「2回目のほうがおもしろい」昼顔 hhelibeさんの映画レビュー(感想・評価)
2回目のほうがおもしろい
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試写会に続き、2回目の鑑賞。2回目のほうがずっと面白かった。
たぶんこの映画、ストーリーの重要度って5位ぐらいな気がする。
台詞、演出、カメラワーク、表情、声色、そのひとつひとつの情報量がすごく多くて濃厚で、感情がとても忙しかった。
紗和の家、北野家、それぞれの冷蔵庫の中身で示される、今の生活の充実感の対比。
オーナーが無言で紗和の隣に座って、無表情で「じゃま?」と尋ねるところから始まる、不安定な空気。あの不穏な冗談混じりの会話で、彼の人懐っこさと得体の知れなさが同時に伝わる演出。
閉ざされた水辺で再会し、足場の悪い場所をヨロヨロとよろめきながら、身体を濡らして逢瀬を重ねる2人の閉塞感と不安定さ。
それと対をなすような、どこまでも拓けた海。逃げ場のない空間で、不倫を罵られる紗和。それは2人を白い目で見る「世間」そのもののよう。
北野が紗和との別れ際に「好き」と言おうとした瞬間、まるで神様がその告白を阻止するように、頭上から鳴り響く昼花火。
そして、ひとりになった紗和はまた、足場の悪い場所を裸足でヨロヨロと歩く。それは自らが選んだ道。
それにしても。
命を捨てる覚悟で北野を自分のものにしようとした乃里子にとって、紗和の妊娠はこれ以上なく残酷な敗北だろう。
紗和の子供が心配なので、金輪際紗和と乃里子は再会せずに一生を終えてほしい。
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