「タイムパラドックスではありませんが…」メッセージ hisataroさんの映画レビュー(感想・評価)
タイムパラドックスではありませんが…
理解出来ればこれ以上ないSF映画であり、ヒューマンドラマです。
見終わった時に涙が出るか出ないかは自分の知識と興味がどれだけこの映画にあるかでしょう(泣かない方が理解できるのか?)。
相対性理論や量子力学、多重宇宙論に言語学、東洋、西洋哲学に興味がないと全然面白くないし理解できません。レビューをみれば明らかです。
それに加え、親であると言う事も重要です(私にも娘がいます)。「未来に悲劇が待っていても、その運命を受け入れるか?」勿論「Yes」。最良のハイドラマだと思います。
原作にはない多くの要素もまた映画ならではだと思います。
町山智浩さんが言っていたタイムパラドックス
1、自分が書いた未来の本を見て文字を解読する。
2、未来で中国の将軍から奥さんの最後の言葉を聞き、今の将軍に電話し説得する。
は本当にタイムパラドックスなのか?
これらは、別に深く考えなくてもタイムパラドックスとは言えないと思います。
何故なら人間は『時間は人間が認知してラベリングすることで初めて存在する。』のであれば、逆にラベリングさせれば存在すると認識してしまうのです。
つまり、ヘプタポッドの贈り物は「未来が解る」のではなく「多くの未来の可能性のひとつが解る」と言うことであり決定はしていないのです。要するに未来はこうなると思い込ませればいいのです。
1、未来の自分の書いた未来の本を読んで文字を理解するは、自分が書いたと思い込ませればいい。
2,将軍に電話するは、ヘプタポットが事前に将軍の情報を調べて(?)おき、文字の情報といっしょにルイーズに与えればいい(将軍にも)。
もし、未来が変わったとしても、誰も気づかない(記憶も変わる)。
いわゆる『シュレディンガーの猫』です。今、その瞬間が決定するまで未来も過去も雲の様な存在であり、この先どうなるかは確率でしかないのです。
アインシュタインは「神はサイコロを振らない」と言いましたが、振るのです。
ただひとつ納得出来ないのは
「3000年後に助けてもらうから地球にやって来た」ということです。
可能性のひとつではありますが、決定ではないのです。3000年後にならないと解らないのです。
『原因が発生するまえに結果に関する知識が必要になる』のであり、あくまで結果の知識が必要であり決定ではないのです。
なぜ地球に来たかは解らないまま終わったほうが良かったと思います。
私家のテレビの前に娘の小さい時からの写真が何枚も置いてあります。これを見るたび、これが時間なんだなぁと思います。