「枠を取り払って視野を広げよう」ちょっと今から仕事やめてくる everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
枠を取り払って視野を広げよう
序盤から涙が溢れてきまして、あまり派手に泣いたら恥ずかしいのでずっと堪えて、鑑賞後トイレの個室で号泣してしまいました。軽い気持ちで観に行きましたが、映画でこんなに泣かされるとは。
とりあえず内定をもらえて青山が就職した会社はブラック企業。配属された営業部の部長はヒステリックに声を荒げ暴力を振るい、部下は日々震え上がっている。相対評価で誰か1人をターゲットに虐めるタイプの上司って感じで、周囲はさながら青山1人を生贄にしているかのようでした。エースの五十嵐先輩も、真っ赤な口紅がイヤに浮いていて、お色気作戦を取り入れた上での営業成績だということを暗に示しているようでした。部長を含めて、誰一人としてハッピーではない職場。誰も自分自身を大切にしていません。
ヤマモトは直接パワハラで苦しんだ訳ではないけれど、家族3人を失い天涯孤独となった人。ヤマモトの過去を紐解く後半は、飛躍しすぎで中途半端な現実味となり、少し間延びしてしまいました。しかしお陰で涙腺が休めました。
退職後青山は実家に帰るのかと思いきや…。言葉も通じない不慣れな土地での暮らしはヤマモトに頼りきりになると思いますが(^^;)、きっかけがないと海外ボランティアなんてなかなか足を踏み出せませんし、何より人生を救ってくれた恩人がいて、命の洗濯も兼ねるには絶好の環境なんじゃないでしょうか。
自分も過労と心労が重なりぶっ倒れたことがあります。後輩の尻拭いは教育のうちだし、上司からの丸投げも仕事のうちと心得て、理不尽なことも嫌というほど経験しましたが、あそこまで暴力を振るう上司って実際いるの?!って疑問に思えるだけまだマシなのかな…。
青山の両親の答えは取って付けたような台詞でしたが、心中を考えたくらいの経験をしたからあんなに優しいのでしょうねぇ。電話は三回思い立つうちの一回だけに抑えてる、会社は一つだけじゃないのよ、という子を想う親の気持ちには泣けました。自分の場合、家族からは健康よりもお金の心配ばかりされましたから…(´-`)。
共感するには、ある程度日本での社会人経験を要する内容だと思います。自分も倒れる前なら「もっと働いている人いますけど〜」なんて思ったかも知れません。一番の問題は、観るべき青山のような人達が忙し過ぎて本作を観る時間もないだろうし、もしかしたら作品の存在すら知る機会がないかも知れないことです。
生きるために働く。働くために生きているのではない。むしろ心底やりたいことならどんな環境でもやり抜けるでしょう。
ヤマモトの笑顔と青山の澄んだ瞳がとても良いコンビでした。コブクロの歌も沁みました。
everglazeさん
悟り…たやすい事ではないですよね。
人の為に強い気持ちになれたとしても、自分の為にはなかなか強くなれない生き物かも知れませんね。
患者さんの命と向き合う、やはり大変なお仕事ですね。
everglazeさん
コメントへの返信を有難うございます。
難関( 驚くほどに偏差値が高いのは、記憶力も大きな資質の一つだからでしょうか。)を突破し、志を持って働かれているにも拘らず、重責を伴う過酷な職務( 新型コロナの逼迫時にも度々報道で取り上げられていましたが…。)、精神的にも肉体的にも大変なお仕事だと思っています。
他者に対して声を荒げる者は、自身の感情の抑制が出来ない器の小さい人間であるのだという事を自覚して貰いたいですよね。
人のしなやかな強さ、優しさを爽やかに魅せてくれた作品でした。
everglazeさん
エリートのeverglazeさんも、過酷な働き方を経験された事がお有りなんですね。医療に携わっていらっしゃる故でしょうか。
主演お二人の熱く誠実な演技に引き込まれました。