「SFを騙る個人的な未知との遭遇」メッセージ クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
SFを騙る個人的な未知との遭遇
宇宙人がやってきた!
「インディペンデンスデイ」みたいになるのか!
はたまた「第9地区」みたいか!
いやいや、ホークアイがいるから「アベンジャーズ」的な展開か!
なんてテキトーな事考えながら観てたらとんでもない。物凄い個人的な話だったという巧妙な構成。
ちょっと今回も構えて観ましたが、
さすが変態ビルヌーブ監督(誉めてます)。
正直言って、宇宙人の造形てどの作品観てもガッカリで、コレも御多分に洩れずガッカリ。
(因みに一番ガッカリだったのは「サイン」)
それよりも斬新だったのは、宇宙人との交渉。
今迄の作品では、最初っから英語が通じちゃったり普通に会話してたりと、ロシアのスパイが英語話すくらいの違和感(「レッドスパロー」の所為、若しくは「スターリングラード」)を感じてはいた。
今回は宇宙人とどうやって交渉しようか、という所が素晴らしい。いきなり英語分かるでしょ?的に話さない。こっちは英語を話します。そちらはどーやって意思疎通しますか?と、あたかも未開の地で先住民族と遭遇した時(「イソラド」の所為)みたいに丸腰をアピールしていくのが、コレが正しく未知との遭遇だ!、と唸らされた。
そこから言語学者の本領発揮。宇宙人の表す何かを解読していく所はもう少し詳しくやって欲しかったが、互いの意思疎通が出来ていく所とかホントに素晴らしい。
その後、冒頭からのフラッシュバックのネタバラシの意味が分かった時、あんな能力ないから共感は出来ないけど、宇宙人との話でそのオチはビックリ。見事でした。
運命なんて分かっていても、物事に偶然なんてない。
全てが必然。
でも必然で宇宙人に会うなんて、怖いけど羨ましい。
原作はテッド・チャンの「あなたの人生の物語」ですね!
未来の出来事を過去として語る(過去、現在、未来の区別のない三世の言語)独特の語り口の小説でしたね。小説の方が娘に対する母への想い関係性(その特殊性)がよく表現されてましたね。