「「観てよかった」と「観て欲しい」の違い」沈黙 サイレンス だいきつさんの映画レビュー(感想・評価)
「観てよかった」と「観て欲しい」の違い
「見てよかった」と「見て欲しい」の違い
マーチンスコセッシ。
名前は知ってる。
昔観た「ケープフィアー」を
おぼろげに覚えてるくらい。
そんな知識の私が観た結果。
この映画は、、、。
「怒り」のレビューでも書いたのだけど
「観てよかった」映画であって
「観て欲しい」映画ではないかな、ということ。
勧めたくない、訳ではない。
胸を張ってお勧めできる映画なのだが
人と、観るタイミングを選ぶ映画。
テーマも重いし
序盤の絵面も重たい。
長い上映時間も相まって
気力と体力に自信があるタイミングで
ぜひ観に行って欲しい。
そんな映画。
間違っても残業明けの
レイトショーなんかは
お勧めできない。
この映画を選んだ理由は
とにかく窪塚洋介が見たかったから。
アイキャンフライしてから
映像の世界からは遠ざかっていたが
はじめて劇場で「GO」を見たときの
あの衝撃は今でも忘れられない。
その窪塚洋介。
・・・。
どうも私の頭の中に
未だにIWGPのキングの
残像が残っているために
狡い、強かなキチジローと
一致せず、そのまま消化不良で
終わってしまった。
普通ならこれで「つまらない」
と、終わってしまうところだが
他の日本人キャストが
なかなかよかった。
やはりイッセー尾形だろう。
怪優が見事に怪演した。
薄ら笑いに甲高い声。
喉が渇いたり
立ち上がるときに発する
「ん、ん、ん」という
お付きのものに甘えるような声。
あんな演技は
彼しかできなかったと思う。
海外の人にどうな風に見えるんだろう。
そんなことばかり気にしながら観ていた。
あと驚いたのが
浅野忠信。
この人の演技って
日本語だとボソボソ
抑揚なく喋ってる感じがして
あんまり好きじゃないんだけど
英語でのセリフを聞いて
こっちの方がしっくりきた。
この人の英語力ってどうなんでしょう?
ネイティブの方、お教えください^_^
それ以外にも贅沢なくらいに
有名、個性派の俳優陣を起用。
160分の映画だったが
その時間ほど長くは感じなかったな。
外国映画によくありがちな
日本の風景の再現力の低さはなく、
不自然にならなかったのも
引き込まれた一因なのかも。
エンドロールも個人的に
すごくよかった。
もしここでタイアップした
どっかの有名アーチストの曲が流れたら
一気に白けてしまうところ。
ただ、自然の音を淡々と流す。
この映画にはこれ以上ない
素晴らしいエンドロールだった。
残念なのは
途中で出てきた
EXILEののAKIRA。
アーチスト、パフォーマーとしては
すごいんだろうけどね。
このいかにも
ねじ込まれた感がある
キャスティングは如何なものか。
結構重要なシーンだっただけに
学芸会のような演技に
場が一気に盛り下がってしまったのが残念。
兎にも角にも
一度マーチンスコセッシの映画を
ちゃんと見てみようと思わせてくれる
そんな映画だった。
PS:
これは偶然だと思うが
予告が終わって本編が始まるときに
2分近い「沈黙」があった。
これはもしや、タイトルに引っ掛けた
イオンシネマの粋な計らい?
・・・な訳ないか。
ちょっと、面白かったので
蛇足。