「お手本のようなシナリオ」ジャック・リーチャー NEVER GO BACK Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
お手本のようなシナリオ
誰かが《シナリオの書き方》という本を見ながら書いたんじゃないかというぐらい、お手本通りの脚本だったよ。
『冒頭でどんな主人公か観客に解るようにしましょう』という感じで、「90秒間に二つのことが起こる」からのシーンでリーチャーがどんな人か解んの。
それで女性少佐といい感じになって、「娘じゃないの?」って子が出てきて、疑似家族になって、難しい父娘関係も描かれるし、「女性蔑視よ!」と突然少佐が怒ったりする。
「技を教わったの!」と女の子が言ったときは馬鹿にするんだけど、『あー、この技、最後に使うんだな―」と思ってると、キッチリその通り。
悪役の大佐を追い詰めて、『あれ?』ってなるんだけど、「君の言うとおり何かがおかしい」と突然リーチャーの頭脳がひらめき「アヘンだ。これで全て説明がつく」ってまとめんの。『あー、あの証人の「アフガンよりこっちの方がアヘンの取引は盛んだ」って伏線だったのね』っと取ってつけた感に襲われたな。それまでの「武器を売って儲けてるに違いない」って推測はなんだったんだろう。
トム・クルーズは往年のキレのあるアクションはできないから、最後の一対一シーンはゆっくりめのアクションになるように工夫されてた。悪役と二人で屋上から落ちて「もう、フラフラだあ」って感じでやり合うの。『うまいなあ』と思ったよ。
あと監督さんは細かなカットを大事にする人だった。「ここ削ってもいいでしょ」ってカットを入れてくる。「ナショナルズのファンなの?」って言って帽子もらうところとか、街の入口で変なダンサーが踊ってるところとか。それはそれで良かったよ。
これだけお約束の展開で、知らない俳優さんがやってたら「うーん。まあ面白いけどねえ」ってなるけど、トム・クルーズがやると「うん、まあ、トムだからね!」って納得する。
でもアクション俳優は年取ったら演技派にいけるように準備しとく方がいいね。真田広之みならおう。