「気がつけば2049年に辿り着いていた」ブレードランナー 2049 神社エールさんの映画レビュー(感想・評価)
気がつけば2049年に辿り着いていた
ブレードランナーは劇場公開版、ディレクターズカット版、2049に至る短編三作観賞済。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品はプリズナーズ、複製された男、メッセージ観賞済。
正直言うと、つい最近までブレードランナーは流し見位でそんなにしっかり見たことがなく、ドゥニ監督がメガホンを取るのをきっかけに、今作の公開前改めてしっかり見たことでその世界観や、世界観を構築する視覚効果などの技術、先見性のあるテーマ、何よりブレードランナーが持つ独特の空気感に、無意識にどんどん画面へと寄っていくほどハマっていた。
公開直前にブレードランナーを復習したことで今作のハードルはかなり上がったものの、ドゥニ監督の作品の世界観も好きなので期待しながら観に行った。
結果、ブレードランナーの、見てる内に画面とこちら側との境界が無くなるような、無意識に2049年へと辿り着いていた様な体験をまた味わえ、大満足だった。
ここのレビュー(https://wired.jp/2017/10/28/blade-runner-2049-review-ikeda/)を見て納得したんだけど、今回のウォレス、ジョシ、解放戦線のリーダーが"タイレル"の志を受け継いだ"三人の使徒"って表現は、メタルギアソリッド3での"ザ・ボス"の志を受け継いだビッグボス、ゼロ、愛国者達って構図に近く、メタルギアソリッド4も神話にヒントを受けているんだと、今更ながらその共通点に気がついた。
個人的には小島監督のブレードランナー2049のレビュー内に出てくる、
"『ブレードランナー2049』は、完璧に完結した続編になることで、ファンは前作へと帰らされる。
誰にも解けなかった答えを見て、もう一度問題を読み返したくなるようなものだ。
素晴らしい解答が、問題の凄みを改めて教えてくれるのである。続編から前作へと回帰(ループ)する新しい“ユニバース”を本作はつくったのだ。"
って表現がしっくり来ていて、見ている中でも、ビジュアル面的にも円環構造として前作と今作は対比しているものが多い印象を感じた。
青と赤、闇と光、雨と雪、空と海、レプリカントとAI…などなど。
その対比こそが(テーマと合わせて)前作に対する補完になっていて、もう一度前作を観たくなる要因なんじゃないかと思う。
上映時間が長いって言う感想をチラホラ見かけたけど、2049年に浸ってる間長さは感じず、むしろ"もっと見ていたい、浸かっていたい"と思わせてくれる作品だった。
今人気のユニバース系映画の様に一回見れば理解出来る単純な娯楽映画ではなく前作同様、観れば観る程深みが増す、議論が後年までずっとされていく様な映画になっていたと思う。