さえて、祈るように目を閉じた裕一郎。
その祈りや想いが蛍に形を変えて、紗和の左薬指にともって、紗和を生かしたのかな…なんてメルヘンな妄想で、モヤモヤした気持ちを払拭してみた。
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