戦場のメロディのレビュー・感想・評価
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【”合唱で醸し出される美しき少年少女の和音が齎したモノ”今作は朝鮮戦争勃発により孤児になった少年少女に青年少尉が「児童合唱団」結成する事で笑顔を取り戻すヒューマンドラマである。】
■朝鮮戦争勃発後の1952年。
家族や多くの戦友を失ったハン・サンヨル少尉(イム・シワン)は、失意のまま最前線から釜山に転属となる。
そこで戦争孤児の世話を任されると、児童合唱団を結成してボランティアのジュミ(コ・アソン)とともに彼らに歌を教え始める。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は「船上のピアニスト」と同様の、音楽を主軸とした反戦映画である。序盤は南北朝鮮の激しい戦闘シーンが描かれるが、徐々に戦闘シーンは少なくなり、逆に親を亡くした幼い少年少女が主役となっていく。
・特に、オ・ドング少年と妹のスンの兄妹が、父から教えられた北の曲を韓国軍の前で歌ってしまったが故に、父が殺されてしまい、スンが歌を歌えなくなってしまう姿は哀しい。
・ハン・サンヨル少尉とジュミが「児童合唱団」のオーディションをしたときの、オ・ドング少年のボーイソプラノの歌声は素晴らしい。
そして、オ・ドング少年の父の密告により家族を殺されてしまった少年とが、且つては仲が良かったのに犬猿の仲になっている事を知っているハン・サンヨル少尉が二人にそれぞれ、”ダニー・ボーイ”と”アニー・ローリー”をそれぞれ歌わせて、二人の歌声が和音となり、美しい調べになるシーンも素晴らしい。
そして、ハン・サンヨル少尉は言うのである。”違う歌を歌っても、和音となるのだ・・。”と。
・今作では孤児たちを使って金儲けをするや愚劣な金持ちのボンボンや彼に媚びへつらう片腕が鉤手になっているカルゴリ(イ・ヒジュン)が登場するが、ハン・サンヨル少尉が少女に手を出すボンボンを殴りつけ、更にはカルゴリとも乱闘になるが、海に落ちた彼をハン・サンヨル少尉が救った事から、カルゴリの善性が頭をもたげ、ボンボンに対し反旗を翻すシーンは印象的である。
■「児童合唱団」が戦地慰問をする事になり、ハン・サンヨル少尉が危険と判断し、解散を命じるシーンで、オ・ドング少年が”僕たちは歌いたい”と訴えて、多数決で存続が決まるシーンからの、戦地でオ・ドング少年と妹のスンの兄妹が迷子になってしまい、オ・ドング少年が北の兵士に撃たれてしまうシーン。
オ・ドング少年は野戦病院のベッドで意識を失っているのだが、彼のために”父を殺したのは自分の歌だ”という自責の念から歌が歌えなくなっていた妹のスンが歌を歌い、その声を聴いた少年が薄く目を開けてから死んでしまうシーンは、可なり切ない。
<だが、兄を失ってもスンは歌い、合唱団も清らかな声で歌い続けるのである。その姿を別人のような笑顔で遠くで見ているカルゴリの姿も良かったな。
そして、漸く朝鮮戦争は休戦を迎えるのである。
今作は、朝鮮戦争勃発により孤児になった少年少女に青年少尉が「児童合唱団」結成する事で笑顔を取り戻すヒューマンドラマなのである。>
戦争孤児だから?
実話が元になっていると言うことだが、子供たちの合唱団がいくらいやしてくれると言っても最前線に慰問に行くというのは異常では無いか?
各地を訪れる道中も出てくるがいつ襲われても仕方の無いような所を通っているし、護衛(引率者)の人数も十分、足りきれてないやろと思え、はなはだ大人のエゴが悲しかった。
案の定、悲劇が起る。
自分が歌ったことで親を亡くし歌えなくなったのにさらに兄を亡くしてこの上なく悲しみの中にいたのに、それを乗り越えラストシーンでメインで歌う彼女の姿は涙無しでは見れなかった。
どんな戦争であっても悲劇しか生まないと言うことがよく伝わってくる映画だった。
ドラマでよく見たイム・シワン、映画でも活躍していてうれしい。
ダニーボーイとアニーローリー
北朝鮮の孤児ドングとスニの兄妹も韓国の孤児たちに混じって孤児院に収容されることになった。大人の戦争に子供たちは関係ないという南北融和の精神も垣間見え、戦争をなくしたいと願う作者の思いが伝わってくる。
孤児たちをこきつかってあぶく銭をかすめとろうとするかぎ爪男や、その商売相手である幼児愛の変質男はそれほど要らないキャラであったが、まぁ味付け具合もなかなか良い。
北の子供と南の子供のケンカを仲裁するサンヨルのシーンが震えがくるくらい良かった。「ダニー・ボーイ」と「アニー・ローリー」を同時に歌わせて、違った音でも和音になれば美しくなるという教えは素晴らしい。ここだけもう一度聞きたいくらい。
終盤、慰問の旅に出ていた児童合唱団であったが、森の中でおしっこするために奥深くに入ったため敵の銃弾を受けてしまった14歳のドングが死んでしまう。9歳のスニは自分が北の歌を歌ったために父親が殺されてしまったという過去があるため歌を歌えなくなっていたのだが、兄の死に直面し、歌いだすところも涙を誘う。
(ほぼ備忘録)
心に響く子供たちの歌
子供たちの熱演が光る!
原題意訳『兄を想う』
あれれれ、中盤からメッセージ性が出てきたかと思いきや、後半にかけてブレてきた感が…
本作を一言でまとめると「前線から除隊した軍人と戦争孤児の出会い、彼らが創った児童合唱団の記録」それ以上でもそれ以下でもないかな。
キャッチにある「奇跡」もこれと言って描かれていなくて残念。
一見主人公はイム・シワン氏演じるハン・サンリョル、しかし観終えてみれば原題の指す人物(=兄)はドングでそこに想いを馳せる妹はスニ。
主眼がどこに置かれているのか、何映画なのか(戦争映画と言うには描写が弱いし、子供を主役にしているとしたら大人に充てたスポットが多過ぎるし、かと言って音楽映画とも言い難い)、戦時下という非常事態で生まれる苦悩や葛藤とそれを乗り越えていく過程の描写が散漫したり足りなかったり、題材が良いだけに仕上がりが勿体ないと感じた。
とは言え、史実を知る意味では一見の価値はあろうかと。(これまで取り上げられたことが無いと思うので)
また、どの時代どのような環境でも「子供たちは希望」だと思わせてくれる点は良い。つまり子役たちが非常に良かった!
歌の力が圧倒的
1945年の8月15日にこの映画は始まる。日本の占領が終わった日。朝鮮の独立が勝ち取られたと見えた時だ。
しかし、また東西の熱い戦争。最初の戦闘場面が凄まじい。同胞同士でと思うとさらに辛い。朝鮮戦争での死者200万人、残された家族、離れ離れになった家族はその何倍にもなる。
戦線の変化で、地域の支配者が変わり昨日の味方が今日の敵となる。そんな事の悲劇で親を失い、孤児になる子どもたちがいる。
故郷の歌の力は人の心の底を揺らし、圧倒的だ。どの国にも素晴らしい歌がある。
本気の韓国映画はすごい。邦題はありきたり過ぎ。
達者だがそれなり
サウンドオブミュージックとは全然違うけど…。
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