羊の木のレビュー・感想・評価
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しっかりミステリアスで結構笑えた
のろろ様が象徴するもの
テンポが悪い。けど、設定が面白かった。
最近の邦画、テンポが悪いと思います。もっと俳優の声量やセリフ回しでテンポを出してほしい。
設定は興味深い。こんなことを言うとあれだけど、今の、この犯罪の多い日本。この映画館のなかにもあの6人のような人がいるかも・・・なんて思いました。
俳優はみんな個性があってすばらしい。
錦戸亮、北村一輝、優香、市川実日子、木村文乃、
もちろん松田龍平。
でも田中泯と安藤玉恵がよかった。
二人とも何回か画面で見てはいましたが名前を初めて知りました。
あんな存在感のあるバイプレイヤーがいるんですね。
特に田中泯さんは画面に出た瞬間に空気が変わりました。
「たそがれ清兵衛」の演技がよみがえりました。
豪華キャストのB級映画
「のろろ」の頭と共に観客にあらゆる可能性を投げつけてくる
最近の邦画で言うと『怒り』に近いのかもしれん。「信じること」についての物語。元殺人犯6人と住人達の交流は可笑しいながらも徐々に不穏さが増していくもののそれらが一点に帰結しないのはやや肩すかしか。とはいえ"Leap of faith"をまさに画的に見せるクライマックスで全て許した
クライマックスに「映画的」としか言いようがないパワフルな画を見せるのが吉田大八監督作品。『桐島』のゾンビ。『紙の月』の窓ガラス破壊からの脱走。『美しい星』の宇宙船。『羊の木』の「のろろ」。その中でも特に『羊の木』は頭がおかしいのかと思った(褒めてます)
吉田大八監督作品のもう一つの特徴として観客にあらゆる可能性を提示して終わるところがあるかな。『羊の木』は希望も警鐘も全部ひっくるめてこちらに投げつけてくる。正直観終わった直後は何についての話なのか掴み切れんかった
好きな吉田大八作品
これは面白かった!!流石吉田大八監督です。前作の「美しい星」は、?と思いつつ、今回の作品は「紙の月」と同じくらい面白かった。やっぱ面白い映画は始まって5分以内にもう引き込まれる。原作のストーリーも面白いからだと思うけど、小さな港町に引っ越してくる6人の元・殺人犯たちのキャスティングが絶妙にハマっていて更に観ている人達を悪い意味でドキドキさせてくれた。松田龍平・北村一輝・田中泯・水澤紳吾・市川実日子・優香。それぞれ良い味を出していて、これまでの過去もその人達それぞれの闇も感じさせてくれる良い演技でした。元犯罪者達以外のキャラクターも含め、観ている内にひとりひとりに感情移入し、どうしてもハッピーエンドで終わって欲しいと願ってしまう自分がいて、この作品に入り込んで観てしまっているなと思いました。「怒り」とも似た感覚になることもありました。松田龍平はデビューから今まで一貫して独自の世界観がブレずにあって本当素晴らしい俳優だと改めて思いました。
タイトルの意味はよくわからないが
原作の漫画は未読。謎解きでもサイコ系でもないサスペンスというか。
冒頭から引きが強く始終不穏な空気が漂う。演出がもはや貫禄の吉田大八監督。癖の強い俳優の配置も上手い。
バンドのギター音のように日常が歪んで息苦しい。祭のシーンはサラリとしていたが逆に効果的。
役者はやはり龍平が光っていた。普通にしていても漂う妖しさよ。女優はみんななんかエロかった。
見終わって満足感によるクッタリした疲れがありました。
風呂敷を広げすぎた内容
彼らに、希望はあるのか
平坦
松田龍平の怪演とまた北村一輝の不気味なワル演
不安の正体
地味な地方の街で、地味な話が展開する映画。地味なので映画好きな人しか見ないのではないかと思われ、それが勿体ないと思うのであります。
この映画は、不安の映画です。
どうしようもなくて殺人を犯した元受刑者達が、どうしようもなくて地方の街に移り住む。地方の街も行き場を失っており、どうしようもなくて彼等を受け入れる。その地方の街の市役所の職員の主人公も、どうしようもなくて仕事として元受刑者達の世話をする。
それぞれがどうしようもなく、行き止まりしか見えない中で、どう生きるのか。そして、死ぬのか。
この監督が見せたかったものは、行き止まりとしての死/殺人と、その向こうにあるものは何かということなんだろうと思います。
それぞれがどうしようもない事情を抱えていて、死/殺人はその途上でどうしようもなく起こる。殺人は悪だが、しかしそれを避けられなかった彼等は悪魔でもなんでもなく、人間なのであって。
私達は何をもってその人達を認め、何をもって情を交わすのか。
常識で言ったら、殺人者なんて人間じゃないし、情を交わす理由など無い。しかし、彼等も人間だ。あなたが市役所の担当職員として彼等と接しなければならなくなったとしたら?
その時、自分の常識が崩されていく。
どうしようもなく、人は人を殺すのだ。
どうしようもなかったんだ。その人自身には罪なんてないじゃないか、と思えてしまう瞬間がある。
そう、常識人だと思い込んでいた我々自身だって、いつ常識の垣根を踏み越えてしまうかわかりゃしない。
この映画は不安の映画だ。
不安の正体は、それだ。
この映画を見ている俺だって、人を殺すかも知れないじゃないか。
殺さないのが常識で、殺してしまうのが非常識。
ほんとうにそうか?
その基準は?
確たる基準はあるか?
見終わった後の後味の悪さ。
これは人が根本的に抱える不安なのだろう。
吉田大八監督、さすがです。
不気味演出が?
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