アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男のレビュー・感想・評価
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華はないが執念がある。鬼の検事局長の魂に魅せられる一作
このところアイヒマンがらみの映画が数多く発表される中、戦後ドイツの混乱期を生きた鬼の検事局長の執念を描いたドラマとして実に見応えがある。彼ときたら、パッと見た感じだと刑事ドラマの脇役くらいが無難で、『イレイザー・ヘッド』のような逆立ち髪。決して華はなく、観ている我々も「まさか彼が主人公とは・・・」と不安になるが、いざ自殺疑惑から復帰してからは目の色が変わっているのを感じる。何が彼をここまで突き動かすのか。ナチス親衛隊の生き残りも残存する当時のドイツの政情は一体どのようなものだったのか。検事局長はTV出演で若者たちへ向けて自分の信念を語り、同性愛者として悩む部下(彼の存在感も素晴らしい)にも親身になってアドバイスを与える。無骨なキャラだが少しずつあらわになるその個性、人間性に、すっかりと魅了されずにいられない。あの時代の雰囲気を伝える美術や、訪れる国ごとに巧みに色調を変えた絵作りも見事。
執念の大切さが良く分かる映画
バウアー検事長の執念によりアイヒマンを拘束できたことの良く分かる映画だと思いました。特にイスラエルにアイヒマンの情報を流したことが公となれば、自らが国家反逆罪に問われかねないという危ない状況に置かれたとしても目的を達成するためには全く怯まない精神力には敬意を表したいと思いました。ありがとうございます。この映画を製作した監督及びスタッフの皆様に深く感謝申し上げます。
政治的に複雑に入り組んだ戦犯処理問題。
内容は、WW2後のホロコーストによるユダヤ人虐殺に最も関わったとされる政治犯アイヒマンを探しドイツで裁こうとする検事長フリッツ・バウアーとその愛弟子検事の話。好きな言葉は『私は信じる。過去の真実を知っても克服出来る。』1961年記録映画で述べられた本人の肉声。ユダヤ人として事実に向き合う事の大切さを訴えた希望的観測にも似た発言。好きな場面は冒頭の浴槽で自殺未遂と間違われそうになった時、同じ司法機関内で権力争いがあり圧力を掛け合いドイツ労働党時代と変わらず内部闘争に止む事がない所が闇深いなと感じました。バウアーもあれだけ咳き込むのにフラグでなく平気なミスリードには驚きでした。国際問題と国内問題が累積して複雑に絡み合った悪者探しは人類の生贄の歴史で防ぎようはないかもしれませんが過去と向き合う大切さはよくわかります。しかしこの映画は、やっぱり『検事長フリッツ・バウアー』で良かった様に感じました。敵は身内にありで呪われてしまった様相が、違った見方が出来ました。話が浮気と同性愛🏳️🌈が絡んでいて何とも面白い終わりで驚きました。これも時代性を取り入れた結果なんですね。
モサドの存在は物心ついた頃から知っていた。親父が教えてくれた。この...
モサドの存在は物心ついた頃から知っていた。親父が教えてくれた。このアイヒマンの事も、その時教えてくれたと記憶する。兎に角『イスラエルは怖い国だ』って言っていた。ユダヤ人が迫害を受けた(ホロコーストにあった)と言う事実よりも前に、親父は教えてくれた。今考えて、なぜなんだろうと思う。たぶん、親父はユダヤ陰謀論を信じていたのかもしれない。
親父は約10年前に地獄へ落ちたが『ユダヤ陰謀論』は今でも残っている。さて、信用できるのか?そうであるものと、そうでないものがあると僕は思う。つまり、一方に陰謀論があれば、その逆にも陰謀があるからだと思う。
なんでも、簡単に信用しては駄目だと思う。特に今はフェイクニュースなるものがある。ネットとかね。
さて、この映画は?分からないし、どちらでも良いと思う。このフリッツ・バウアーなる検事の努力を今更称賛することでもあるまい。まぁ、面白いけどね。日本にはアイヒマンの様な奴はいないのだろうか?
【”現代ドイツを過去と向き合わせるために・・”ホロコーストの中心的役割を担ったアドルフ・アイヒマン逮捕のために、孤高のドイツの検事が行った事。】
ー アドルフ・アイヒマン逮捕は、近代歴史でしか知らなかったが、イスラエルのモサドが執念で逮捕し、処刑したと思っていた・・。ー
◆感想
・怖い映画である。
アイヒマン逮捕に執念を燃やすドイツ・ヘッセン州検察庁のバウアー検事長(ブルクハルト・クラウスナー)と只一人、彼の捜索に協力する若き検事アンガーマン(ロナルド・ツァフェルト)をあの手、この手で妨害してくる、元ナチス親衛隊だった連邦局長やクライトラー上級検事の姿。
ー アイヒマン逮捕により、自らが過去に犯した罪を問われるのが、恐ろしいのである。1960年当時、ナチス残党が東西ドイツの要職に多数存在していた事が分かる。ー
・執念で、アイヒマンがブエノスアイレスにいる事を突き止め、バウアー検事長がモサドの高官イサーと会うシーン。”もう一つの証拠が欲しい・・。”
ー アイヒマンは、ブエノスアイレスでのインタビューで、抜け抜けと”私は、搬出係だっただけだ・・”と述べている。ー
・TVの討論会で、ドイツの若者達と、意見を交わすバウアー検事長。”真に民主的国家を作りたい。そのためには、若者の力が必要だ”
ー 翌日の反響。花束が届いたり、激励の言葉もある中、ハーケンクロイツのマークのある布に包まれた弾丸。ー
・漸く、アイヒマンは捕獲されるが、バウアー検事長が望んだ、ドイツでの裁判ではなくイスラエルでの裁判を受ける。旧ナチス残党の企みにより。
更に、アンガーマンはハニートラップに引っ掛かり、自ら自首する。
ー 意気揚々と現れた元ナチス親衛隊だったクライトラー上級検事の握手を拒否し、言い放った言葉。ー
<全編に流れる印象的な、哀調を帯びたジャズの音色がサスペンスフルなタッチで描かれるアイヒマン逮捕の真実の物語を彩っている。
アイヒマン処刑後、”ドイツ国内で過去をキチンと清算すべき”と言う気風が起こり、フランクフルト・アウシュビッツ裁判で、ドイツ人自身の手により、戦後安穏と暮らしていた元親衛隊員達は、次々と裁かれていったのである・・。
バウアー検事長の功績は、大きかったのである。>
<2017年1月頃 京都シネマにて鑑賞>
<2021年8月8日 別媒体にて再鑑賞>
自分の中の正義に対する執念
アドルフ・アイヒマンをドイツで裁くこと、そしてそれをきっかけにドイツ国内の要職に就いているナチス戦犯の告発に執念を燃やす検事長フリッツ・バウアーの話。
善い行いを貫こうとする人の前に幾度となく政治や権力は立ちはだかってきただろう。その悔しさを思うと胸が締め付けられる。映画を観ているだけでも胸くクソだったのだから、当事者たちの悔しさや苦しみは想像を絶する。
検事長かっこいい
主人公のバウアー検事長は美形でも何でもない、腹の出たおじさんなんだけど、アイヒマン逮捕への執念でだんだんかっこよく思えてくるから不思議。この映画で初めてフリッツ・バウアーを知った。アイヒマン捜査網を徐々に絞り込んでいく様子がスリリングで引き込まれた。
・50年代だからか喫煙シーンがやたらと多い。
・サブの筋として、50年代ドイツの同性愛事情が描かれる。切ない。
ドイツもか…
ちょっと前に裏切りのサーカスを見たので、比べるとストーリーや展開が分かりやすくて見やすかった。戦後なのに何故ナチスが畏れるの?と思ったら、まだまだ政府内部に関係者が力を持ってたりしてた。裏切りのサーカスではロンドンでも内部の敵がいて、あードイツもかーと思ったけど、権力の集まるところは、政府はもちろんそれ以外でもそれにしがみついたり利用したりは、まぁあるよなーとげんなり。
最後のあの人の行動こそ、国とは一人一人が何をするか、誇るべき善行とは何かを示していた。
自分の信じる正義を貫く力をくれる一本。
こういうジャンル好きです
総じて好きなジャンルでした。
特に驚きの展開はありませんでしたが、歴史ものとしていい映画だったかなと思います。配役もいいですね。
各個人が善いことを行っていくしかない、というワードはいい言葉だなと感じました。
人は決して暴政に屈服してはならない
面白かった。実話を元に地味ながら丁寧な作り。
ドイツは戦争の過去と向き合ってきたイメージがあったが、それは検事長フリッツ・バウアーのような人物がいたからこそなのだとわかる。彼を邪魔だと思う勢力は外にも中にもおり、それと闘ってきたことがどれほど危険で困難なことであったであろうか。
「人は決して暴政に屈服してはならない」
この信念を貫き通せる人間がどれだけいるだろう。今の日本の状況を考えると決して他人事ではないという思いを強く持った。
史実として見る価値あり。
戦後のドイツで、ナチスの残党が潜伏して力を持っていたこと、
それに立ち向かっていくドイツ人がいたこと。
ドイツの中でのホロコーストの考え方や風化してしまわないように戦っていくことなど、
今まで知らなかったことばかりだった。
合わせてハンナアーレントを見ると、その先のアイヒマンがわかる
人間味ある生活から 漏れる「秘密」
戦後のドイツの雰囲気が(再ナチ化!)よく判る
敗戦国(ドイツ、イタリア、日本)の 混乱の仕方が 各々違うのが、興味深い
復興優先になるのは 致し方ないが…
日本は、戦犯が区分けされ 処罰されたと思うのだが、ドイツでは ナチ残党が 各部門にあんなに 蔓延っていたなんて…
(そういえば「愛の嵐」も そんな映画だった)
国家を持たない、ユダヤ人が生き残りの為 知恵を絞ることが、また 世界で嫌われるという悪循環…
とはいえ、やり過ぎドイツは許されるものではない
ユダヤ人検事長が アイヒマン発見に尽力し、アウシュビッツ裁判を行い、ドイツという国を 白日のもとに晒したことは、将来のドイツの為にも重要であった
健康には留意しない人物であったが、頭と心の中は きちんと整理された知的な人物、であったことが 判る(モサドが 非協力的だったことは、意外!)
ドイツにも ゲイが居るんだな、と (当たり前のことを)思う… 悪法の被害者になり、気の毒である
娘が、アイヒマンの息子と付き合ってしまったら…
密告してしまう 亡命ユダヤ人の父は、仰天ものだったろう!
人間が 人間味ある生活を求める限り、秘密は漏れてしまうのだ
反対に 戦後のどさくさに紛れ、曖昧に済ませてきた日常や報道、政治、官僚機構の中に 魑魅魍魎が潜んで居たことに、やっと気が付き始めた日本だなぁ… とも思う
ほんとに、我々は 何を見てきたのだろうか
(やっぱり、12歳だったか ← これも ガセらしい…
別解釈だった… 腹立つ!)
バウアー検事官の実話
アイヒマンは、ほとんど出てこない。
フリッツ・バウアー検事官の実話に基づくヒューマン映画。
内容地味なんだけど、実話だと思えば真剣に観れる。
同性愛に対して実刑とか、知らなかった事実も知れて勉強になる。
楽しみながら観るというよりは、1960年頃のドイツ情勢やバウアー検事官について知る事のできる勉強になる映画かな。
フリッツバウアー検事長のお話
1950年代のドイツのお話。当時は車のサイズが小さいのね。
アイヒマンが主役ではなく、彼の事を描くパートも少ない。海外向けというより自国向け映画っぽい。
当時は公職者の中に元ナチスやシンパが多く存在していたという事が意外。
当時、モサドの組織力は然程大きくなくナチス狩りより対アラブ作戦に注力していたというのも意外。
ドイツでは同性愛は犯罪というのも意外。
主役の検事長は年寄りのユダヤ人で偏屈でゲイという何とも具合の悪いキャラ。
しかも右腕となるガタイのいい男性まで男色に走るとは。
最後がアッサリというか、アイヒマンは無理だったがアウシュビッツ裁判は遂行できたという偉業がテロップ1行で片付けられるのは如何なものか…気になったら自分で調べろということか。いや、当然知っていなければならない出来事ということか。
バウアーがアイヒマン逮捕に関与していた事が死後10年も秘匿されていた事が一番凄い事なのかも。
静かな良作
フリッツ・バウアーなる人を初めて知った。
彼が私生活を犠牲にしてまで追わなければ、アイヒマンは野放しにされていたという恐ろしい事実。
偽名を使って平凡な毎日を送る大量虐殺指示者。
ホロコースト関連の作品をここのところ立て続けに観ているが…基本的にどの作品も、淡々と史実を大切に描いた作品ばかり。それ以外にないのだと思う。
作中出てくるインタビューの答え、罪悪感もなしに一体アイヒマンという男は何者なのか…
そしてこの作品で知ったフリッツ・バウアーという人物、益々この過去の過ちを掘り下げてみたくなった。
ただ、深淵を覗くときには、深淵に覗かれないようにしなければと思うが。
評価が分かれてしまうのは仕方ないが、私は静かな良作だと感じた。
脅威は 内なる敵!! は、いつの時代にもどの国にもあるものだろうと...
脅威は 内なる敵!!
は、いつの時代にもどの国にもあるものだろうと想像してたけど、
戦後 西ドイツが その極みとは知らなんだ
バウアーのターゲットは、
エスタブリッシュメントの中に入り込んだナチス残党群なのね
アイヒマンは入口にすぎず
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