「健康増進法違反」映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ かぴ腹さんの映画レビュー(感想・評価)
健康増進法違反
看護師の喫煙者が少なくないのは知っているが、病院敷地内は全面禁煙で裏口といえども喫煙は禁じられている。寝タバコはじめ、あんなマナーの悪い喫煙がはびこったら映画とはいえただでさえ肩身の狭いJTが血相を変えるだろう。低所得者イコール喫煙というのは安直ではないか。もう昭和ではない。煙草はとても高いものになっている。無害な煙草を使っているのかも知れないが撮影現場と俳優の健康が気になる。
慎二の視点を表現するのに四角く抜いた画面を見せていたが、右眼の視野は卵型をしているから境目は丸く広がっているはず。左右の境目が真っ直ぐ垂直に分かれるなら視交叉より中枢の障害、つまり目の障害ではなくて脳の異常のはず。それなら左眼でも右視野は見える。
些末なことはこれくらいにして、トレーラーの詩のナレーションで見ようと思った。お上りさん向け映画なこと必至。詩が原作の映画なんてどうなるか興味があった。
興行を意識していない作り、盛り上がるわけでもなくわかりやすいわけでもなく心地よいわけでもない。それはそれでよかったと思う。
ただ、何度もこれで終わりか、と思わせるシーンがあったが続きがあった。もっとコンパクトでもいいと思った。
美香は変わり者であることを表現しようとしてああなったのか、単に演技が下手なのか、セリフの読みが不自然だった。
なぜ東京にいるか。故郷に仕事がなくてやってきた。自活するために。それが精一杯なのか。親のように家族を持てない。それが幸せなのかわからない。恋愛することもそんなにいいことなのかわからない。美香のように傷つけられていなくても、私のまわりの現実の若者がそんな思いで生きている。そして答えを探しすらしない。年寄りとしては見ていてもどかしい。
予定調和を目指したストーリーではないようだが、工事現場のメンバーはみなそれぞれの道に進んでいく。路上の歌手も。ただ1人、アンドレスの隣の部屋の壁を叩く拳がどこに向かうのか気がかりだ。