「群衆の中の孤独」映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)
群衆の中の孤独
日常の中に死は溢れていて、そんな現場に立ち合ってしまったことから、孤独を意識しはじめる物語。衝撃や悲嘆から目を背けようとしても、ダメージは静かに心を侵してゆき、そらに抗うには、自分を理解してくれる誰かの存在が圧倒的に必要だ。そんな状況で出会う若い男女の、ありふれているようで不思議な恋愛物語。
若い人の大半がそうだろうが、地方から上京して仕事に就いたら、職場と自分の住処が世界の大半となる。そんな職場で誰かの死を経験してしまうと、逃げ場がなくなり、だんだんと澱が溜まっていく。そうした時に、それまでの世界と切り離された誰かを必要として、そばに居て、話しをして、心の澱を取り除いていくことが、必要なのだ。孤独バンザイ、自由だ、とか都会に出てつよがっていても、人間はそういう生き物ではないのだ。
石橋静河と池松壮亮の、木訥とした掛け合いが妙に間が良くて、いい感じでした。最初は偶然の出会いが重なり、その中で少し自分と似ているところを見つけ、やがてベターハーフと確信するようになる間合いが、自然で良かったです。
脇を松田龍平や田中哲司などが固め、キャスティングも安定。必要性は賛否両論ありそうだが、個人的には佐藤玲が出てくるくだりが、唐突に挟まれたのが良かった。
石井裕也監督っぽく、都会の孤独を題材に切り取った、秀作だと思う。
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