「やってしまいましたね、」沈黙 サイレンス Denebさんの映画レビュー(感想・評価)
やってしまいましたね、
見事な大失敗ですね。
沈黙+スコセッシでかなり期待していたのですけど、殆どマイナス評価ですね。
真面目な話しですが、何を間違えてしまっているのでしょうか?
ちゃんと小説の中身を捉えているのでしょうか? 理解しているつもりなだけなのか? それとも脚本を誰かに丸投げしているのか?
配役も変だし、、、
悪い点を挙げればキリが無いです。真面目な意味でのツッ込みどころ満載です。ホントに遠藤周作を読んでいるのかなぁ?
例えば小説の最も重要な配役であるキチジローです。彼は3人の心を持っていなければならないのに、誰の心も込められていません。込められるべき3人とはキリストでありユダであり、主人公ロドリゴであります。それらを通じて神を感じる事が主題なのです。
神が沈黙の中に於いても主人公の苦しみを分かち合っていると云う事をキチジローを生き鏡として表現しなければならないのに、何にも表現出来ていないです。そしてその神の苦しみはキリストの苦しみであり、またユダの苦しみであると云う事を理解させなければならない。
この映画では単純にキチジローをユダ扱い程度でやめてしまっている。キチジローが何度も踏み絵を踏んでいる事が本当の神のメッセージである事を伝えられていない。
もっとも、窪塚洋介じゃあ、こんな難しい役はこなせないでしょうね。キチジローはみすぼらしく卑しい人間として演技しなければならないのに、トレンディドラマみたいな演技で眼光をギラつかせてちゃ台無しですね。ありきたりの演技で、韓流と間違えているんじゃないでしょうか?
本人はどうやって上手に英語を喋るかに夢中だった感じで、本当は英語の聞き易さなんてどうでも良い事に格好を付けようとするんで、本来果たすべきキチジローの人間表現が全く成り立っていないと云うかブチ壊しなんですね。まあ、本来なら小説を読んだ時点で自分の実力に見合っていない事を早々に悟って、辞退しといた方が良かったんですけど、この人は仕事が来れば何でも食い付くんでしょうか?
次に最悪なのがイッセー尾形です。私はイッセー尾形さんは十指に入る大好きな芸人さんですけど、彼の一人芝居をそのまま映画に乗っけてる様で酷すぎます。元々、映画の演技などとはカテゴリーが違い過ぎるんで、、無理なんです。その上、アフレコの英語が外れまくっています。多分、アフレコ時に英文を読むのがやっとで、自分の舌を見てる余裕が無かったんでしょうけど、誰かちゃんとサポートしてあげて暮れなかったんでしょうかね?
イッセー尾形の井上筑後守の役はキリストを処刑したときのローマ総督を追体験しようとする者だとは、誰も教えてあげていないのでしょうか?
そして、この映画の根本をひっくり返しているのが、神様が喋くりまくる点です。遠藤周作が一番悩んだであろう沈黙をいとも簡単に破って、あれこれ神ツイート三昧です。オマケにイメージ画像付きです。「やってくれるね~!」って感じですね。どうせ神様が喋るのであれば、主人公の声でやるか、キチジローの声でやれば何とかなったんでしょうけど、ありきたりな野太い声でやられてしまって残念でつまらないです。
で、未だあるんです。本当のクライマックスである、逆さ吊りの刑での呻き声のとこですね。小説ではこの呻き声に悩まされる過程が主人公の棄教への最も大事な契機になっているのに、、、、 30秒くらいでサラッと流されちゃいました。「えっ! あれっ? はっ? どうしたの? こんだけ? えっホント? どう云う意味?」って、暫く凍り付きました。「じゃあ、いったい、この映画は何が表現したいんダヨ?」と、「ただのエンターテーメントじゃん!」て感じで情けなくて仕方ありません。
まあ、棄教した後も長ったらしいし、「小説の方はこんなにダラダラしてたっけかな~?」って思い出しながら観てましたけど、、、 要は説明が必要なんですね!!、、いちいち、、本編の映像表現で出来なかったんもんで、、 映画でこんな長いナレーションは私は聞いたことが無いですね。落語の枕話しよりも長い!! 誰もそんなの聞きゃあしないよ!!
エンディングのオチは、まるで学生映画か何かのノリです。こんな事しなくても良いのに、、、 主題が入れ替わってしまっている感じです。
でも、世間の評価は良いみたいですので、興味のある方は観てみましょう。但し、観た後に小説の「沈黙」を読み直すのを忘れないで下さい。この映画と対比する事で、遠藤周作が何を問いかけようとしていたかが理解し易くなるでしょう。そうする事によって、小説「沈黙」の本当の意思が伝わって来ると思います。
ありがとうございます。
私はスコセッシのファンですが、この作品を見終わったあと、
薄っぺらい感じと、予定調和な話の展開、学生映画のような
陳腐なラストに、「スコセッシとしたことが…」と肩すかしを
食らったように感じていました。
原作に忠実に描いている、と聞いていましたので、
原作もきっと薄っぺらい話なのだろうと思い、読まずに
済まそうと思っていましたが、誤解だったようです。
読んでみようか、と思わせていただきました。
なるほど〜自分も原作を読んでいればまた違った印象だったのかもしれないですね。原作を手にとってみようと思います。
でもイッセーさんの一人芝居は劇中唯一の笑いポイントで〜そのコミカルさが逆に井上の怖さが出ていたと思いました。