長江 愛の詩(うた)
劇場公開日:2018年2月17日
解説
ホウ・シャオシェン作品を手がける名カメラマン、リー・ピンビンが撮影を担当した叙事詩的なラブストーリー。亡くなった父の後を継ぎ、小さな貨物船の船長となったガオ・チュンは、花火が上海の空に上がるある夜、双眼鏡ごしに、ある女性の姿を目にする。その女性は生活に疲れた様子で、さほど若くもないが、なぜかガオは心のときめきを感じでいた。やがて違法の仕事を請け負ったガオは上海から長江をさかのぼる旅へ出発する。機関室で発見した「長江図」と題された手書きの詩集には父親が20年前に創作したいくつもの詩が記されており、ガオは詩集に導かれるかのように、行く先々で出会うアン・ルーというミステリアスな女性と恋に落ちていく。彼女は上海で目撃し、心をときめかしたあの女性だった。本作が長編2作目となる北京電影学院出身のヤン・チャオ監督が10年の製作期間を費やし、極寒の長江を中心に60日間のオールロケを敢行して完成させた。2016年・第66回ベルリン国際映画祭・銀熊賞(芸術貢献賞)受賞作。
2016年製作/115分/G/中国
原題:長江図 Crosscurrent
配給:エスピーオー
スタッフ・キャスト
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2018年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
全てが長い旅路であり、あるいは、ほんの一瞬の夢でもあるかのよう。それほどまでに長江の雄大な流れは、時間感覚を忘れさせ、物語として受け止めるには己があまりに微細であることを痛感させられる。序盤、本作を正確につかまえようと、正しく解釈しようと努めることは正直辛かった。だが、いつしか、そういう映画ではないことに気づいた。正しさや間違いなど、そんな些細な物差しは通用しない。すべてを飲み込み、幻想さえも奏でながら、流れる。それが長江。途中からは理解することをやめ、大河の一滴になることを受け入れた。そうやって流れにただ身をまかせることで、ようやく楽になれたような気がする。果たして近年、これほど映像に呆然とさせられ、その一部であり続けたいと感じた映画があっただろうか。ある人はタルコフスキーを、またある人はアンゲロプロスの作品さえも彷彿とするかもしれない。スクリーンで見るべき、まさに人生観を変える映画だ。
2019年8月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
ー 叙事詩的であり、幻想的なラブストーリーである。ー
・船上、岸辺から映される悠久なる長江の風景が美しい。
・静かな映画ながら、観ていて飽くことが無い。
・良作であると思う。
■雨の日に、心静かに観たい映画である。
<2018年5月24日 劇場にて鑑賞>
2019年2月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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始まりから意味深なシーンが続きますが、時間を遡ってアンルー(安陸)と主人公の父との恋物語を長江を遡りながら詩で表現されてます。また詩に合わせた映像も素晴らしい。
ただ、貧困地域や国家ダム建設の明暗など近代中国の暗い部分を見た感じがします。
以下は勝ってに深読みしてみました。
長江の上流(チベット族?)に暮らしていたアンルーが、ガオ父と初めて会ったのが重慶の上流(宜宾)、チベットは貧困地域だからお母さんが死んで街に出て来てたのでしょう。重慶の下流で彼等は恋に落ちます。
親戚の家にお世話になっていましたが、山峡ダムが出来て彼女の生活が一変。ガオ父とは別の結婚を親戚から迫られ観音閣へ逃げ出し仏門に入れられます。しかし、彼が忘れられず修行を抜けだしガオ父に会おうとします。
しかしガオ父は彼女を迎えることを決意出来ず、彼女は仕方なく勧めらた結婚を受け入れます。住居の村は山峡ダムの下流で、洪水被害の多いところで厳しい生活が続き夫婦仲は良くなかったのでしょう。ガオ父と逢い引きしているのが夫にバレます。夫は生活苦と妻の不忠により自害してしまいます。
彼女は村に居られなくなり、下流の街へ流れていきます。途中、南京上流の萩港で寺の導師にどう生きるべきか尋ねますが答えを出せません。南京で生きる気力を失い入水自殺を図りますが、助かります。
ガオ父は南京下流の港でアンルーが娼婦になっている事を聞き逢いに行きます。一夜を共に過ごしますが、ルーは昔のルーでは無くなっていました。ガオ父は彼女の「沢山の恋をした」という言葉を聞いて嫉妬してしまいます。
上海の港で、ガオ父が彼女見たのは小舟で客引きをしているのが最後でした。彼女はガオ父を追って、上海まで来ていたのですが、何も出来なかったガオ父は後悔します。ガオ父は息子の身体を借りアンルーに逢いに彼女が眠る?長江上流チベット族の安家(アンルーの母)の墓に行くのでした。
ガオチェンが彼女の息子だとしたら、ガオ父と彼女が1989年冬に初めて会い上海まで流れて来た彼女と結婚してから生まれ子だとすると、ガオチェンは20代前半と考えられるので、ガオ父は彼女が上海にくる前に結婚していたと思えます。迎えに行けなかった頃結婚したのでしょうか。
2019年2月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
父親の遺した船から詩集が見つかり、主人公は長江を、上海から源流に向かい遡行する。
ある女性がたびたび登場するが、不思議なことに若返っているようだ。
長江のロケが雄大で美しい。