「「七人の侍」「荒野の七人」のスピリットは今も尚見る者を魅了し続ける」マグニフィセント・セブン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
「七人の侍」「荒野の七人」のスピリットは今も尚見る者を魅了し続ける
黒澤明の「七人の侍」を西部劇リメイクした「荒野の七人」のリメイク。
リメイクのリメイクって訳だけど、期待通りの面白さ!
偉大な二本の名作の名に恥じない、これぞハリウッド王道西部劇!
ストーリーは今更説明する必要も無い。
七人の男が非道な悪党に苦しめられる小さな町を守る。
多額の報酬や英雄行為が称えられる訳でもない。仲間の中にはお訪ね者もおり、罪が帳消しになる訳でもない。
おそらく死ぬだろう。
何故、彼らは戦う…?
そんな事はいちいち言わなくてもいいだろう。
その誇り高い姿はやっぱり燃えるね~!
仲間集め、各々のキャラ描写、訓練、クライマックスの闘い、一人また一人散っていく男たち…。
展開は結構早いが、要所要所はしっかり踏襲。(七人と町人たちの交流があまり描かれなかったのが残念)
広大な西部の映像、オープン・セットが雰囲気を盛り上げる。
早撃ち、二丁拳銃、弓矢、ナイフ投げ…。
圧倒的劣勢を作戦で凝らしたアクションは見応えあり。
今回の最大の特色は、多種多様なキャスティングだろう。
黒人、白人、アジア人、インディアン…。依頼主も女性に。
人種の問題もやんわりと込め、国籍も肌の色も違う七人が共に闘い、現代ならではの設定とメッセージ。
リーダーのデンゼル、タフなクリス・プラット、トラウマを抱えるイーサン・ホークその他彼らが、「七人の侍」「荒野の七人」の誰に該当するか考えながら見るのも面白い。
憎々しさ100%の悪党が居るからこそ作品にメリハリが付く。
専ら何で日本人じゃなく韓国人なんだ!?…と言われてるようだけど、それはこの際いい。イ・ビョンホンも溶け込んでたし、面白かった作品にあまり茶々を入れる事はしたくないし。
アントワン・フークアの手堅いアクション演出。
ハリウッド西部劇だけじゃなく、マカロニ・ウエスタンへのオマージュも匂い漂う。
エンディングにかかるエルマー・バーンスタインのかの名テーマ曲に感動と興奮ひとしお。
劇中スコアは「タイタニック」で知られるジェームズ・ホーナーで、氏の遺作。
日本では時代劇はちょくちょく作られているが、ハリウッドで今、大作西部劇が作られるのは年に一本あるか無いか。
こういうお家芸に埃を被せてはいけない。
「七人の侍」「荒野の七人」のスピリットは今も尚見る者を魅了し続ける。
やっぱり最後はこの台詞で締め括りたくなるね。
「勝ったのはわしらではない。農民たちだ」
近大さん、お久し振りです。
中々面白かった作品でした。
見るまではかなり心配してましたが
すっかりはまりましたね。
レビュー全くの同感です。
相変わらず同じ感性で嬉しい限りです。